Endrick Madrid nightmareGetty

エンドリッキが再びレアル・マドリーで輝くために:悪夢を振り払うためにも1月の決断を

19歳にして、レアル・マドリーの9番を与えられる……これだけ見れば、その選手の将来は安泰に見えるかもしれない。世界最高レベルのクラブでエースナンバーを託されるほど名誉なことはなく、これは上層部からの信頼を意味するものだ。

しかし、現実はそんなにうまくいかないものだ。エンドリッキが最後に公式戦でボールを蹴ってから、すでに150日以上が経過している。加入当初の大きな期待は、今も変わらないだろう。10代にして圧倒的な才能を持ち、短い出場時間で結果も残してきた。だが、シャビ・アロンソのシステムには適合しておらず、今のマドリーでの将来は想像し難い状況だ。

彼はキャリアにおいて初めて正念場を迎えた。今後の決断が、彼の将来を大きく左右することになるだろう。

  • Endrick(C)Getty Images

    16歳でレアル・マドリーへ

    2022年冬、レアル・マドリーは当時16歳だったエンドリッキの加入内定を発表した。バルセロナ、アーセナル、チェルシー、リヴァプールといった世界的な強豪を出し抜き、ブラジルで最も才能豊かなストライカーを手に入れたのだ。移籍金は6000万ユーロと高額だったものの、この判断は今でも正しかったと言えるはずだ。

    正式加入前の2023年、エンドリッキはレアル・マドリーの施設を訪れ、カルロ・アンチェロッティやジュード・ベリンガムといった将来のチームメイトと交流。ベリンガムは彼を「スーパースター」とまで呼んだ。彼の成功は、約束されたように見えた人も多かっただろう。

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  • Karim Benzema x Vini Jr Real Madrid 2022-23Getty Images

    居場所

    当時のマドリーでは、カリム・ベンゼマがケガでコンディションを落とし、ヴィニシウス・ジュニオールとロドリゴは純粋なストライカーではなかったため、新たなストライカーを必要としていた。ベリンガムが“偽9番”を見事にこなし、ホセルがラ・リーガとチャンピオンズリーグのニ冠達成に大きく貢献していたが、彼らには将来を担うストライカーが必要だったのだ。エンドリッキはぴったりに思われた。

    しかし2023-24シーズン終了後、マドリーはキリアン・エンバペ獲得を急速に進めていった。もちろん、チームの中核となるエースとして。これで攻撃陣は完成してしまった。エンドリッキの居場所は、この時点であったのだろうか?

  • Endrick Palmeiras 2022-23Getty

    苦境

    こうしてマドリーが世界的スーパースターを迎える中で、エンドリッキはパルメイラスでポジションを失いかけていた。リーグ戦1600分間で11ゴールは10代の選手としては立派な数字だが、ブラジルで絶対的なエースになれなければ、マドリーでは当然厳しい時間が待っている。そして早い段階でのビッグディール成立により、メディアの注目度も急上昇。彼がベンチで泣いている姿は、スペインメディアで大々的に報じられている。

    当時の指揮官アベル・フェレイラは、「確かに彼は顔を覆って泣いていたよ。私は父親ではないが、抱きしめてあげるべきだった。でも、冷静でいなければならないよ。批判を好むものなどいない。毎試合5~6ゴールを奪えという巨大なプレッシャーを背負い、彼は1人で戦っている。だが、ゴールは適切なタイミングで訪れるんだ。ただ冷静に、笑顔を絶やさずにいればいい」と慰めの言葉をかけている。しかし、取り巻く環境が急速に変化する中で、重圧を感じていたのは間違いない。

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  • Sevilla FC v Real Madrid CF - La Liga EA SportsGetty Images Sport

    最悪のタイミングでの負傷

    そうしてエンドリッキは、2024年夏に合流。デビュー戦でゴールを奪い、さらにクラブのチャンピオンズリーグ最年少ゴール記録を塗り替えた。スタートは上々だった。しかし、マドリーではミスは許されず、再出発も難しい場所だ。多くのチャンスを逃したことで評価を落とし、チームに完全に定着することはなく、主にカップ戦のローテーション要因として起用された。

    デビューシーズンは公式戦37試合で7ゴール、90分あたりのゴール数はヴィニシウスやロドリゴの初年度を上回っている。だが、エンバペ、ヴィニシウス、ロドリゴらが揃うマドリーの攻撃陣に割って入るほどの結果ではない。ベンチスタートは妥当だった。

    そして、負傷を抱えてしまった。シーズン最終戦は消化試合だったが、先発するも負傷交代。ハムストリングのケガが発覚し、彼の真価が期待されていたクラブワールドカップも棒に振ることになる。

  • Real Sociedad v Real Madrid CF - LaLiga EA SportsGetty Images Sport

    暗雲

    このケガは彼にとって大きな打撃だった。シャビ・アロンソは就任最初の大会で、大幅なローテーションを行うことを明言していたからだ。さらに、エンバペが体調不良で最初の数試合を欠場。エンドリッキにとって、自身をアピールする絶好の機会だった。

    だからこそ、エンドリッキはトレーニングに合流するためにもマイアミへ飛んでいる。しかし合流後、負傷を再発させてしまった。焦りもあったのだろう。そのチャンスはゴンサロ・ガルシアへと渡り、アカデミー出身FWは4ゴールを奪って得点王に輝いている。

    こうしてエンドリッキの状況には暗雲が立ち込め、移籍の噂も絶えず浮上した。シャビ・アロンソの好むタイプのFWではなかったことも拍車をかけた。結局ケガから復帰後も、今季は未だ出場なし。新体制で走り出したマドリーに、完全に乗り遅れてしまっている。マドリーでは一度船に乗り遅れると、戻ってくるのは至難の業だ。

  • Real Madrid CF v RCD Espanyol de Barcelona - LaLiga EA SportsGetty Images Sport

    決断の時

    マドリーは今もなお、エンドリッキに信頼を置いている。必ずチャンスは訪れるし、その機会を一歩ずつ掴んでほしいと願っている。まだ19歳であり、才能は間違いない。いずれクラブを担うエースになってくれることを期待し続けている。

    だが、クラブもそう判断するように、彼はまだ19歳なのだ。つまり、出場時間が最も必要だ。公式戦5試合連続出場がなく、ブラジル代表復帰も難しい状況だ。ベンチに座っているべきではない。5カ月もピッチから遠ざかるべきではないのだ。

    エンドリッキ本人は、来年のワールドカップ出場を熱望しているという。そのためには、来る1月の決断が非常に重要となる。マドリーの船に再び乗り込むためにも、ブラジル代表として夢を叶えるためにも、半年間を別のクラブで過ごすことは悪くないだろう。自信を取り戻して自らのポテンシャルを再び証明するために、彼が行う決断に注目だ。

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