リヴァプールにイサクは必要？補強の優先順位は別のところにある

リヴァプールがボーンマスを4-2の信じられないほど劇的な勝利で破った後、スロットは感情を語るよう求められたが、本当にどこから話せばいいか分からなかった。報道陣に対し、自分の気持ちを完全に説明するには少なくとも30分はかかるだろうと認めた。

スロットの興奮は理解できるものだった。ディオゴ・ジョタに捧げられたアンフィールドの夜、リヴァプールは2点のリードを無駄にしたものの、ファン人気の高いフェデリコ・キエーザの88分間のボレーシュートで逆転し、そのゴールはKOPによってタイトル獲得の瞬間のように祝福された。

「試合中何度も、そして昨シーズンも彼のために歌ってくれたサポーターたちに対して、彼らが何か返すことができたのはとても良いことだ」とスロットは述べた。「最終盤の雰囲気は信じられないほどでした。観るに値する素晴らしい試合だった。これがまさに見たいものだった」。

しかし、リヴァプールのパフォーマンスに感銘を受けた人は全員ではなかった。

ジェイミー・キャラガーは、リヴァプールの守備面でのパフォーマンスに深刻な懸念を抱いていた一人だった。前週末のクリスタル・パレス戦でのコミュニティ・シールド敗北同様、レッズは素早いカウンター攻撃に非常に弱く、ボーンマスが挙げた2得点はいずれも素晴らしいカウンターから生まれたものだった。

スロットは正当に指摘したように、リヴァプールは両試合で主力MFライアン・フラーフェンベルフが欠場し、同ポジションのアレクシス・マクアリスターもまだ完全なコンディションにない状態だった。また、昨季はドミニク・ソボスライのようなプレスマシンを擁して成功を収めたタイトルホルダーは、フロリアン・ヴィルツのような攻撃的な10番を起用するスタイルに慣れる必要があることも明白だ。

しかし、『スカイスポーツ』の興味深い試合後インタビューで、常に興味深いスロットは、多くの選手を攻撃に投入することは 「私たちのアイデンティティの一部だ」と主張した 。これに対し、キャラガーは「少し心配だ」と認めた。かつてトッテナムの監督だったアンジェ・ポステコグルーの無謀な戦術を連想させたためだろう。スロットがそこまで現実離れした考えに陥る可能性は低いが、金曜日の試合ではリヴァプールの欠点が露呈していた。

ウェンブリーでの惨敗後、フィルジル・ファン・ダイクは再び守備で異例の脆弱さを露呈した。一方、ミロシュ・ケルケズとジェレミー・フリンポンは、ウイングの選手を越えて攻撃に参加するタイミングと、深くポジションを保つべきタイミングを判断する点で、まだ多くの改善が必要であることが明らかになった。

スロット監督が指摘したように、リヴァプールはボーンマス戦において攻撃と守備の「バランス」を適切に取れていなかったが、これは時間とともに改善されるだろう。特にフラーフェンベルフがスターティングメンバーに復帰すれば。スロット監督がチームに求めるプレースタイルにおいて、このオランダ代表選手の重要性はもはや過小評価できないほどだ。

しかし、イブラヒマ・コナテのパフォーマンスは極めて懸念すべきもので、フランス人選手は、リヴァプールが彼と新契約を結ぶためにここまで必死になるべきなのか疑問に思わせるような、惨憺たるプレーを披露した。実際、金曜日の試合では、リヴァプールは新しいストライカーよりも新しいセンターバックを必要としているように見えた。

もちろん、リヴァプールはすでにジョヴァンニ・レオーニという新たなディフェンダーを獲得しており、パルマからの移籍はボーンマス戦直前に正式に発表された。この才能豊かなイタリア人選手は、スロット監督がより頻繁にローテーションを組み込むと予想されるため、今シーズンは多くの出場機会を得るだろう。しかし、18歳の選手にすぐにレギュラーの座を確立することを求めるのは過酷な要求だ。特に、彼がセリエAデビューを果たしたのは昨年11月という点を考慮すると、なおさらだろう。レオーニは多くの才能を兼ね備えているが、新しいチーム、リーグ、国、文化に慣れるためには時間が必要となる。

リヴァプールが求めるのは、必要に応じて即戦力としてチームに組み込めるプレミアリーグ対応のセンターバックだ。ジョー・ゴメスのシーズン通じてのフィットネスに疑問が残る中、マルク・グエイへの関心が高まっているのは当然だろう。クリスタル・パレスのキャプテンはセンターバックとしては小柄だが、過去数年間でイングランドで最も支配的なディフェンダーの一人であり、EURO2024ではブカヨ・サカに次ぐイングランド代表のベストプレーヤーとしてその能力を証明した。

要するに、グエイを獲得することは、リヴァプールがファン・ダイクのパートナーを手に入れることを意味し、オランダ人が退団を決断した際に、バックラインのリーダーとして不動の地位を確立する可能性もある。その点で、イサクではなくグエイがチャンピオンの最優先移籍ターゲットであるべきだ。

もちろん、リヴァプールが長年イサクの獲得に熱心だった理由は容易に理解できる。彼は昨シーズンのプレミアリーグで最も優れたストライカーの一人であり、真のエリートチームに移籍すれば、自身のプレーを全く別の次元へ引き上げられる可能性がある。リヴァプールはまさにその段階に近づいているからだ。

イサク自身もアンフィールド移籍を強く望んでいることは明白で、リヴァプールがそれを実現しようとしていることを批判するのは難しい（たとえ移籍の推進方法が極めて不快なものであったとしても）。結局のところ、世界クラスのストライカーを獲得する機会はそう頻繁に巡ってこない——そして、そのような機会は必ずつかむべきだという共通の認識がある。

過去の慎重な経営と「売却上手」な能力により、リヴァプールは財政的に非常に強い立場にある。そのため、イサクの移籍でプレミアリーグの「利益と持続可能性規則」（PSR）に違反することなく、イギリス記録級の移籍金を支払うことも可能だ。しかし、イサクを獲得できるからといって、必ずしもそうすべきではない。少なくとも、明らかな守備の弱点を解決する代償として獲得すべきではないだろう。

スロットには確実に別のストライカーが必要だ。ジョタの悲劇的な死去は、彼にとっておそらく最も優れたフィニッシャーを失わせた。ダルウィン・ヌニェスは退団しベンチからのオプションではなくなった。

現時点では、チームで認められたセンターフォワードはウーゴ・エキティケただ一人であり、フランス人選手がパレスとボーンマス戦での途中交代後、リヴァプールの攻撃力が著しく低下したことは明白だった。さらに、23歳のエキティケは新チームでの最初の2試合で2得点1アシストを記録し、今シーズンの主軸として起用されるに値するパフォーマンスを示している。イサクの控え役を務めるのではなく、主役として起用されるべきだ。

したがって、リヴァプールはクラブ記録の移籍金で選手を獲得するのではなく、適切な価格でバックアップのNo.9を獲得した方が賢明かもしれない。

もちろん、エキティケを左サイドに移し、イサクを中央に配置する選択肢もあるが、その場合、コーディ・ガクポをベンチに下げる必要が生じる。ガクポは現在、得意のウイングポジションで安定した出場機会を得ており、今シーズン大活躍が期待されている。

イサクはリヴァプールにとって素晴らしい補強となるだろうが、現実的な判断というよりファンタジーサッカーの域を出ない印象だ。クラブの首脳陣は最前線ではなく、後方に目を向けるべきかもしれない。