元UEFA最高経営責任者ゲルハルト・アイグナーは、かつて欧州スーパーリーグ構想を「幻想」と一蹴した。しかし、その影響力は常に現実のものだった。元ACミラン理事ウンベルト・ガンディーニが指摘したように、「1993年のチャンピオンズリーグ創設」は実質的にシルヴィオ・ベルルスコーニが欧州エリートクラブによる独立リーグ創設を試みたことに対するUEFA側の対応だった。
また1999年、ベルルスコーニが再びスーパーリーグ創設を画策したわずか2年後、UEFAがチャンピオンズリーグの参加チーム数と試合数を増やし、さらなる試合創出のためにグループステージ制を導入したのも決して偶然ではない。『ウォール・ストリート・ジャーナル』のジョシュ・ロビンソンは以前、『GOAL』の取材に対してこう語っている。
「欧州の主要クラブがフットボールの進む方向を気に入らない時は、常にスーパーリーグが切り札となる脅威だ。自分たちに有利なように事態を動かすための、非常に便利な手段なのだ」
したがって、コロナウイルスによってヨーロッパ・フットボールの荒唐無稽なビジネスモデルの財政的脆弱性が露呈した2020年に、ESL(欧州スーパーリーグ構想)の議論が活発化したのは全く驚くべきことではなかった。レアル・マドリーのフロレンティーノ・ペレス会長は、年次総会でこう語っていた。
「もはや以前と同じ状態に戻ることはない。そして、パンデミックが全てを変えた。我々全員がさらに弱まっているが、フットボールも同様なのだ」
要するに、おそらく前例のない不確実性の時代にあって、ペレスや欧州中のクラブ会長たちは財政的保証を求めた。だからこそ、彼らはESLを復活させたのだ。金融専門家のキーラン・マグワイアが『GOAL』に語ったように、「フットボールにおける真の金脈は、欧州カップ戦にある」からである。