待ちわびた2025-26シーズンのUEFAチャンピオンズリーグ(CL)がいよいよ開幕する。ヨーロッパ各国を代表する数多くの強豪クラブがビッグイヤーの獲得に向けて、今夏の移籍マーケットで相応の資金を投じ、戦力アップに余念がなかった。その気になる“新戦力リスト”にはいずれ劣らぬ豪華タレントがズラリ。その中でも特筆に値する実力者は誰か――。そこで、元日本代表OBにして“海外通”としても知られる中村憲剛氏にご登場願い、今夏に移籍した選手たちの中でCLに出場資格のある“注目すべき期待の新戦力5選手”をピックアップ。ランキング形式で順番に紹介しながら、彼らを見ておくべき理由をたっぷり語ってもらった。(取材:北條聡)
(C)Getty Images/GOALCL開幕展望&新戦力期待値ランキングTOP5、中村憲剛氏が選んだ1位は…?
CL・EL2025-26シーズンを視聴!
【CL展望動画】注目のビッグマッチ&8選手参戦の日本人について
(C)Getty Images5位:ルイス・ディアス(リヴァプール→バイエルン)7000万ユーロ(約121億円)
まず、5位に選んだのがバイエルン待望の新しい翼ですね。リヴァプールから加わったという意味では前任者のサディオ・マネと同じですが、彼の場合は年齢的にも今がキャリアの最盛期と言っても差し支えないでしょうから、一段と期待が膨らむところです。実際、ここまでのプレーぶりを見ても上々の出来映えですからね。チームの戦い方はもとより、リーグ全体の傾向や雰囲気など多くの点でリヴァプール時代と違いがある中で、すんなりと結果を残しているあたりは流石の一語に尽きます。
昨シーズンは“9番”(=センターフォワード)としても起用されるなど、適性ポジションの幅を広げましたが、バイエルンには“リアル9”のハリー・ケインがいますから、主戦場はやはり左ウイングになるでしょう。その意味ではケインとの関係性を含め、周囲の選手たちとのコンビネーションをいかに深めていくかがポイントになるような気がします。現時点では単独でもゴールを奪い切るマンパワーの部分が際立っていますが、いずれは周囲を活かす力も加わるはずで、そうなったら、よりいっそう怖い存在になるでしょうね。そこを踏まえた上で、要注目とさせてもらいました。
(C)Getty Images4位:マルティン・スビメンディ(レアル・ソシエダ→アーセナル)7000万ユーロ(約121億円)
続いて4位に選んだのはアーセナルの新しいピボーテです。おそらく4-3-3システムをベースとするアルテタ監督にとって、チームのヘソとなるピボーテはより重要なポジションで、その役回りを知り尽くすスペイン人を据えることのメリットは大きいでしょう。
実際、開幕から早速スタメンで使われ、派手さはないものの、安定したパフォーマンスを演じています。同じMFデクラン・ライスと横並びになる局面もありますが、攻めに回った際には基本的に最終ラインの手前に陣取り、ビルドアップのハブとなっています。その意味ではレアル・ソシエダ在籍時に請け負ったタスクと大きな違いはないかもしれません。良い意味で定位置から大きく動かぬポジショニングはピボーテの正統派を物語るもので、常に周りの選手たちが困った時の“頼れる場所”となっています。言わば、最高のサポート役ですね。彼の加入によって、ライスがより攻撃面で力を割くことができるようになるでしょう。
僕自身、現役時代は中盤の選手だったこともあり、何かと注目してきた選手でもあります。スペインでも指折りの実力者がCLの舞台でアーセナルに何をもたらすことになるのか、本当に楽しみです。
(C)Getty Images3位:ディーン・ハウセン(ボーンマス→レアル・マドリー)6250万ユーロ(約108億円)
新天地となったレアル・マドリーを含め、スペイン・サッカーの輝かしい未来を約束する弱冠20歳の超逸材を3位に選びました。すでに今夏のFIFAクラブ・ワールドカップにも出場し、特大のポテンシャルを満天下に知らしめています。
あの若さにして、絶えず相手の嫌がるプレーを選択できるのは本当に凄い。例えば、ビルドアップの場面で前方にスペースがあれば、迷わずボールを運び、守備側に隙があれば、ライン間に陣取る味方にズバズバと縦パスを通してしまう。しかも、左右両足を苦もなく操り、パスの距離もショート、ミドル、ロングと自由自在。最後尾の司令塔として、すでに相当のレベルに達していますから、もう衝撃的と言うほかありません。
センターバックは攻撃側との細かい駆け引きも求められる難しいポジションですが、彼の場合、年齢に見合わず、トップレベルの経験値を積み上げてきている点も大きな魅力ですね。また、197cmの高さも強みの一つで、セットプレーでは大きな武器となっています。正直、この先どこまで伸びていくのか想像もつきません。ともあれ、これだけの才能に恵まれた選手など、そうはいないですから、ぜひとも欧州の舞台での彼にも注目してほしいですね。
(C)Getty Images2位:フロリアン・ヴィルツ(レヴァークーゼン→リヴァプール)1億2500万ユーロ(約216億円)
かねて個人的に注目してきた選手を2位に選びました。満を持してリヴァプールに加わったドイツきっての“創造者”ですね。この項の締め切り時点ではまだアジャストしている段階のように見えます。レヴァークーゼン在籍時と比べて周囲の選手たちの特徴はもちろん、システムも戦い方も違いますからね。
ただ総合的に見れば、フィットするのは時間の問題かと。絶えず状況を見ながら、ライン間でボールを受ける立ち位置を取っているので、タイミングよく縦パスが来れば、鋭いターンで前を向き、最終ラインをブレイクする手立てを講じるでしょう。その鮮やかな立ち回りこそ彼の魅力であり、フラーフェンベルフやマクアリスターなど、彼の持ち味を生かす縦パスの送り手もそろっていますからね。少なくとも、彼らの技術レベルに疑いの余地などないですから、あとはいかにしてタイミングを合わせるか。そこさえ噛み合ってくれば、自ずと決定機も増えていくと思いますね。いわゆる、阿吽の呼吸ですね。速攻、遅攻の違いを問わず、常に決定的な仕事をやってのける選手でもありますから、楽しみで仕方ありません。僕の個人的な期待を脇に置いても、十分に注目すべき選手だと思います。
(C)Getty Images1位:アレクサンデル・イサク(ニューカッスル→リヴァプール)1億4500万ユーロ(約250億円)
最も注目に値する第1位の選手はやはりリヴァプール待望のストライカーですね。何しろ、その移籍金は英国史上最高額の1億4500万ユーロ。日本円にして、およそ250億円になりますから、いかに期待が大きいか容易に想像がつくでしょう。実際、前所属のニューカッスルで計3シーズンにわたり、その額に見合うだけの結果を残してきましたからね。
とりわけ、昨シーズン、リヴァプールの重鎮ファン・ダイクの目の前で豪快にねじ込んだ凄まじいミドルシュートが今回の引き抜きのトリガーになったんじゃないかと……。推測はさておき、190cmを超えるサイズを誇りながら、何でもできる万能型というのは大きな魅力だと思います。あれほど動きがしなやかで、なおかつスピードも兼ね備えた選手というのは、あまり見たことがありません。ボックス内でしたたかに点を取る力はもちろん、ボックスの外で味方と絡みながら攻撃の起点となるなど、その働きは実に多彩ですからね。細身ということもあり、パワーの面ではやや物足りない面もありますが、それを補って余りある力を持っています。CL制覇に向けたリヴァプールのラストピースとして、その一挙手一投足から目が離せません。
