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サンチョ、マズラウィ…2024-25シーズンプレミアリーグ最高の新戦力ベスト10

2024年夏にプレミアリーグの20クラブが新たな選手獲得に費やした金額は、およそ20億ポンド(約3,950億円)に達し、2023年の移籍期間の記録的な金額には及ばなかったものの、それでもサッカー史上2番目に高額の支出となった。この間、最も巨額な取引をしたのはトッテナムで、ドミニク・ソランケをボーンマスから6,500万ポンド(約127億円)で獲得した。チェルシーはウルブスのウイング、ペドロ・ネトを5,400万ポンド(約106億円)で獲得し、アマドゥ・オナナはエヴァートンからアストン・ヴィラに5,000万ポンド(約98億円)で移籍。同じ額をマンチェスター・ユナイテッドはパリ・サンジェルマンのMFマヌエル・ウガルテに費やした。

これらの選手たちは、新しいクラブでそれぞれ異なる程度に印象を残しているが、世界を驚かせるまでには至っていない。それに、すでに完全な失敗と見なされかねない移籍も多くあった。例えば、ジョアン・フェリックスがアトレティコ・マドリーから4,500万ポンド(約88億円)でチェルシーに復帰したことや、ウェストハムがボルシア・ドルトムントのストライカー、ニクラス・フュルクルクを2,700万ポンド(約53億円)で獲得したこと、フェデリコ・キエーザがユヴェントスからリヴァプールに1,000万ポンド(約20億円)という奇妙な移籍をしたことなどなど。

際立った活躍を見せている選手たちが、必ずしも高額なわけではない。実際に、今では市場価値を上回るパフォーマンスを発揮したことで「お買い得」と称される選手もおり、それがシーズン中盤での順位が非常に接戦となっている理由の一端を説明している。

GOALでは、2024-25シーズンこれまで最高の新戦力ベスト10をランキングしてみたが、驚きの名前でいっぱいだ。誰がトップに立ったのか、以下で確認してみてほしい。

  • Everton FC v Crystal Palace FC - Premier LeagueGetty Images Sport

    10イリマン・エンディアイエ(エヴァートン):1,500万ポンド(約29億円)

    エヴァートンがマルセイユから元シェフィールド・ユナイテッドのスター、イリマン・エンディアイエを獲得した決定はすでに効果を表しており、この24歳は再びイングランドのサッカーに見事に馴染んでいる。シェフィールド・ユナイテッドでEFLチャンピオンシップを盛り上げたエンディアイエは、得点はそれほど多くないにせよ、プレミアリーグでも同様に影響力を発揮しているのだ。

    セネガル代表のエンディアイエは、これまでのところ15試合で2得点しかしていないが、これは主にショーン・ダイシ監督が彼を主に左ウイングで起用し、背番号10としては起用していないためである。それにもかかわらず、彼はたちまちファンのお気に入りとなった。

    エンディアイエは常に絶好のタイミングでチームメイトたちを前進させ、ボールを高速で運びながらも常に優れたバランスとコントロールを見せている。元エヴァートンのDFフィル・ジャギエルカは最近、彼をフットサル選手のようだと言った。1対1に強く、連携プレーが抜群で、ボールを持たないときにもチームで最もハードワークする選手のひとりでもあるのだ。

    今シーズンのスタートではつまずいたエヴァートンだが、見事に立ち直り、エンディアイが最前線で不確定要素となっていることから、ダイシ監督のチームは上位でのフィニッシュを目指せる立場にいる。

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    9ジョルジニオ・リュッター(ブライトン):4,000万ポンド(約78億円)

    ブライトンは、リーズからジョルジニオ・リュッターを獲得すべく、クラブの移籍金額の記録を更新した。ファビアン・ヒュルツェラー監督は彼のことを「ファンを席から立ち上がらせる能力を持つ」FWだと評した。彼はその評判に応え、ダニー・ウェルベックやジョアン・ペドロと強力な関係を築いて、ブライトンが再びヨーロッパの大会への出場権を争う候補となろうとするのに貢献している。

    リュッターはこれまでに2得点しか決めていないが、3アシストを記録しており、その魅惑的なドリブルと鋭いパスで常に敵の脅威となり、ブライトンのカウンターアタックにおいても重要な役割を果たしている。「彼は自信を持つのに得点を必要としないタイプの選手で、素晴らしい影響を与えていると思う」と、ヒュルツェラー監督は10月に語っている。

    リュッターはシーガルスの攻撃に多様性をもたらし、まだ22歳の彼にはまだまだ多くの可能性がある。

  • Brighton & Hove Albion FC v Crystal Palace FC - Premier LeagueGetty Images Sport

    8マクサンス・ラクロワ(クリスタル・パレス):1,500万ポンド(約29億円)

    クリスタル・パレスは、ミカエル・オリーズ、ヨアキム・アンデルセン、ジョルダン・アイェウといった多くの重要な選手を失い、今シーズンは悪夢のようなスタートを切ることとなった。アンデルセンの代わりとして加入したマクサンス・ラクロワなどの新加入選手がチームに適応するまでに時間がかかったが、ラクロワは昨シーズン、ヴォルフスブルクでブンデスリーガの注目すべきセンターバックのひとりであった。

    現在のラクロワは、プレミアリーグでも同じような影響力を発揮し始めており、マルク・グエイとトレヴォー・チャロバーの3人でディフェンスの中心となっている。21日のアーセナル戦は1-5と敗れ、イーグルスにとって大きな打撃であったが、それ以前の9試合では1試合しか負けておらず、ラクロワは、マンチェスター・シティとのスリリングな2-2の引き分けの試合で、見事なゴールを決めている。

    フランス出身のラクロワはリーグの中でも最もスピードのある選手のひとりであり、ドリブルで抜かれることはほとんどなく、サッカーIQが高く、パスミスが滅多にない。ラクロワは「他のチームはパレスと対戦するのを恐れている」と言うが、それに反論するのは難しい。彼がいるだけでオリヴァー・グラスナー監督のチームは強力となり、彼がこのまま急速に成長し続ければ、降格を回避することは容易だろう。

  • sanchoGetty Images

    7ジェイドン・サンチョ(チェルシー):レンタル

    ジェイドン・サンチョとの契約はマンチェスター・ユナイテッド史上最悪の契約のひとつであったことが判明し、8月末、このウイングはチェルシーへ買い取り義務つきでレンタル移籍されることとなった。マンチェスター・Uは2021年にボルシア・ドルトムントからサンチョを7,300万ポンド(約143億円)で獲得したが、彼はその報酬に見合う活躍を見せせれず、エリック・テン・ハーグ元監督との一連の対立の中で、レギュラーに定着することすらできなかった。

    しかし、彼の才能について疑う余地はない。自信に満ちたサンチョなら、どのチームにとっても重要な存在になり得ることは、昨シーズン、レンタルで復帰したドルトムントがチャンピオンズリーグ決勝に進出する際に重要な役割を果たしたことで証明されている。同様に、スタンフォード・ブリッジでもプレミアリーグ11試合で5得点に貢献している。

    チェルシーには強力な攻撃陣が存在するため、サンチョはエンツォ・マレスカ監督のもとでチームに出たり入ったりしているが、起用されれば彼の輝かしい最高の状態を取り戻しているように見える。最も顕著だったのはトッテナムに4-3で勝利したスリリングな試合においてペドロ・ポロを翻弄していたときで、現在の調子を維持すればイングランド代表に再招集される可能性もある。

  • Brentford FC v Leicester City FC - Premier LeagueGetty Images Sport

    6ファクンド・ブオナノッテ(レスター・シティ):レンタル

    ファクンド・ブオナノッテは昨年6月、わずか18歳で世界チャンピオンのアルゼンチン代表としてデビューを果たし、2023-24シーズンにはブライトンで全公式戦で36試合に出場した。そんな中、シーガルズことブライトンが8月に昇格したばかりのレスター・シティにブオナノッテをレンタル移籍させたのは驚きだったが、それは、彼を2028年までアメックス・スタジアムに結びつけるための新しい契約の一部だった。

    これはリスクかもしれないが、ブライトンは、ほぼ毎試合、先発出場が保証されるクラブでブオナノッテの成長を加速させたかったのであり、それはすでに成果をあげている。アルゼンチンのロサリオ・セントラル出身のブオナノッテは、ボーンマス戦の虎の子の1点を含む4得点を決めており、レスター・シティでの最初の14試合で2アシストを記録した。

    ブオナノッテは、レスターの残留を左右する、前線への貴重なパスを提供できる。自信を持ってボールを運び、幅広いパスでディフェンスを切り裂き、リスクを負うことをいとわない選手である。この新星がシーズン後半にも輝き続けるなら、ブライトンは来夏にかけてヨーロッパ中のトップクラブから、ブオナノッテに関するオファーを受ける可能性があるだろう。

  • Brentford FC v Ipswich Town FC - Premier LeagueGetty Images Sport

    5リアム・デラップ(イプスウィッチ・タウン):2,000万ポンド(約39億円)

    非常に残念なことに、リアム・デラップはマンチェスター・シティで実力を示す機会に恵まれなかった。2020年にアカデミーを卒業した後、このイングランド出身FWはペップ・グアルディオラ監督の下でわずか6回しかトップチームで起用されず、夏にイプスウィッチから5年契約を提示されると、当然のことながらエティハド・スタジアムから去ることを決めたのだった。

    ところがイプスウィッチは、ほとんどのファンの予想どおりプレミアリーグへの復帰に成功し、最前線にデラップという強力な武器があるため、まだ残留のチャンスが残っていると言える。21歳のデラップは、2024-25シーズンのイプスウィッチでの16試合で見事に6得点を記録しており、アストン・ヴィラ戦(2-2)では2得点とも決めている。これにより、元リヴァプールMFダニー・マーフィーは『マッチ・オブ・ザ・デイ 2』で、この若者をイングランド代表における「長期的に(ハリー)ケインの後継者になれることは明らか」であると言った。

    ストーク・シティで活躍したMFロリーの息子であるデラップは、トップに到達するための身体的および技術的な才能を持っていることは確かで、生まれついてのゴール感覚もある。基本的に、イプスウィッチで唯一の破壊力ある存在として役目を果たしており、現在、苦境にあえぐマンチェスター・Cは彼を手放したことを後悔しているかもしれない。

  • Manchester United FC v Chelsea FC - Premier LeagueGetty Images Sport

    4ヌサイル・マズラウィ(マンチェスター・ユナイテッド):1,300万ポンド(約25億円)

    マンチェスター・ユナイテッドは、史上初めてクリスマスを前にしてプレミアリーグのボトムハーフに沈むという運命にあえいでいる。新監督のルベン・アモリムは、徐々にチームに新しいアイデンティティを持ちこもうとしているが、マンチェスター・Uは今なおテン・ハーグ元監督を長居させたサー・ジム・ラトクリフの決定を引きずっており、これから5月までの間にさらなる苦痛が待ち受けていることは間違いない。

    しかしテン・ハーグが行ったことの中で正しかったことがひとつある。バイエルン・ミュンヘンから加入したヌサイル・マズラウィは、マンチェスター・Uにとって数少ない明るい要素のひとつであり、異なるポジションでのプレーを要求されても一貫して堅実なパフォーマンスを見せている。

    「彼は攻撃の仕方を知っているし、非常に優れたテクニックがあり、1対1の守備でも非常に優れている」と、今月初め、アモリム監督は語った。「彼は現代的なプレーヤーだ。私たちのチームの未来だと思う」。

    アモリム監督の言うことには一理ある。マズラウィは27歳でキャリアの最盛期にあり、バイエルンで2年間のフラストレーションに耐えた後、ついにオールド・トラッフォードで居場所を見つけたようなのだ。このモロッコ代表選手は低調なマンチェスター・Uにおいて手本となる選手であり、シーズン後半にチーム全体が彼の例に倣えば希望が持てる状況になるだろう。

  • Crystal Palace FC v Fulham FC - Premier LeagueGetty Images Sport

    3サンデル・ベルゲ(フラム):2,500万ポンド(約49億円)

    この夏、ジョアン・パリーニャがバイエルンに行ってしまったことは、フラムにとって壊滅的な打撃のように思われた。パリーニャは、クレイヴン・コテージでの2シーズンでプレミアリーグ最高の守備的MFのひとりとなった選手で、フラムはその穴を埋めるべく、サンデル・ベルゲに注目した。ベルゲは2023-24シーズンに降格を経験したバーンリーの一員であり、そのため、8月にこの26歳が5年契約を交わした際、フラムのファンに熱狂は見られなかった。

    ところが、ベルゲはすべての期待を上回った。事実、ベルゲが加入したフラムは非常に良いチームに見えるようになり、現在リーグで9位という位置にいる。『DataMB』によると、ベルゲは今シーズンのプレミアリーグで他の誰よりもデュエルの勝率が高いMFである。彼の中盤でプレーを分断する能力は、フラムの改善に欠かせないものであった。

    26歳のベルゲはまた、マルコ・シウヴァ監督のチームにおいて、多くの攻撃を生みだし、優雅にラインを突破して常に正しいパスを選び出している。ピッチ全体をカバーできるテクニックに優れた選手であることを自ら証明しており、ヨーロッパの大会への出場を目指すフラムの驚きの躍進の原動力となっている。サウサンプトンと引き分けた試合で足首を負傷し、ピッチを去ったが、シウヴァ監督は彼が長く離脱しないことを祈っていることだろう。

  • Nottingham Forest FC v Aston Villa FC - Premier LeagueGetty Images Sport

    2エリオット・アンダーソン(ノッティンガム・フォレスト):3,500万ポンド(約68億円)

    ニューカッスルは、プレミアリーグの『収益性と持続可能性に関する規則』(PSR)に準拠するため、エリオット・アンダーソンをフォレストに売却せざるを得なかった。この決定はエディ・ハウ監督にとって「納得のいくものではなかった」ようである。ニューカッスルの監督は、おそらく今、シティ・グラウンドで今シーズン、この22歳の選手が驚異的な新たな高みに達しているのを見て、さらに気分が悪いことだろう。

    「彼はこれほど若い選手にしては素晴らしい才能を持っている」と、フォレストのヌーノ・エスピリト・サント監督は11月に語っている。「彼は自分が良い選手であることを知っているが、もっと良くなりたいと思っている。最初のステップとして素晴らしい。彼を迎えられて嬉しく思う。非常に良い契約だったと思う」。この最後の一言は控え目で、アンダーソンの価値はおそらく夏から倍増しているであろう。

    アンダーソンは中盤でもワイドでもプレーすることができ、ヌーノ監督はその多才さをうまく活用して、フォレストを残留争いからチャンピオンズリーグを狙うチームに変貌させた。このイングランドU-21代表は進歩的なドリブラーで、パス範囲が広く、瞬時に守備を突破することができ、その結果フォレストに来てから16試合に出場して5アシストを記録している。得点できるようになれば完全なオールラウンダーとなり、非常に才能ある若者としてイングランド代表も夢ではないだろう。

  • Nottingham Forest FC v Aston Villa FC - Premier LeagueGetty Images Sport

    1ニコラ・ミレンコヴィッチ(ノッティンガム・フォレスト):1,200万ポンド(約23億円)

    ミレンコヴィッチは、費用対効果の観点から見て、2024-25シーズンこれまでのプレミアリーグで最高の契約であるだけでなく、サッカー界全体の歴史の中で最高の選手のひとりでありことは確かだ。セルビア代表としてEURO2024での素晴らしい活躍をし、フィオレンティーナからシティ・グラウンドに移籍してきたミレンコヴィッチは、その後、フォレストの守備の中心でムリージョと堅固なコンビを築き、リーグ最恐のストライカーたちをシャットアウトしてきた。

    フォレストは前シーズンのイングランドのトップリーグで5番目に悪い守備記録を残しており、特にセットプレーが大きな弱点だったが、身長195cmのミレンコヴィッチはそれらの問題を完全に解決した。ヌーノ監督のチームは今シーズン、17試合でわずか19失点しかしておらず、それを上回るのはリヴァプールとアーセナルだけである。ミレンコヴィッチは地上でも空中でも常に危険を排除している。

    リヴァプールのレジェンドであるジェイミー・キャラガーから「マン・マウンテン」と称されたミレンコヴィッチは、強く、速く、冷静で、ゲームを見抜く力に優れている。この27歳の選手は、相手のボックス内でも大きな脅威を与えており、フォレストのためにすでに2得点を挙げている。彼がいるおかげで、フォレストは現実的にトップ4入りを狙える可能性を持ち続けている。

    ミレンコヴィッチはまさに圧倒的で、彼の成功を見れば、なぜ数年前にマンチェスター・ユナイテッドやトッテナムが彼の獲得に動かなかったのか不思議に思えてくる。