Jude Bellingham Dortmund HIC 16:9Getty/GOAL

注目集めるベリンガムの決断:マン・U、リヴァプール、マン・C、チェルシーが獲得を熱望するヤングスターはどこに向かうのか?

ジュード・ベリンガムの去就に注目が集まっている。

ドルトムントとの現行契約は2025年までとなっているが、来夏のステップアップは濃厚に。クラブとしても高額な移籍金を得られることから、売却もやむなしと考えているだろう。そのため、ビッグクラブによる争奪戦は確実だ。

マンチェスター・ユナイテッドはベリンガムに入れ込んでおり、リヴァプールは高齢化が進む中盤に若さと輝きを注入したいと思っている。マンチェスター・シティは来夏に少なくともベルナルド・シウバかイルカイ・ギュンドアンのどちらかの代替要員が必要になりそうだ。チェルシーもベリンガムのポテンシャルを長らく評価しており、新オーナーの下で投資を惜しまない構えを見せてきた。

プレミアリーグのトップクラブすべてが注目する19歳の逸材。さて、サッカー界で最も需要のあるこの選手を射止めるのはどのクラブだろうか?『GOAL』ではベリンガムの未来を占った。

  • Jude Bellingham Dortmund 2022-23Getty Images

    ベリンガムは自身の価値を分かっている

    第一、スタウアブリッジ出身のティーンエージャーが帰国を選択する保証はまだない。2020年には、ユナイテッドは全力を挙げてバーミンガムからベリンガムを獲得しようとしたが、アレックス・ファーガソン、ブライアン・ロブソン、エリック・カントナたちの説得も及ばなかった。

    ベリンガムを自身の価値を分かっており、自分の心を理解している。そして、自分の道を歩み、若いながらも年齢相応以上のしっかりした意思を持っている。

    彼が下した決断はドルトムントだった。オールド・トラッフォードよりも自身の才能を伸ばせる環境だと判断したのだ。

    アーリング・ハーランドも同時期にユナイテッドに誘われていたが、同じように思っていたのだろう。ハーランドの決断も悪くはなかった。

    ハーランドのように、ベリンガムもドルトムントを去るときには移籍騒動の真っ只中にいることだろう。だが、イングランドへの帰還が自身にとってよい決断ではないと結論づければ、バイエルン・ミュンヘン、レアル・マドリー、バルセロナ、パリ・サンジェルマンといった選択肢も浮上する。

  • Jude Bellingham Manchester City Borussia Dortmund 2022Getty Images

    次のステップへ

    シーズン終了後、ベリンガムは次のステップに進む準備を整えるだろう。これはおそらく確実だ。

    今季のチャンピオンズリーグ(CL)でドルトムントはシティに敗れたが、ベリンガムの資質を垣間見ることができた。エティハド・スタジアムで得点を挙げ、ペップ・グアルディオラのスター軍団に堂々と立ち向かった。

    W杯を控え、彼はイングランドをさらなる高みに連れて行ける存在だ。だが、国際マッチ期間での扱いについて、ガレス・サウスゲート監督に厳しい目が向けられている。

    この監督の保守的な戦術がベリンガムの莫大な才能を抑圧しているのではないかーーこうした懸念の声が増え続けている。

  • Jude Bellingham EnglandGetty

    イングランドの未来

    ベリンガムの万能性は彼の強みであり、サウスゲートがこの18か月にわたって彼をチームに呼び続けた理由でもある。だが、チーム内ではっきりした役割を与えられるべきでもある。

    デクラン・ライス、フィル・フォーデンと合わせた中盤の3人は、インスピレーションに欠けるイングランドのピッチ中央に息吹を吹き込むだろう。だが、リスクを嫌うサウスゲートは、ジョーダン・ヘンダーソンやカルヴィン・フィリップスを加えて中盤を固めるという考え方に傾いていってしまいそうだ。

    フォーデンに替えてメイソン・マウントを起用すれば、もっと中途半端になるだろう。だが、チェルシーでプレーするこの選手は、クラブでも代表でもより攻撃的な役割を与えられたときにベストパフォーマンスを発揮できていた。

    確かにベリンガムはイングランドの未来であり、中盤はベリンガムを軸に構成されるべきだと思われる。だが、イタリアに0-1と敗れ、ネーションズリーグのリーグA陥落が決まったことで再び浮き彫りになったことがある。果たしてサウスゲートがこの国最高の攻撃陣の能力を最大限に活かすことができるのか、相当に疑わしいということだ。

  • Jude Bellingham England 2022-23Getty

    カタールへの招集

    それでも、W杯では中盤3人のうち2人をベリンガムとライスで構成してほしいという声が強くなっている。残りの1人に誰を選ぶかは、もちろんサウスゲート次第だ。この決断がイングランドのW杯での結果と監督が残すレガシーを左右しそうだ。

    明らかなのは、ベリンガムがカタールで活躍すれば、ドルトムントは彼の価格を最も価値ある形で設定できるということだ。

    ベリンガムはすでに、時代を代表するほどの素質を持つ選手と評価されている。2022年W杯で目立った結果を残せば、ベリンガムは来年までには1億ポンド(約159億円)プレーヤーになっているかもしれない。そうなれば行き先の幅は劇的に狭まるだろう。

  • Erik ten Hag Manchester United 2022-23Getty Images

    ユナイテッドの望み

    さて、ベリンガムがユナイテッド初の1億ポンドプレイヤーになる可能性はあるだろうか?

    フレンキー・デ・ヨングを長期間にわたって追い続けた結果獲得に失敗し、エリック・テン・ハーグはボールを運べるMFがまだ足りないと考えている。

    ユナイテッドはいまだにこのオランダ代表のバルセロナでの動向を追い続けており、再び関心を寄せている。だが、ベリンガムがすぐに手に入るのであれば、方向転換するかもしれない。

    ボビー・チャールトン、ブライアン・ロブソン、デヴィッド・ベッカムといった自国代表のスター選手を長年チームの心臓部に置いてきたことを、このクラブは誇りとしている。そんなユナイテッドにとっては、ベリンガムの方がマーケット性の高い選手だと考えるかもしれない。

    だが、クラブはテン・ハーグの下で確実な進歩を遂げていることを示す必要がある。前回ユナイテッドが興味を示したときにベリンガムが明らかに感じていた疑念を払拭しなければいけない。

    スタイルの確立、トロフィーを獲得できる可能性、そして、テン・ハーグの指揮下で選手たちが実際に成長している証拠などが重要な要素になるだろう。

  • Jadon Sancho Manchester United Leicester City 2022-23Getty Images

    サンチョの影響

    そういった観点からは、ジェイドン・サンチョの存在はベリンガム加入の後押しになるか、はたまた阻害要因になるか、どちらにもなりうるだろう。

    このウインガーは2021年夏にドルトムントからユナイテッドに移籍した。オールド・トラッフォードに加わった最近の大型契約選手でもある。だが、その結果としてイングランド代表から落選してしまった。

    ジグナル・イドゥナ・パルクに移る前のベリンガムにとっては励みになる存在だったが、母国に戻ってからのサンチョの困難を、彼が見抜けなかったはずはない。

    だが、テン・ハーグはすでにサンチョに大きな影響を与えている。サンチョはすでに今シーズン3得点を挙げており、新監督の期待に応えている。

    このままサンチョが上向きに成長を続ければ、ベリンガムの思考にポジティブな影響を与えるかもしれない。

  • James Milner Liverpool Napoli 2022-23Getty Images

    リヴァプールが一歩リード?

    様々な観点から、リヴァプールはベリンガムにとって理想的な条件が整っているように思える。そして、ユルゲン・クロップがベリンガムを欲しがってやまない理由も容易に理解できる。

    このドイツ人監督は、今シーズン軋みが見える中盤に、若いエネルギーを必要としている。

    ジョーダン・ヘンダーソン、ジェームズ・ミルナー、チアゴ・アルカンタラは皆30歳以上で、3人合わせて99歳になる。

    クロップは最適なターゲットが現れるまで待つ構えを見せていたが、ベリンガムこそがその男であるという大方の見解だ。だが、リヴァプールのシーズン序盤があまりにも危機的だったため、ウィンドーが閉まる前にアルトゥールのレンタル移籍が電撃決定した。

    だが、このブラジル人は当面の埋め合わせでしかない。リヴァプールにとって一番のターゲットはいまだにベリンガムなのだ。ただし、FSG(リヴァプールの親会社)はたびたび倹約的な態度を見せてきたため、イングランドや欧州のエリートクラブとともにこの19歳の獲得競争に名乗りを上げるのかは疑問がある。

    もちろん、以前はビッグマネーを支払ってきた。ヴィルヒル・ファン・ダイクやアリソンを必要な選手だとして獲得し、センターバックとゴールキーパーの移籍金記録を塗り替えた。ベリンガムも十分このレベルに達しているだろう。

    サディオ・マネ以降の過渡期の始まりと、最近の成功に不可欠だった中心選手たちが自然に衰えていくのを目の当たりにしたとき、クロップとリヴァプールがクラブとしての魅力を維持できるのか、興味深いところだ。

  • Phil Foden Erling Haaland Kevin De Bruyne Man City 2022-23Getty Images

    ドリームチームを編成するシティ

    リヴァプールが過渡期にあるのとは対照的に、シティは向こう数年間リーグを支配しそうだ。この見立てには、ベリンガムのドルトムント時代のチームメイトであるハーランドを獲得できたことが少なからず影響している。

    どんな若手でも、ペップ・グアルディオラ率いる常勝軍団に加入できる可能性に期待しない人はいないだろう。

    個の才能と最高クラスの得点力が融合するとどのようになるのか、ハーランドはその可能性の一端を示してきた。

    ベリンガムにとっては、中盤で他の追随を許さないクオリティを見せるケヴィン・デ・ブライネの隣でプレーできたり、イングランド代表のもうひとりのホープ、フォーデンとの相互理解を高めるチャンスがあることは魅力的だろう。

    さらに、来夏にはギュンドアンの契約が終わるし、ベルナルド・シウバも今回のウィンドーで移籍しそうだった。代わりの選手として主力になれる可能性は十分にあるだろう。

    シティはすでに、一人の選手(ジャック・グリーリッシュ)に1億ポンドを支払う覚悟があることを示した。これだけの大金を投じることにそれほど抵抗はないだろう。

  • 20220526_Todd_Boehly(C)Getty images

    チェルシーの野心家新オーナー

    プレミアリーグでベリンガム獲得を熱望する4つ目のクラブは、チェルシーだ。

    今シーズンが終了すれば、エンゴロ・カンテとジョルジーニョの契約が切れる。ライスが長期的な獲得候補だが、その評価額は1億ポンドを超えている。

    2人のイングランド人を獲得することができれば、新オーナーのトッド・べーリーとクリアレイク・キャピタルからの力強い意思表示になるだろう。中盤は間違いなく手入れが必要なポジションなのだ。

    実際、他のビッグ4よりも、ベリンガムはクラブの課題をチェルシーで解決できるだろう。

    世界は彼のものだ。そして、それを選ぶ権利も彼のものだ。

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