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バルセロナのMSN、レアル・マドリーのBBC…21世紀欧州最高の3トップは?

今また、レアル・マドリーとバルセロナがヨーロッパ最強チームの座を賭けた戦いを繰り広げている。チャンピオンズリーグのディフェンディング・チャンピオンであるレアル・マドリーは、キリアン・エンバペをチームに迎えてさらに強さを増し、その宿敵バルセロナは、ドイツ出身の天才的指揮官ハンジ・フリックの采配の下、リオネル・メッシ退団以降初めて、トップギアに入った状態にある。

このスペインサッカー界の2大クラブは、わずか勝ち点差4でラ・リーガの首位を争っており、コパ・デル・レイの決勝での対戦も決まっている。レアル・マドリーとバルサのどちらが歴史的な三冠を達成できるかまだわからないが、両チームとも強力な攻撃陣を擁しているため、どちらのチームにも可能性は十分にある。

今シーズンの最終章の主役は、間違いなく「エンバペ、ヴィニシウス・ジュニオール、ロドリゴの3人組vsラミン・ヤマル、ロベルト・レヴァンドフスキ、ハフィーニャの3人組」となるだろう。5月末にすべてが決まったとき、新たな「ゴールデン・トリオ」がサッカー史に刻まれることになるかもしれない。

では、彼らはこれまでのどの3人組のスターに肩を並べられる存在なのだろうか。以下に、21世紀の欧州サッカーにおける攻撃トリオのトップ10をランク付けしてみよう。

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    10ポルト:フッキ、ファルカオ、ヴァレラ

    2009年、ポルトは、おそらく史上最も恐ろしい攻撃陣を編成するために世界中を探し回り、アルゼンチンからコロンビアのスター、ラダメル・ファルカオを、日本からブラジルの注目株だったフッキを格安の移籍金で引き抜き、地元育ちでスポルティングCPから放出された魔術師シルヴェストレ・ヴァレラと合流させた。3人はすぐにテレパシーを使っているかのように互いを理解し合い、2010-11シーズンに先立ってポルトの新監督として就任したアンドレ・ビラス・ボアスは、彼らの驚異的な潜在能力に気がついた。

    そのシーズン、フッキ、ファルカオ、ヴァレラの3選手は合計86得点を挙げ、ポルトは1敗もすることなくプリメイラ・リーガのタイトルを獲得。タッサ・デ・ポルトガルも制覇し、さらにヨーロッパリーグのトロフィーも手にした。決定力に優れたファルカオは、ヨーロッパでの試合だけで18得点を挙げ、この記録は現在も破られていない。また、フッキは相手の陣地を自由自在に突破し、ヴァレラが素早い稲妻のようなターンで相手DF置き去りにしたことで、ポルトは誰にも負けないチームとなった。

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    9ドルトムント:ゲッツェ、レヴァンドフスキ、ロイス

    ボルシア・ドルトムントの2012-13シーズンは苦渋に満ちたものだった。ユルゲン・クロップに率いられたチームは、ブンデスリーガのタイトル争いでバイエルンに大きく水をあけられて2位に終わり、DFBポカールでも準々決勝で宿敵に敗れた。それでも、ドイツ勢同士のチャンピオンズリーグ決勝では雪辱を果たすチャンスがあった。

    しかし、残念ながら、ドルトムントはまたしてもそのチャンスを逃すこととなった。ウェンブリーで行われた決勝戦では、89分のアリエン・ロッベンのゴールでバイエルンが2-1で勝利を収めたのだ。しかし、守備陣があれほどまでに崩壊していなければ、間違いなくその年三冠を達成していたのはバイエルンではなくドルトムントだったはずだ。

    マルコ・ロイスとマリオ・ゲッツェはワールドクラスの活躍を見せ、ロベルト・レヴァンドフスキは全公式戦を通じて36得点を挙げて、欧州で最も決定力のあるセンターフォワードとしての地位を確固たるものにした。そのうちの4得点は、チャンピオンズリーグ準決勝でレアル・マドリーを4-1で粉砕した試合で挙げたもので、それは当時監督だったクロップのヘビーメタル的なサッカーがその真価を発揮した瞬間であった。

    バイエルンは、ドイツで最も支配的なチームとしての地位をすぐに奪われるのではないかと恐れて、マリオ・ゲッツェの3,700万ユーロの契約解除条項を発動し、翌年にはフリー移籍でレヴァンドフスキを獲得して、クロップの革命の芽を摘み取った。

  • Costa-Hazard-PedroGetty

    8チェルシー:ペドロ、アザール、コスタ

    ペドロ、エデン・アザール、ジエゴ・コスタは、チェルシーに移籍した当初はチームに溶け込めなかった。2015-16シーズンはプレミアリーグで10位に終わり、パリ・サンジェルマンに敗れてチャンピオンズリーグでベスト16で敗退した悪夢のようなシーズンとなり、3人とも期待外れのパフォーマンスに終わったが、アントニオ・コンテの監督就任で景色は劇的に変化した。

    コスタは22得点を挙げ、アザールとペドロはそれぞれ24得点に関与し、コンテ監督就任初年度にチェルシーがイングランドのトップクラブとしての地位を再び確立するのに貢献した。ブルーズはトッテナムに勝ち点差7、マンチェスター・シティに勝ち点差15をつけて5度目のプレミアリーグ優勝を果たし、FAカップでも決勝に進出したが、最後はアーセナルに敗れた。

    中盤での素晴らしい活躍により、PFA年間最優秀選手賞を獲得したのはエンゴロ・カンテだったが、コスタ、アザール、ペドロも受賞に値する活躍を見せた。コスタは前線で圧倒的な力を発揮し、アザールはゼロから試合を決定づけるようなプレーを生みだし、ペドロは左ウイングで常に脅威となった。欧州での試合経験の差で、チェルシーは国内のライバルたちに対し確実に優位に立っていたが、この3選手がその潜在能力を最大限に発揮する姿は見る者を喜ばせた。

  • FBL-FRA-LIGUE1-NIMES-PSGAFP

    7PSG:エンバペ、カバーニ、ネイマール

    エディンソン・カバーニはPSGでの最初の4年間でゴールを量産し、すでにクラブの伝説にその名を刻んでいたが、2017-18シーズンを前に、フランスの巨人は彼のサポート体制を強化するために動き、その過程で記録を更新した。バルセロナからPSGに移籍したネイマールは、2億2,200万ユーロ(約356億円)の契約で世界最高額の選手となり、一方、エンバペはモナコから1億8000万ユーロ(約290億円)で引き抜かれた。

    PSGの新しい3トップはすぐに息が合い、最初のシーズンで合計87得点を挙げ、PSGはフランスの4つの国内タイトルをすべて獲得した。チャンピオンズリーグのラウンド16でレアル・マドリーに大敗したことは彼らの功績の輝きをいくらか薄めてしまったが、同大会のグループステージでバイエルン・ミュンヘンを3-0で一蹴したことでも明らかなように、そのシーズンのPSGは真にエリートチームだった。

    ネイマールは、類まれなドリブルとパスでゲームをコントロールし、その法外な移籍金に見合う活躍を最大限に発揮した。一方、エンバペはヨーロッパの新しいスーパースターとしての期待に応え、カバーニはズラタン・イブラヒモヴィッチがPSGで記録した通算得点記録を更新した。当時の彼らの勢いは止まるところを知らず、「MEN」は、今シーズンまで間違いなくクラブ史上最強のトリオであった。

  • Arsenal's  Dennis Bergkamp celebrates hiAFP

    6アーセナル:ピレス、ベルカンプ、アンリ

    2000年から2004年の間、ロベール・ピレス、ティエリ・アンリ、デニス・ベルカンプの3選手は、アーセナルの一員としてプレミアリーグの128試合で合計272得点を記録した。この間、2度のリーグ優勝を果たし、当時のアーセン・ヴェンゲル監督の下、2003-04シーズンの全試合を無敗で終えた「インビンシブルズ」の一員として、そのテクニックとボールさばきの優雅さで全国のファンを魅了した。

    ピレスは両足の使い分けが巧みなマジシャンであり、守備陣を翻弄することができた。ベルカンプは神から授かった見事なファーストタッチの持ち主であり、アンリはイングランドサッカー史上最高の万能なセンターフォワードであった。彼らは共にサッカーのピッチで新たな卓越性の基準を打ち立て、アーセナルが、ヨーロッパ中のクラブが羨む独特のスタイルを築くのに貢献した。

    この時期、アーセナルはチャンピオンズリーグでは準々決勝を突破することができなかったが、3人の主力選手はそれぞれに足跡を残した。特に、2023年にサン・シーロで行われたインテル戦での5-1の勝利に貢献し、記憶に残るハットトリックを達成したアンリは、その象徴的存在であった。一方、ピレスは2021-22シーズンのレヴァークーゼン戦で素晴らしい個人技から試合を決める得点を決めた。また、ベルカンプは同じシーズンのホームでのユヴェントス戦で、フレディ・ユングベリにおそらくはヨーロッパ史上最高のパスを出し、3-1の勝利に貢献した。

  • FBL-EUR-SUPERCUP-LIVERPOOL-CHELSEAAFP

    5リヴァプール:サラー、フィルミーノ、マネ

    クロップは2017-18シーズンに、スターGKのアリソン、圧倒的なオランダ代表DFフィルジル・ファン・ダイク、そして後にクラブの「エジプト王」となるモハメド・サラーを獲得し、無敵のリヴァプールを完成させた。元ローマのFWであるサラーは魅惑的なドリブルと冷静なフィニッシュでたちまち衝撃を与え、ロベルト・フィルミーノやサディオ・マネとともにリヴァプールのオールスター前線トリオを完成させた。

    その後4年間で、この容赦ないサラー、フィルミーノ、マネの3人は、どんな相手にも抑え込まれることなく、チャンピオンズリーグ、プレミアリーグ、カラバオカップ、FAカップでリヴァプールを成功に導いた。3人が共にプレーした期間中、サラーは65得点21アシストを記録し、得点とアシストの主な供給源となったが、マネも61得点に絡み、フィルミーノも50得点を超える素晴らしい成績を残した。

    マネのスピードと攻撃力は誰にも止められず、フィルミーノは、その巧みな動きで、深めのブロックで守ってくる相手を崩すのに貢献する素晴らしいつなぎ役だった。一方、サラーは、リヴァプールが最も必要とする時に魔法のような輝きをもたらす存在だった。

    フィルミーノとマネはすでにチームを去り、クロップもいない。一方、サラーは32歳となった今もなお、リヴァプールで活躍を続けている。しかし、もはやサラーも、リヴァプールですら、「ファブ・スリー」が絶頂期にアンフィールドでその実力を遺憾なく発揮していた時ほど、観る者をワクワクさせてくれてはいない。

  • Rooney-Tevez-RonaldoGetty

    4マンチェスター・U:C・ロナウド、テベス、ルーニー

    クリスティアーノ・ロナウド、カルロス・テベス、ウェイン・ルーニーの3選手はマンチェスター・ユナイテッドで2シーズンしか一緒にプレーしなかったが、その間、クラブに5つのトロフィーをもたらし、イングランドサッカーにおける卓越性に新たな基準を打ち立てた。2007年から2009年の間、マンチェスター・Uの3人のスーパースターは、サー・アレックス・ファーガソンのチームがプレミアリーグ連覇とチャンピオンズリーグ優勝を果たし、クラブ・ワールドカップとリーグカップも制覇した際、合計140得点61アシストを記録した。

    この3人組は、C・ロナウドがレアル・マドリーに誘われてサンティアゴ・ベルナベウへ行き、テベスが物議を醸した末にかの有名な「ようこそマンチェスターへ」の看板で完結した移籍でマンチェスター・Uの騒がしい隣人であるマンチェスター・シティへ移籍したことで、解散した。しかし、彼らがオールド・トラッフォードでこれほどの短期間に与えた影響が伝説的なものになることは間違いない。実際、ルーニー、テベス、ロナウドの3人が縦横無尽に駆け回る姿を間近で見たことがある人物は、彼らほどのオールラウンドなトリオはプレミアリーグに二度と現れないだろうと確信している。

    「1年間、ルーニーとC・ロナウドと一緒にプレーしていた時のテベスのプレーは、まさに息をのむようなもので、この世のものとは思えないほどだった」と、2020年、ガリー・ネヴィルは語った。「素晴らしい才能の持ち主だっただけでなく、あの3人には自分勝手で恐ろしく、いやらしいほどの決意があった。ピッチ上でのC・ロナウドは別人で、決して人を蹴ったり、追い回したり、しつこく絡んだりはしないが、パフォーマンスのレベルは非常に高かった。ルーニーとテベスはストリートファイターで、信じられないほどの能力を持っていた。プレミアリーグ最高の3トップだ。私にとって、この3人を上回る選手は金輪際いない」。

  • Barcelona's French forward Thierry HenryAFP

    3バルセロナ:アンリ、エトー、メッシ

    ティエリ・アンリ、サミュエル・エトー、リオネル・メッシの3選手はバルセロナですぐに成功を収めたわけではなかった。フランク・ライカールトがカンプ・ノウで指揮を執った最後のシーズン、バルサはトロフィーをひとつも獲得できず、アンリはチーム内得点王でありながら、全公式戦を通じて19得点という平凡な数字だった。

    しかし、2008-09シーズンを前にライカールトの後任としてバルサのBチームの監督から昇格したペップ・グアルディオラの下で、すべてがうまく回り始めた。ペップの指揮の下、バルサはあらゆるライバルを寄せ付けず、メッシ、エトー、アンリが全公式戦を通じて合計100得点という驚異的な得点を挙げ、三冠を達成した。

    バルサはマンチェスター・ユナイテッドを圧倒し、2-0でチャンピオンズリーグ決勝に勝利。コパ・デル・レイの決勝ではアスレティック・ビルバオを4-1で粉砕し、さらにラ・リーガでは宿敵のレアル・マドリーとアトレティコ・マドリーをそれぞれ6-2、6-0で下した。グアルディオラは、サッカー史上最高のチームを作り上げたが、メッシの魔法、アンリの効率性、エトーの冷酷さが生んだコンビネーションは、国内外のバルサの対戦相手にとって手に負えないものだった。

  • FBL-ESP-LIGA-ELCHE-REALMADRIDAFP

    2レアル・マドリー:ベンゼマ、ベイル、C・ロナウド

    2013年から2018年の間、レアル・マドリーはチャンピオンズリーグをほぼ独占していた。C・ロナウド、カリム・ベンゼマ、ガレス・ベイルが重要な試合で常に活躍し、ロス・ブランコスは5シーズン中4シーズンで、この欧州で最も権威のあるトロフィーを掲げたのだった。

    ベイルはスピード、ベンゼマはパワーを誇り、C・ロナウドが究極の点取り屋として活躍したことで、レアル・マドリーは恐らく今後は誰も成し遂げることのできないだろう優勝マシーンとなった。彼らが揃ってラ・リーガを優勝したのは1度しかないが、それは主にこの期間にチームがヨーロッパでの戦いを優先していたためであり、ジネディーヌ・ジダンのダイナミックな布陣はノックアウト方式の大会により適していた。

    この有名な「BBC」トリオは、合わせて442得点を記録し、1試合平均でほぼ2得点を挙げた。C・ロナウド、ベンゼマ、ベイルの周囲には記録が乱立し、ゴールへの飽くなき欲求と、どんなことをしてでも勝利を手に入れようとするメンタルが、彼らを他の選手たちから際立たせていた。

  • Messi Neymar Suarez Barcelona 16032016Getty Images

    1バルセロナ:メッシ、スアレス、ネイマール

    このリストのこれまでの9つのトリオはすべてワールドクラスだったが、1位にふさわしい特別な3人を選ぶのは難しくなかった。メッシ、ルイス・スアレス、ネイマールは2014年から2017年の間、カンプ・ノウで完璧な連携を見せ、バルセロナはピッチの他のエリアでは50%ほど機能しさえすればよかった。3人のうちの誰かがボールを持てれば、勝利は常に手の届くところにあったのだ。

    537の得点に関与し、7つのトロフィーを獲得しただけでなく、2014-15シーズンにはバルサにとって2度目となる三冠を達成した「MSN」は、他に類を見ない素晴らしいパフォーマンスを披露した。サッカー史上最も才能ある南米出身の3選手が集まり、常に素晴らしい試合が繰り広げられたわけだが、メッシ、スアレス、ネイマールは息がぴったりで、まるで共生関係にあるかのように、信じられないほどの芸術的なプレーを披露した。

    メッシが指揮者の役割を担い、ネイマールが鍵を開け、スアレスが最後の仕上げを担当した。だが、彼らは自由に役割を入れ替えることもでき、その予測不可能な動きが彼らの効果を高めていた。バルセロナには、この時のチームより優れたチームがある時もあったが、これほど優れた3トップは二度と現れないだろう。