Barcelona transfer priorities GFXGetty/GOAL

バルセロナ今夏の「To Doリスト」:財政難解消へ売却選手を選定→CB&SB、ラフィーニャ控えの獲得を

2024-25シーズン開始時点で、財政難に陥るバルセロナがこれほど成功したシーズンを送ると予想していた識者はほとんどいなかった。ついにキリアン・エンバペを迎えたレアル・マドリーがタイトルを独占すると考えた人がほとんどだっただろう。

しかし蓋を開けてみれば、その宿敵レアル・マドリーを1シーズンで4度も下し、ラ・リーガとコパ・デル・レイ優勝を達成。ハンジ・フリック監督による際立ったハイライン&ハイプレススタイルは多くのものを魅了し、さらにそれを多数のラ・マシア出身選手とともに成し遂げたことは大きな価値のあるものだった。

そしてこの成功により、今夏にはある程度重要な補強を行う資金も得たはずだ(UEFAの制裁も噂されるが…)。今回『GOAL』は、バルセロナがすべきことのプライオリティを分析していく。

文=マーク・ドイル

  • RCD Espanyol de Barcelona v UD Las Palmas - La Liga EA SportsGetty Images Sport

    守護神問題の解決を

    バルセロナにとって、GKは優先度の高い補強ポジションではないように思われていた。マルク=アンドレ・テア・シュテーゲンがシーズンの大半を欠場したものの、緊急補強で加入したGKヴォイチェフ・シュチェスニーは期待値以上の素晴らしい活躍を見せている。

    しかしデコSD(スポーツダイレクター)は、ジョアン・ガルシアの獲得を決断したようだ。確かに今季スペインで最も印象的な守護神を、わずか2500万ユーロで獲得できるチャンスを逃すわけにはいかない。数多くのビッグクラブが関心を示す中でカタルーニャの直接のライバルに移籍すると予想した人はほとんどいなかっただろうが、バルセロナは今後10年間は期待できるGKを手にすることになる。

    そして当然、残る3人のGKの行方に注目が集まっている。ハンジ・フリックの信頼を掴めなかったイニャキ・ペーニャの退団は近いかもしれないが、テア・シュテーゲン(33歳)とシュチェスニー(35歳)のどちらかも残留は難しいだろう。そして、より市場価値が高いのは前者である。たとえキャプテンに退団の意思がなかったとしても、クラブは売却を進める可能性が高い。

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  • Ansu Fati Barcelona 2025Getty Images

    アンス・ファティに新天地を

    2019年のデビュー当時、アンス・ファティはそれこそラミン・ヤマルのような存在だった。恐れ知らずのティーンエイジャーは次々とバルセロナの記録を塗り替え、驚異的な才能を遺憾なく発揮していた。

    しかし、今のファティにバルセロナでの居場所はない。度重なる大ケガに苦しみフォームを失うと、昨季のブライトンへのレンタルもうまくいかず。今季は再びバルセロナでプレーしたが、先発出場はわずか3試合。ゴールやアシストもなかった。ヤマルという存在が現れた今、彼のバルセロナでの時間は終わってしまったと言える。

    そしてバルセロナとモナコは、ファティのレンタル移籍に関して合意間近と伝えられている。リオネル・メッシの10番を受け継いだ選手の退団は当然、悲しいことだ。それでもこの移籍は、関係者全員にとって最善の選択となるはずだ。

  • FBL-EUR-C1-INTER MILAN-BARCELONAAFP

    サイドバックの補強を

    そして今のバルセロナが強化すべきポジションは、おそらくサイドバックだろう。ジュール・クンデとアレハンドロ・バルデは今季素晴らしい活躍を見せたが、シーズン全ての試合を戦えるわけがない。単純に休息が必要だ。だが両者を欠いた試合は、攻守両面で不安が露呈する結果となっている。

    ジェラール・マルティンは、インテルとのセカンドレグでは確かに良いプレーを見せたが、逆にファーストレグは前半で交代している。エリック・ガルシアはクンデの代役として適任かもしれないが、本職はセンターバックであり、また守備的MFとしてのプレーも期待できる。だからこそ、本職がサイドバックである選手は必要になりそうだ。現在噂になっているのはレヴァークーゼンDFアレックス・グリマルドだが、左右両サイドで補強したい。

  • FC Barcelona v Real Madrid CF - La Liga EA SportsGetty Images Sport

    イニゴ・マルティネスの後継者

    ヨナタン・ターを逃したのは大きな痛手だった。あのクラスのセンターバックをフリーで獲得できる機会などほとんどない。結局バルセロナが彼の登録を約束できなかったことが原因となったようだが、またも財政難が立ちはだかっている。

    現在は驚くべき才能であるパウ・クバルシと、イニゴ・マルティネスが現代フットボールでも稀に見るハイラインを支えている。しかし、イニゴ・マルティネスはもう34歳。プレー時間をコントロールすべきタイミングである。彼の後継者を探さなければならない。

    そのポジションにおいて、バルセロナは現在も選択肢という意味では豊富だ。ロナルド・アラウホやアンドレアス・クリステンセンもいる。しかしアラウホは、試合ごとのパフォーマンスにばらつきがあり、クリステンセンはケガから復帰したばかり。エリック・ガルシアは前述のとおりだ。数多くの関心を集めるアラウホを売却し、新たなセンターバックを加えることが最善の選択になりそうだ。

  • Luis DiazGetty Images Sport

    ラフィーニャのバックアップを

    おそらく、ラフィーニャは現在世界最高峰の左ウイングだ。バロンドールの有力候補とも言えるだろう。放出候補から、フリックの下で現チームの精神的支柱にまで成長している。来シーズンもその活躍には期待していいだろう。

    だが彼もイニゴ・マルティネスと同じで、ハイパフォーマンスを維持するためにもプレー時間はコントロールしたい。また、ラフィーニャをストライカーポジションへ移す計画も進行中と予想されているようだ。そのため、やはり左サイドをカバーできる選手は必要になる。

    現在伝えられる候補としては、ルイス・ディアス、マーカス・ラッシュフォード、アデモラ・ルックマンの3人。ニコ・ウィリアムズは金銭的に現実的ではないようだ。

    ディアスはデコSDのファーストチョイスであり、家族は移籍に前向きなコメントを残している。しかしリヴァプール側に放出する気は一切なく、彼らの気持ちを変えるだけの金額は支払えない。

    一方でラッシュフォードとルックマンは、獲得できる可能性は大いにある。それぞれ所属クラブ(マンチェスター・ユナイテッドとアタランタ)を退団する意向を示しているためだ。あとは移籍金の問題であり、様々な制約がある中でどう資金を用意するかは、SDの腕の見せ所になりそうだ。

  • Gavi Barcelona 2025Getty Images

    主力の優先順位を

    デコSDは先日、今夏の移籍市場で「無茶な動き」をするつもりはないと明言した。補強は「2~3人、多くて4人」に限定する方針だという。一方で、「最高の選手を売却することはない」とも宣言した。ラフィーニャ、ペドリ、ヤマルの新契約はそれを裏付けるものである。

    だが、不安はある。登録問題に揺れたダニ・オルモは、仮にラフィーニャが中央ポジションに収まった場合、クラブに残しておくほどの財政体な余力はあるのか。10月に長期離脱から復帰して以降、ベストコンディションに戻っていないガビをどうするのか(彼にはPSGが巨額オファーを準備している可能性がある)。さらに、フェルミン・ロペスはインテルとマンチェスター・ユナイテッドのターゲットになっている。

    いずれにせよ、バルセロナは深刻な財政難から数人の主力を売却しなければ補強に動けない可能性が高い。となると、フリックが誰を手放せないのか、明確に序列を整理することが必要だ。素晴らしかったシーズンを終えた彼らだが、結局は今夏も最後まで大きく揺れることになるかもしれない。