Saliba Arteta Jesus Arsenal

アーセナルの今季を番記者が採点:最高の選手に最大のサプライズは誰?唯一懸念は?首位チームの分析

ではそのアーセナルで、誰が主役だったのだろうか? ミケル・アルテタ監督の下で違いを作った選手、そして今後さらなる進化が必要な選手について、『GOAL』のアーセナル番記者チャールズ・ワッツが分析する。

  • William Saliba Arsenal 2022-23Getty

    ベストプレイヤーは?

    ガブリエウ・ジェズス、グラニト・ジャカを筆頭に、マルティン・ウーデゴールなどアーセナルの序盤戦には様々なスターが存在した。この部門の選出は極めて難しい。それでもあえて1人を選出するならば、ディフェンスの中心として躍動し、さらに2ゴールを挙げる印象的な活躍を見せたウィリアム・サリバに軍配が上がる。

    今シーズンの初めには、この21歳に大きなプレッシャーがかかっていたことは忘れてはならない事実だ。昨季までのレンタルを経て、アーセナルでの高い要求に応えられるかはまったくの未知数だった。しかしスムーズにプレミアリーグへ適応し、すでに何年もこの地でプレーしていたような自信を感じさせる。ガブリエウとの関係も抜群で、期待値を大きく上回るプレーを継続中だ。

    素早く、強く、冷静にボールをさばき、誰よりも展開を読んでいる。さらに2ゴールを奪っているように、相手ボックス内でも脅威になれることを証明している。

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  • Vieira-Arsenal-2022-23Getty

    ベストパフォーマンスは?

    繰り返すようだが、何試合もある。レスター戦(4-2)の攻撃はスリリングだったし、クリスタル・パレス戦(2-0)の前半30分は格別だった。オールド・トラッフォードで敗れたマンチェスター・ユナイテッド戦(1-3)でさえ、輝きを放つ時間も多かった。

    しかし90分間の完全なパフォーマンスという点では、アウェーのブレントフォード戦(3-0)の勝利が今季一番の出来だっただろう。ビッグクラブでも苦戦するスタジアムを最初から最後まで支配し、3ゴールを奪いながらクリーンシートを達成している。

    完ぺきな内容での勝利だが、さらなる要求をするとすれば3点「しか」奪えなかったこと。フィニッシュの精度があればもっとスコアが動いたはずだ。とはいえ、前月にマンチェスター・Uが敗れた地でこのパフォーマンスは非常に印象的だ。

  • William Saliba Arsenal Bournemouth

    ベストゴールは?

    レスター戦でジェズスが決めたループシュートは圧巻だし、ボーンマス戦でウーデゴールが沈めた得点はアーセナルを象徴するようなチームプレーだった。ブレントフォード戦のファビオ・ヴィエイラの正確無比なミドルシュートも素晴らしい。

    だが、やはりサリバのボーンマス戦が最高だった。加入後初にして、逆足の左足で、美しいカーブのかかったシュート。ワールドクラスのストライカーのようなゴールだ。お見事である。

  • Gabriel Jesus Arsenal Leicester 2022-23Getty

    最高の補強は?

    これは1人しかいないだろう。

    オレクサンドル・ジンチェンコは素晴らしいし、ヴィエイラやマルキーニョスも少ない出場時間で持ち味を発揮している。だが、ジェズスの衝撃は別格だ。マンチェスター・シティからやってきたこのブラジル代表FWは、アーセナルの攻撃を完全に変えてしまった。

    すでに4500万ポンドはバーゲン価格になった。リーグ戦ではここまで4ゴールだが、容易にこの数字を伸ばしていきそうだ。

  • Marcus Rashford Manchester United Arsenal 2022-23Getty Images

    最悪の出来事は?

    マンチェスター・U戦の敗北で間違いない。

    だがパフォーマンスが残念だったわけではなく、アーセナルがその優位性を生かせなかったことである。ここ数年のオールド・トラッフォードではひどいパフォーマンスに終始してきたが、今回は違った。試合の大部分において素晴らしかった。しかし、いくつかの無駄なフィニッシュとずさんな守備でスキを与えてしまったのだった。

    同点に追いついた後に冷静さを失い、反撃を許すことになった。試合はマンチェスター・Uの勝利。しかし、アーセナルから見れば自分たちが勝つべき試合だっただろう。

  • Gabriel Martinelli Arsenal Aston Villa 2022-23Getty Images

    最もポジティブなことは?

    7試合で6勝を挙げプレミアリーグ首位を走っていることを考えれば、アーセナルのシーズン序盤はポジティブな要素だらけだ。

    相手最終ラインへ威嚇するように広がっていく強烈なプレッシングは昨季ではあまり見られなかったものであり、守備強度も上がっている。また、スタメンがケガをしたときなど必要なときに奮起する効果的な選手たちがベンチに座っていることも重要だ。

    だが最大のプラス要素は、「逆境にチームとしてどう反応するか」だ。

    フラム戦(2-1)では後半に先制されたものの、昨季のリーグ戦では一度しかなかった逆転勝利を収めている。またレスター戦やアストン・ヴィラ戦(2-1)は、追いつかれた直後に勝ち越し弾を決めた。ここ数年間は逆境に直面すると心が折れてしまうような感覚もあったが、この反応は非常に心強い。残りのシーズンに向けても良いサインだ。

  • Granit Xhaka Arsenal 2022

    最大のサプライズは?

    グラニト・ジャカは、ここまで誰もが予想できなかった形で計り知れない活躍を見せている。

    このスイス代表がアーセナルから消えていく1年になると予想した人もいただろう。特に慣れ親しんできた中盤の低い位置でプレーではなく、より高い位置でのプレーを要求されたことで「構想から外れるだろう」と考えた人は少なくなかったはずだ。

    だが、彼のパフォーマンスは卓越している。最初の7試合で3アシストを残し、ゴールも奪った。アルテタのチームシートには一番に名前が来るほど、文句のつけようがないプレーを継続している。

  • Bukayo Saka 2022-23Getty

    奮起が必要なのは?

    7試合で1ゴール4アシストの結果を考えれば、ブカヨ・サカをこの項目に選出するのは酷な気もする。だが、過去数シーズンに見せたような輝きにはまだ至っていないのも事実だ。

    しかし考えようによっては、たとえベストコンディションではなかったとしてもファイナルサードで貢献できていることはプラスである。今後の改善も期待できるからだ。さらに、アーセナルが過去数年ほど彼に依存していないことも心強い。

  • Martinelli Ethan Nwaneri Arsenal

    懸念すべき要素は?

    これまではケガ人にもうまく対処しているが、ジェズス、サカ、ガブリエウ・マルティネッリらが離脱した際にチームをどうマネジメントするかは懸念要素だ。

    アルテタは移籍市場の終盤で選手の獲得を希望していたようだが、最終的にクラブ側は慌ただしくその衝動に駆られることはなかった。その決断を後悔するようなことが起きなければいい。特に試合が重なった時期にはそれを願うしかない。

    だが、リーグ内のライバルと比べれば層の薄さは隠しようがない。ブレントフォード戦ではイーサン・ヌワネリが史上最年少デビューを飾った。これ自体は喜ばしいことだが、同時にスカッドへ残る不安が露呈したことも言えるだろう。

  • Mikel Arteta Gabriel Martinelli Arsenal 2022-23Getty

    アルテタの仕事ぶりは?

    この指揮官が今季にやってきたことを批判するのは難しい。確かに移籍市場でもう1人獲得するべきだったかもしれないが、その分野で彼ができることは限られている。

    ピッチ上では新加入選手たちが躍動し、ほぼすべてのことがうまくいっている。チームパフォーマンスも最高で、結果も申し分ない。アルテタの交代策も今季は適切に行えているだろう。唯一マンチェスター・U戦の同時3枚替えはネガティブ結果を呼んでしまったが、それを除けばミスはないと言える。

    これから迎える宿敵トッテナムとのダービーマッチ、さらに控えるリヴァプール戦など、彼の采配のおかげで自信を持ってビッグマッチに臨むことができそうだ。