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ライス獲得に190億円を支払ったアーセナル。マン・Cに足りないものを見せつける舞台は整った

火曜日の夜、アーセナルがRCランスに1-2の敗戦を喫した後、デクラン・ライスは苛立ちを絵に描いたようだった。彼は、ガナーズが“支配していた”と感じていた試合をどのように失ったのか、まったく理解できなかった。しかし、今季初黒星に失望しながらも、落胆はそれほどしていない。

「ウォーミングアップをして、自分たちのリズムを取り戻したところだ。我々の焦点はリーグ戦に戻る」

確かに後者の主張は間違っていない。2023-24シーズンのプレミアリーグはまだ7試合しか消化していないが、昨シーズンのトップ2がエミレーツで対戦するのは、すでにホーム側にとって絶対に負けられない試合のように感じられる。

アーセナルは昨シーズン、シティとの2試合で完敗を喫し、その2敗はシチズンズの最初の復活と最終的なタイトル獲得に極めて重要な役割を果たした。そのため、8月のコミュニティ・シールドではガナーズがPK戦でシティに競り勝ったとはいえ、ミケル・アルテタ率いるチームには、本当に大事なときに3冠王者を倒せることを示すプレッシャーがかかっている。

アーセナルは2019年12月にアルテタが監督に就任して以来、シティとのプレミアリーグでの対戦では7戦全敗を喫していることを忘れてはならない。だからこそ、元アーセナルDFのウィリアム・ギャラスは「彼らは大舞台に対応できることを証明し、度胸を見せ、マン・シティに今シーズンは状況が変わることを示す必要がある」と語った。

ライスがノース・ロンドンでの時間をポジティブにスタートさせた一方で、日曜日に証明すべきこともたくさんある。

  • Declan Rice Arsenal 2023-24Getty Images

    とんでもない高額

    ウェストハムから1億500万ポンド(約191億円)で移籍した24歳は、アーセナルで試合に出場する前から、自分に永遠に“値札”というものがついて回ることを知っていた。メディアも周囲も現代フットボール界ではそういうものだ。

    実際のところ、ライスに1億500万ポンドの価値はない。チェルシーの愉快で無謀なオーナーでさえ、移籍金の大きさに尻込みするのであれば、その選手がとんでもなく高値で取引されていることがわかるだろう。

    しかし、いつものように文脈がカギとなる。リヴァプールが夏に理解したように、効果的な守備的MFを見つけるのは最近非常に難しく、したがって、信じられないほど高価になる。アーセナルは、オフシーズンの間に、しかもシティからの関心にもかかわらず、市場で最高の選手の一人を獲得したことは評価されてしかるべきだろう。

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  • Rodri Man City 2023-24Getty

    シティへ行っていた場合

    もちろん、3冠を達成したシティは、クラブ史上最高額の移籍金を支払うほどライスを必要としていなかった。だからといって、アーセナルでライスの価値を証明できないわけではない。

    ガナーズとは対照的に、シティはライスと同じポジションのロドリをすてに保有していた。それにロドリはまだ27歳である。

    ペップ・グアルディオラは通常、実質的に10番としてプレーする2人の8番と、補助的なミッドフィルダーとして機能するセンターバック(ジョン・ストーンズ)をサイドに送り出すことを好むため、ライスは優先的な契約とは言いがたかった。

    そのため、ライスが加入していたら、どこでプレーさせるかはすぐに問題になっただろう、ロドリが6番のファーストチョイスであることは明らかである。

  • Pep Guardiola Manchester City 2023-24Getty Images

    ペップが抱える中盤の問題

    とはいえ、アーセナルがライスを獲得したことは、シティが今週末、非常に厄介な立場に立たされることを意味する。

    ペップは、2週間前のノッティンガム・フォレスト戦で愚かにも退場処分を受けたロドリに目に見えて嫌悪感を示し、トンネルに向かってとぼとぼ歩くスペイン代表選手を睨みつけた。

    グアルディオラはカルヴィン・フィリップスを信頼していないようで、どのような布陣となるかは興味深い。

    もちろん、グアルディオラは、一見乗り越えられない問題に意外な解決策を見出すことができる名策士だが、アーセナルとしてはシティの人選のジレンマを絶対に利用しなければならない。

  • Declan Rice Arsenal Getty Images

    ライスの実力を見極める

    正直に言おう、ライスはアーセナルを勝たせるために大金で買われたのだ。アーセナルのレジェンド、パトリック・ヴィエラのような、タイトル争いのライバルとの直接対決を指揮するのに必要なクオリティを備えた個性的な選手を求めていたのだ。

    もちろん、ライスはヴィエイラではない。少なくとも今はまだプレミアリーグ最高の守備的MFではない。それは明らかにロドリであり、トッテナムのMFイヴ・ビスマが次点で、アンジェ・ポステコグルー監督の好スタートを支えている。

    スタッツが物語るように、ライスはポゼッション、デュエル、タックルを制することに長けているわけではない。実際、今シーズン、タックルに成功した回数はブカヨ・サカより少なく、ボールを奪い返した回数はマルティン・ウーデゴールより少ない。

    また、前に出る回数も少ない。ロドリもビスマも、より多くのパスをこなし、選手を打ち負かすことに長けている。だからこそ、ロイ・キーンやグレアム・スーネスといった中盤の象徴たちは、ライスが真に偉大なミッドフィルダーとして名を残すには、もっともっと自分のプレーに磨きをかけなければならないと考えているのだ。キーンは開幕時にこう語っている。

    「アーセナルは明らかに、彼に高すぎる金額を支払っている。でも彼は良い選手だ。彼のフィジカルの強さについて話したことがある。昨シーズンの最後の1、2カ月にアーセナルに欠けていたものだ。デクランがどれほどの選手なのかは、これから1、2年でわかるだろう。パスを見極め、シーズン9、10ゴールを挙げるという点で、彼は本当にトップクオリティを持っているのか。すぐにわかるだろう」

  • Mikel Arteta Declan Rice Arsenal 2023-24Getty

    ガナーズでの好スタート

    ライスに言わせれば、アーセナルでのキャリアをこれ以上うまくスタートさせることはできなかっただろう。移籍金によって肩にのしかかる期待の重みを考えれば、彼は今日まで印象的なほどの自信とダイナミズムでプレーしてきた。

    プレミアリーグ初出場の前にアーセナルのチャントを歌うなど、すでにファンから愛され、ドレッシングルームで最も人気のある選手の一人となった。

    実際、エミレーツではすでに、将来のアーセナル・キャプテンを見ているような雰囲気が漂っており、その理由を理解するのは簡単だ。

    アルテタが言うように、アーセナルが“勢い”を必要としていた9月初めのマンチェスター・ユナイテッド戦での3-1の勝利では、ライスが多くのものを提供した。エミレーツを歓喜の渦に巻き込んだ96分の先制ゴールもそうだ。

    ライスは「前にも言ったけど、値段はコントロールできないんだ。でも、ここに来たときは、できるだけそれをブロックしようとしたし、一貫性を保ちたい。アーセナルでの生活はうまくスタートできたけど、まだまだやれることはたくさんある」と話した。

    そして、それは紛れもなく真実であり、特に、ウェストハム時代よりも攻撃的なポジションを定期的に任されるようになっている。彼には、攻撃の幅を広げ、スキルを向上させる責任がある。

    つまりシティ戦では、アーセナルはライスにベストを尽くしてもらう必要がある。

  • Declan Rice Arsenal 2023-24Getty

    ライスはロドリのレベルに到達できるか?

    ロドリが欠場となった今、ライスはこの試合の重要な戦場を完全に掌握するチャンスを手にしている。ライスは試合を読む目が素晴らしく、インターセプトに関してはプレミアリーグでこれ以上のMFはいない。

    また、ファウルを与える回数がいかに少ないか(今季ここまでわずか3回、ロドリの4分の1)にも注目すべきであり、いかにクリーンかつ効率的に相手の攻撃を寸断しているかを物語っている。

    ライスはまた、ボールを可能な限り素早く動かすアーセナルの試みには欠かせない存在となっている。パス成功率は92.44%で、ここでもロドリ(95.21%)と同じクラスではないが、それでも非常に印象的だ。

    さらに、ライスは明らかに冷酷な野心家である。過去には、国際レベルでアイルランドからイングランドに鞍替えし、最近では愛するウェストハムを捨ててロンドンのライバル、アーセナルに移籍した。彼はあまりに謙虚で(そして聡明で)公には認めないが、自分にはロドリのレベルに達するだけの資質と態度があると信じているはずだ。

    しかし、今のマンチェスター・ユナイテッド相手に違いを生み出すことと、シティを圧倒することはまったく別の話だ。今日の試合において、間違いなくこれ以上のチャレンジはない。果たしてライスはその課題にクリアできるのだろうか。

    少なくとも、彼はロドリから欠場という大きな助けの手を差し伸べられている。つまり、ライスにとっては、アーセナルに自分の価値を証明すると同時に、マン・シティに欠けているものを正確に示す、輝かしいチャンスなのだ。ライスはそれをつかみ取るしかない。