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Getty今夏にマンチェスター・Uから完全退団を容認され、最終的に願いが叶って移籍が実現したアントニー。獲得時に8500万ポンドを投じたマンチェスター・Uからすれば、財政的損失を被った格好だ。また、アントニーの成績からも公式戦96試合の出場で12得点と大きなリターンを得られず、選手はシーズンを重ねるごとにチーム内で序列を落としていった。
不要と判断されたアントニーは今年1月、ベティスへとローン移籍すると、26試合の出場で9ゴールと活躍し、チームのカンファレンスリーグ決勝進出に大きく貢献。ローン移籍が終わると、ひとまずマンチェスター・Uに戻り、構想外の選手として名を連ねた。
そんなアントニーはマンチェスターUに戻って以降、1stチームから離れてのトレーニングを余儀なくされ、一時的にホテル暮らしに。スペイン『El Desmarque』でこの夏の移籍市場最終盤までもつれたベティスへの完全移籍について、マンチェスターUの対応に首をかしげる。
「イングランドでの数カ月は本当につらいものだった。40日以上もホテルにこもり、チームから切り離されて練習を続けるしかなかったからね…彼らは僕を軽んじたように感じるが、それは本質的な問題じゃない。論争を巻き起こすつもりなんてないけど、それが現実だ。クラブにはとても感謝している。悪いときもあったけど、良いときもあった。2つのタイトルを獲得したときもあったしね。移籍が成立する4、5日前に家族がセビリアに渡り、家を借りていた」
Gettyアントニーはマンチェスター・U時代にFAカップとカラバオカップの優勝を経験。どちらのトロフィーもアヤックス時代から師事したエリック・テン・ハーグ氏のもとで獲得したものだ。そうして今、イングランドでの忘れがたき時期を経て、次の目標に向かって歩みを進める。
その目標の1つがブラジル代表だ。代表として16キャップを刻むアントニーはカルロ・アンチェロッティ監督が率いる2026年ワールドカップ(W杯)メンバー入りを切望し、「それは夢。W杯に出たことがあるけど、もちろん、2度目を夢見ている。国を代表するのはいつだって素晴らしいことだし、今のように自分の仕事を全うして、代表入りを果たせればと思う」と述べている。
アントニーは2022年W杯を経験。新型コロナウイルスの影響で1年延期となった2020年東京オリンピックでは若きブラジル代表として金メダルを獲得している。
再び笑顔を取り戻してプレーするのはアントニーにとって、真の実力発揮に繋がるはず。イングランドでの苦悩については以前、涙ながらにこう語っている。
「あそこでどれほどつらかったかは家族だけが知っている。別々にトレーニングをしていたんだ。でも、この素晴らしい瞬間がくるのはわかっていた。もちろん、最終的にはこないかもしれないという不安もあったけど、強い信念を持って待ち続けたんだ。今は時間が増えたし、やるべきこと、達成すべきことがたくさんある。ベティスファンのたくさんの愛情を目の当たりにして、なかなか寝つけなかったこともあるよ。午前2時に家の前に人が集まっていたんだ」
アントニーはマンチェスターで得られなかったベティスサポーターからの愛情をスペインで見つけ、それに応えるつもりだ。試合こそ劇的な2-2のドロー決着となったが、今季はヨーロッパリーグ(EL)ですでに初ゴールを記録している。
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