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「究極のプレーメーカー」に進化した長谷部誠。フランクフルトの名手たちと共にJリーグ勢に立ちはだかる【注目選手紹介】

一部選手はカタール・ワールドカップ(W杯)参戦のため来日が叶わないものの、それでも世界有数の名手が揃うフランクフルト。今回は、ドイツ在住ジャーナリストの島崎英純氏が来日メンバーから注目すべき選手を紹介する。

▶EL王者フランクフルトがついに来日!長谷部誠凱旋!11/16(水)vs浦和レッズ、11/19(土)vsガンバ大阪

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    DF長谷部誠

     チーム最年長、そしてブンデスリーガ全体でも最年長でありながら第一線で活躍し続ける、文字通りのレジェンド。それがアイントラハト・フランクフルトにおける長谷部誠の純然たる評価である。

     2016シーズンから2018シーズンの間にクラブを率いたニコ・コヴァチ(現ヴォルフスブルク監督)から3バックのリベロの才能を見出された長谷部は、その後、アディ・ヒュッター、そして現任のオリヴァー・グラスナーへと指揮官が移り変わっても、その栄誉ある任務を遂行し続けている。30代後半に差し掛かったことでフィジカル面の不安が囁かれる中、長谷部はその懸念を卓越したスキルと研ぎ澄まされた読みで相殺し、さらなる進化を遂げた感がある。

     その中で、今の長谷部の最大のストロングポイントは豊富な経験に裏打ちされた抜群の判断力だ。攻撃面では相手がバランスを崩しているエリアを瞬時に探し当て、そこへピンポイントでフィードパスを送る。また、守備面は危険信号が灯っているエリアを把握してパワーとスピードを兼ね備えた相手FWよりも速く動き出して未然にピンチを防ぐ。浦和レッズ在籍時代の長谷部は主にミドルエリアで能力を発揮するアタッカーだったが、アイントラハトでの長谷部は最後方で究極のプレーメーカーとしてピッチに君臨している。 

     今回の日本ツアーでは重厚さと軽やかさを共存させる長谷部のプレーを、ぜひとも堪能していただきたい。

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    MFセバスティアン・ローデ

     今季のチームキャプテンであるMFセバスティアン・ローデはバイエルン・ミュンヘン、ボルシア・ドルトムントといったブンデスリーガの強豪クラブでプレーした経験をフランクフルトで十全に発揮している。オリヴァー・グラスナー監督が求める高速トランジションの担い手となって攻守両面に積極的に関与するその姿からは、チームリーダーとしての風格が漂う。

     今季のフランクフルトは3-4-2-1システムを定形とする中で、ローデはダブルボランチの一角に入ってジブリル・ソウ(スイス代表)、鎌田大地(日本代表)といった各国代表選手たちと密接な連係を果たす。どんなパートナーと組んでも攻守両面を活性化させられるローデのバランサーとしての能力は貴重で、その彼がキャプテンを任されていることからもグラスナー監督からの信頼が厚いことが分かる。

     また、機を見て突如相手陣内バイタルエリア付近に現れて放たれる強烈なミドルシュートも圧巻だ。神出鬼没に効果的に、ローデは常にチームの中心軸であり続ける。

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    DFエヴァン・エンディカ

     エヴァン・エンディカは若くして将来を嘱望されてきたストッパーで、現在のアイントラハト・フランクフルトのバックラインには欠かせない主力選手だ。

     利き足の左足を駆使したビルドアップワークは正確で、積極的に攻撃へ関与する挙動は躍動感に溢れている。また、跳躍力の高いヘディングは力強さをも備えており、相手陣内でのセットプレーでは貴重な得点源となり、自陣ゴール前では勇壮な防波堤としてそびえ立つ。

     昨季まではチームのサイドアタックを活性化させていた左MFフィリップ・コスティッチの能力を活かす黒子役としても尽力したが、今季途中にコスティッチが移籍してからは、よりバランスを重視するようになり、攻撃特性の高いルカ・ペッレグリーニを上手くコントロールして左サイドを締める挙動も目立つようになった。良い意味で落ち着きが生まれたことで、エンディカが守るフランクフルトの左サイドは守備面の強度を一層増した感がある。

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    MFエリック・エビンベ

     パリ・サンジェルマンのアカデミー組織からトップチームに駆け上がった21歳の逸材。プロデビューはレンタル先だったフランス2部のル・アーブルだったが、その後はディジョンへのレンタルを経て一旦PSGへ戻り、今季から再びレンタルでフランクフルトへ移籍して一気に才能を開花させた。

     エビンベの適正ポジションは右MFで、鋭い縦への飛び出しでサイドラインを疾駆し、その勢いを持続させたまま相手ゴールへ突進していく。その間にボランチの鎌田大地、インサイドハーフのイェスパー・リンドシュトローム、マリオ・ゲッツェ、そして1トップのランダル・コロ・ムアニらとも流麗にコンビネーションする器用さもあり、様々なスキルを駆使して相手守備網を切り崩していく。フランクフルトの右MFには昨季大活躍したアンスガー・クナウフもいるが、現在はエビンベが出場機会を得ることが多く、ブンデスリーガ第14節のホッフェンハイム戦では今季リーグ戦2ゴール目をマークして勝利に貢献した。

     今のフランクフルトはエビンベのように縦への推進力と局面強度を兼ね備えた選手でなければ評価されない。その意味では、エビンベはオリヴァー・グラスナー監督のリクエストに十全に応えられる“アイントラハト仕様”の選手と言えるだろう。

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    MFルカ・ペッレグリーニ

     今季途中にフィリップ・コスティッチと入れ替わる形でユヴェントスからレンタル移籍してきたルカ・ペッレグリーニは、かなり攻撃に特化したタイプのサイドアタッカーだ。左サイドでボールを保持したら高確率で敵陣へ打って出て独力打開を図り、強引に縦へ侵入していく。また、多少遠い位置からでもシュートを放つ積極性もあり、対戦相手が少しでもプレッシャーを緩めれば遠慮なくアタックを浴びせていく。

     チームメイトも徐々にペレッグリーニの個性を把握してきたようで、彼を生かすようなコンビネーションワークが見られるようになってきた。単独で相手陣内へ侵入していく彼に対して適切なサポート角度を維持し、いつでもフォロー&カバーできる構えを取っている。多少のバランス不備があっても、味方がそれを相殺することでペレッグリーニの能力が光る。彼のような“突貫小僧”が活躍できる素地があるのが、今のアイントラハト・フランクフルトの強みでもある。

    ▶EL王者を生で観るチャンス! チケット情報 11/16(水)vs浦和レッズ、11/19(土)vsガンバ大阪
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