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長谷部誠を擁するEL王者がついに来日へ…今、フランクフルトを見るべき5つの理由

今回は、ドイツ在住ジャーナリストの島崎英純氏が現在のフランクフルトの魅力と、日本で見ておくべき理由・注目ポイントを解説する。

▶EL王者フランクフルトがついに来日!長谷部誠凱旋!11/16(水)vs浦和レッズ、11/19(土)vsガンバ大阪

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    ①ヨーロッパ屈指のインテンシティ

     ドイツ・ブンデスリーガは激しい局面バトルが繰り広げられることに定評がある。ボールを保持した選手の判断が少しでも遅れれば相手の強烈なタックルが飛んでくるのは日常茶飯事で、ピッチに立つ選手たちは常に神経を集中させてプレーイメージを膨らませている。

     ドイツのサッカークラブの中でも、アイントラハト・フランクフルトは特にプレーインテンシティが高いチームと評価されている。昨季のUEFAヨーロッパリーグではバルセロナやウェストハムといった強豪に対して激しいボディコンタクトを敢行して相手を慄かせ、センセーションを巻き起こした。3バックのリベロでプレーする長谷部誠も「局面強度では他のチームには負けない」と自負しており、その強烈なプレーインテンシティが今のフランクフルトの凄みを表している。

     ヨーロッパ屈指の力強さを誇るフランクフルトに、Jリーグ勢の浦和レッズとガンバ大阪がどのように立ち向かうのかは見ものだ。

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    ②スーパーカウンター

     今季のフランクフルトは中盤でのパスワーク精度が向上した中で、従来のスピーディなカウンターアクションの鋭さも保たれている。

     昨季までは左サイドアタッカーのフィリップ・コスティッチが攻撃の担い手となり、主にサイドアタックを基盤に攻撃を構築していたが、今季途中にコスティッチがイタリア・セリエAのユヴェントスへ移籍すると、チームスタイルがリニューアルされて硬軟自在な戦略を採るようになった。現在は巧みなポゼッションワークを駆使しつつ、相手ゴールへ一直線で迫る中央からのカウンターアタックが度々発動されるようになり、より相手にとって脅威なダイレクトプレーが実効性を帯びている。

     対戦相手が守備陣形を整える前に浴びせるフランクフルトの攻撃は鮮烈でありながら正確無比で、今季のブンデスリーガやUEFAチャンピオンズリーグの舞台でも猛威を振るっている。日本の地でも、彼らの迫力ある攻撃が炸裂するのは必至だ。

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    ③アグレッシブにして堅牢な3-4-2-1システム

     フランクフルトを率いるオリヴァー・グラスナー監督が採用するシステムは3-4-2-1。GK、リベロを配した3バック、ダブルボランチ、両サイドアタッカー、2シャドー、1トップの各ユニットが堅牢なディフェンスブロックを形成しつつ、攻撃の際はアグレッシブに相手ゴールへ殺到していく挙動は圧巻だ。

     特に、守備から攻撃、攻撃から守備へと移り変わる高速トランジションは注目に値する。チーム全体が敵陣へ打って出る果敢さはドイツ・ブンデスリーガの中でも屈指で、ボールを失った直後の帰陣速度も高速だ。

     フランクフルト最大の特長は90分間を通して、そのスピードとパワーが保たれている点にある。チーム内の共通理解とピッチに立つ選手たちの意思疎通が結実した末に生まれるプレーの連鎖には、団体競技であるサッカーの本質的な魅力が凝縮されている。

     選手個々の実力の高さはもちろんのこと、フランクフルトが実行する究極のチームプレーを、ぜひ堪能していただきたい。

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    ④EL覇者にしてCL出場チームとJリーグクラブの実力差を図る

     フランクフルトは昨季のUEFAヨーロッパリーグを制覇し、それによってクラブ史上初となるUEFAチャンピオンズリーグ(CL)出場権を得た。その今季のCLではトッテナム・ホットスパー(イングランド)、スポルティング・リスボン(ポルトガル)、オリンピック・マルセイユ(フランス)という各国の猛者と同組になる中で、見事に2位で決勝トーナメントへ進出した。そして来年の2月中旬と3月中旬に予定されているCL決勝トーナメント・ラウンド16ではセリエAで首位を走るナポリと対戦することが決定している。

     今回、フランクフルトの日本ツアーで対戦する浦和レッズとガンバ大阪はかつて、AFCチャンピオンズリーグ覇者として世界クラブワールドカップの舞台で、2007年に浦和がACミラン(イタリア)、ガンバ大阪がマンチェスター・ユナイテッド(イングランド)とそれぞれ対戦し、いずれも敗れている。そんな日本の両クラブが今回、再びヨーロッパの雄との対戦機会を得たことで、世界とJリーグの実力の尺度を再び図れる。浦和とG大阪にはぜひ、ミランやユナイテッドと真剣勝負を繰り広げたときと同じく、臆することなくフランクフルトへ立ち向かってほしい。

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    ⑤オリヴァー・グラスナー監督の熱い指揮!

     サッカーではベンチにいる監督やコーチがピッチ上の選手たちへ指示を送れるテクニカルエリアが設けられている。その範囲は特定されたベンチ(座席)から両横へ1メートル、そしてタッチラインから1メートルの距離の範囲と定められていて、そのエリア内でチームを指揮する監督が大きな声を張り上げる姿はJリーグでもお馴染みとなっている。

     現代のヨーロッパシーンでもそれは同じ。両チームの監督が熱く指示を送り、ときには主審のジャッジに抗議したり、または相手監督と激しく口論を繰り広げるなど、そのアクションが注目されている。

     では、アイントラハト・フランクフルトを率いるグラスナー監督はどんな態度で選手へ指示を送っているのかというと、これがまた大変情熱的なのだ。身体全体で相手のファウルをアピールしたり、自軍の選手を呼び寄せて耳元で何かを囁いたりと、そのアクションは多種多様。監督の態度は選手たちに闘志を焚きつける効力もあって、指揮官の“喝”によってチーム全体に勢いをもたらすことも多い。フランクフルトとのゲームではグラスナー監督の一挙手一投足に注目して観るのも面白いかもしれない。

    ▶EL王者を生で観るチャンス! チケット情報 11/16(水)vs浦和レッズ、11/19(土)vsガンバ大阪
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