Julian Alvarez Manchester City 2022-23Getty Images

悲願のチャンピオンズリーグ制覇へ:ペップはアルバレスの起用法を再考すべきだ

アーリング・ハーランドという規格外を除き、フリアン・アルバレスよりゴールに関与するマンチェスター・シティの選手は存在しない。プレミアリーグ全体で見ても、彼以上に1ゴールに要した分数が少ない選手は、ハーランドしかいないのだ。しかしこのアルゼンチン代表FWは、シティ内でのリーグ戦出場時間は16位。32試合中、先発はわずか8試合しかない。これは1月中旬からバイエルンへ渡ったジョアン・カンセロよりも少ない数字だ。

それでもわずかな出場時間の中で、ジョゼップ・グアルディオラのシステムに適応する理想的な存在であることは証明されている。プレミアリーグと悲願のチャンピオンズリーグ制覇を目指す中、今回はフリアン・アルバレスを先発で起用すべき理由を考える。

文=リチャード・マーティン

  • 驚異的な決定力

    4月1日のリヴァプール戦(4-1)同様、第34節フラム戦(2-1)で先発のチャンスを最大限に活かした。1分も立たない内にPKを獲得すると、同点に追いつかれた後の36分、信じられないような美しいミドルシュートを沈めてみせた。25ヤードも離れていた場所から、ゴール上隅に決めてみせたのだ。

    これでアルバレスは、先発した試合で11ゴール目に。全公式戦を通じて「61%」と驚異的な決定率を誇っている。

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  • Pep Guardiola Manchester City 2022-23Getty

    ゴール以外の貢献

    ペップの信頼をつかむにはゴールやPKだけでは物足りない。しかし、指揮官はフラム戦後に熱心にアルバレスの特性について語っている。

    「ゴールやPKだけでなく、プレッシャーの中でのインテンシティも重要なんだ。ボールをキープし、ビジョンを持つ。彼はゴールを決めるだけじゃない。素晴らしい選手なんだ。他の選手がどこにいるか、どう動くのか、やることすべてを把握している」

    そして『Opta』のデータは、ペップの言葉を裏付けている。アルバレスは、フラム戦で最多43回のプレッシングをマーク。さらに11回のスプリントや32回のオフ・ザ・ボール・ランを記録している。

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    直面する世界最高のポジション争い

    プレミアリーグの他のクラブであれば、アルバレスは間違いなく先発しているはずだ。だが不運なことに、シティにはイングランドサッカー界で92年ぶりにシーズン50ゴールを達成した男がいる。ハーランドは大きな壁だ。アルバレスがリーグ戦で先発するのは、基本的にはハーランドがケガを抱えている時である。

    そして彼が先発を争うもう1人の選手は、ケヴィン・デ・ブライネだ。実際、アルバレスはデ・ブライネが休んだ5試合に先発。ハーランドよりもデ・ブライネの不在時にチャンスを多く得ている。

    だが、プレミアリーグ最強のストライカー、そして史上最高のプレーメーカーと争わなければいけないのは事実。アルバレスには同情せざるを得ない。

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    秘密武器

    フラム戦後、ペップはハーランドとアルバレスのコンビを「最高の武器」と表現した。しかし、ペップはその武器をあまり使ってこなかった。アルバレスがワールドカップ制覇を成し遂げた後、指揮官は「(同時起用は)ボールが届くのであれば、ね。だがこうしたチャンスを作るには、プロセスを作らなくてはならない。時には他のタイプの選手が必要だ」と語っていた。

    だがこの2人の関係は、結果を残し続けている。ハーランドとアルバレスが先発した9試合で、シティは7勝1分け1敗。ハーランドは11ゴール、アルバレスは8ゴールだ。そしてシティは、この9試合で30ゴールを奪っている。

    ペップはこのコンビを「秘密兵器」で終わらせていのだろうか?

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    ハーランドやデ・ブライネと共に…

    ハーランド、デ・ブライネ、そしてアルバレスが同時に先発した試合は、ここまでたった1試合。そのバーンリー戦では、ハーランドがハットトリック、デ・ブライネが2アシスト、アルバレスが2ゴール1アシスト。6-0の圧勝劇だった。確かに相手はチャンピオンシップ(英2部)だが、史上最速でプレミアリーグ昇格を決めたチームだ。

    それ以外で彼らが同時に先発することはなかったが、アルバレスの直近のプレーはペップの考えを変えるには十分だろう。ペップはこうも語っている。

    「将来的にケヴィンと同時に起用するため、なにか調整が必要になるだろう。彼のプレーはそれを理解するために大きな助けになってくれた。相手が5バックを採用するなどたいとな試合で非常に重要になるだろう」

  • julian alvarez manchester city 2028@ManCity

    ペップのイノベーション

    ペップは革命家であり、新たな戦術を生み出すことにおいて彼の右に出る者はいない。直近で言えばジョン・ストーンズの“偽サイドバック”もそうだ。カイル・ウォーカーを犠牲にしたが、守備の安定の面でも効果は上々だ。

    そして今、ペップは再び攻撃面に目を向けるべきだろう。彼が「特別」と語るアタッカーの起用法を考えなければいけない。アルバレスを起用しない手はない。本人的には毎試合先発できるようなチームを探すことも可能だが、3月に新契約にサインしたばかりで、シティへの愛着も深い。だからこそ、彼の献身的な姿勢に報いるため、より多くの出場機会を与えるべきだろう。

    ハーランドを除き、これほど結果の期待できるアタッカーはそういないはず。プレミアリーグとチャンピオンズリーグの優勝を目指す中、新たなイノベーションが必要だ。