結局その圧倒的な才能を全面開花できずに終わったバロテッリを最後に、最前線でフィニッシュを担う絶対的なストライカーを輩出できない悩みが続いている。その一方でザニオーロやキエーザ、あるいはニョントのようなウイングタイプのアタッカーにむしろ人材が多い現状を考えれば、センターフォワードにはむしろ前線を広く動いて周囲と連携し、あるいはスペースを作り出して攻撃の流動性を高めるダイナミックなタイプを起用するのもひとつの方向性。その点で期待を集めているのが、ナポリでそうした役割を担って効果的に機能しているラスパドーリ。
身長172cmと小柄ながら戦術センスとスペース感覚に優れ、前線を動きながら仕掛けとフィニッシュに絡んでいく、ジョアン・フェリックス(ポルトガル)を彷彿させるタイプで、最前線で基準点として機能する古典的なセンターフォワードとは違う形で攻撃を活性化し、ゴールだけでなくアシストやチャンスメイクでもチームに貢献するCFという役割でチームに不可欠な存在となる可能性を備えている。
同じ2000年生まれでタイプ的にやや近いが、よりスピードがあり縦方向のダイナミズムが持ち味のケーン(ユヴェントス)も、17歳でセリエAデビューを果たしてから5年を経て一皮むけつつあり、これからの数年間で大きく飛躍する可能性を残している。
またひとつの戦術オプションとして常に必要かつ有効な基準点型の大型CFとしては、アヤックスに移籍して頭角を表しつつあるルッカ、サッスオーロからウェスト・ハムにステップアップしたスカマッカなどの成長が期待されている。