日本代表は日本時間9月10日にアメリカのコロンバスで国際親善試合のアメリカ代表戦に臨む。来夏に迫った2026年ワールドカップ(W杯)を想定して、長距離移動に過密日程と本番さながらのシチュエーションで臨むアメリカ遠征第2戦に先発のチャンスが舞い込みそうな選手は?
【取材・文=河治良幸】
(C)Getty Images/GOAL日本代表は日本時間9月10日にアメリカのコロンバスで国際親善試合のアメリカ代表戦に臨む。来夏に迫った2026年ワールドカップ(W杯)を想定して、長距離移動に過密日程と本番さながらのシチュエーションで臨むアメリカ遠征第2戦に先発のチャンスが舞い込みそうな選手は?
【取材・文=河治良幸】
(C)Getty Images”森保ジャパン”は北米遠征の第2戦でアメリカと対戦する。メキシコ戦の舞台だったオークランドからは飛行機の直行便で約4時間、+3時間の時差という環境で、中2日というタイトなスケジュールも選手の起用法に大きく影響しそうだ。森保一監督は「大幅に変更するということは考えていますし、将来を見据えてということにおいて、より多くの選手が世界基準のなかでよりレベルアップしていくことが、チーム全体の底上げになると思っています」と語る。
FIFAランキングで4つ上の相手だったメキシコ戦は、”ほぼアウェー”という環境のなか、強度の部分で非常に手応えのある試合となった。しかし、そこから得点を奪い切る、勝ち切るというところで課題を残すスコアレスドローに終わっている。次の相手となるアメリカは地元で韓国代表に0-2と敗れており、マウリシオ・ポチェッティーノ監督も割り切ったテストとして考えるだけではなく、勝負の部分にもこだわってくるかもしれない。ただ、中2日という条件は日本と同じで、新たな組み合わせのテストも含めて、大幅なメンバー変更もしてくるだろう。
攻撃陣では、南野拓実の同僚であるフォラリン・バログン(モナコ)はスタメンの有力候補だ。そこに韓国戦もスタメンだったティモシー・ウェア(マルセイユ)、アレハンドロ・センデハス(クラブ・アメリカ)などがどう絡んでくるか。攻撃のリーダー格であるクリスチャン・プリシッチ(ミラン)は韓国戦でフル出場だっただけに、ベンチスタートの可能性もあるが、逆に勝負どころで投入される場合は非常に危険だ。
中盤にはタイラー・アダムス(ボーンマス)、最終ラインにはクリス・リチャーズ(クリスタル・パレス)といったプレミアリーグの第一線で活躍するタレントもいるが、やはり中2日でポチェッティーノ監督がどう使い分けてくるか。7日の韓国戦では早い時間帯にソン・フンミンのゴールを許してしまったが、試合を通しては相手を押し込む時間帯も多く、そこは日本にとっても簡単な相手でないことは間違いない。
(C)Getty Images日本側のスタメンを予想する上で、メキシコ戦は右ウイングバックで起用された堂安律(フランクフルト)が所属クラブの事情より、代表チームを離れた。メキシコ戦で右足首を負傷交代した板倉滉(アヤックス)に関して、メディカルチェックの結果として長期の怪我ではなく、プレー可能というが、本人は痛みがあるという。森保監督は前日練習をチェックしたいと言うが、無理にスタメン出場をさせる必要はないと見る。
究極的には”総替え”もプランになるようだが、カタールW杯のコスタリカ代表戦のように、替えすぎたときのリスクも森保監督の頭に残っているはず。ただ、当時からチームの成長を考えても、貴重なテストマッチでどこまでリスクをとっていくか。間違いないのはスタート時点で、これまでの基本的な戦い方を大きく変えることはなく、今回のメンバーでどれだけやれるのかをチェックしていくことだ。
最終予選からのメインのシステムである[3-4-2-1]に関しても、スタートから変更してくることはないはず。どんな相手に対しても同じシステムのなかで対応できる柔軟性を磨き、メキシコ戦では選手にピッチ内での判断を任せる部分も見受けられたが、終盤には上田綺世(フェイエノールト)を前線に残したまま、町野修斗(ボルシアMG)を投入して2トップにした。ただ、それも単に新たな組み合わせを試すというよりは守備のプレスや攻撃面での厚みなど、試合状況に応じた戦術的な意図も含まれていた。
キャプテンの遠藤航(リヴァプール)は「また同じことをアメリカ戦でやるわけではなくて、アメリカ戦に向けてもちょっと戦術の確認をしました。けれど、最終的に選手がどのオプションを使っていくのかや、最終予選を含めてそのオプションをいっぱい準備してきたのがこれまでの代表活動なので、あとはそれをどうチョイスしていくかというところ」と語る。アメリカ戦でも試合の流れや相手との噛み合わせに応じて、選手間で解決していくところに加え、ベンチからの指示でシステムなどを大きく変えるケースも想定できる。
(C)GOALいずれにしても、スタートは[3-4-2-1]のシステムでいく前提でスタメンを予想する。GKは鈴木彩艶(パルマ)が継続か。3バックはメキシコ戦で板倉から引き継いだ関根大輝(スタッド・ランス)にバックラインの中央で高さと強さを発揮する荒木隼人(サンフレッチェ広島)、もう1人はメキシコ戦で3バックの中央を担った渡辺剛(フェイエノールト)を予想した。ただ、左に関しては瀬古歩夢(ル・アーブル)がそのままのポジションで連続スタメン、あるいは長友佑都(FC東京)も選択肢になってくる。
ボランチは佐野海舟(マインツ)と藤田譲瑠チマ(ザンクト・パウリ)を第一候補と見るが、遠藤が引き続きスタメンの可能性も。アメリカ戦を前に、遠藤は「選手たちはまず、自分の良さを発揮していく。戦術的な部分というのは試合に出ている経験のある選手たちがコントロールしながらやればいいと思っている。そこは自分も含めて」と語っている。大幅なメンバー入れ替え、しかもディフェンスリーダー的な存在である板倉が外れるなら、遠藤の重要性が高くなる。
その意味では右ウイングバックの伊東純也(ヘンク)が果たす役割も大きい。「いつも出ていないメンバーが出ることがたぶん、次の試合は多くなると思うけど、自分は経験があるほうなので、なるべくポジティブな声だったり、攻撃のところで、うまくプレーでも引っ張っていければ」と語っている。攻撃面で周りに使われることが多いポジションではあるが、リーダーシップも問われてきそうだ。そうは言っても、やはりドリブルやクロスなど、個の積極性のところは押し出していくべきだろう。
右ウイングバックに関しては追加招集の菅原由勢(ブレーメン)の可能性も想定しておきたい。アメリカは左ウイングのウェアや今回の開催地をホームとするマックス・アーフステン(コロンバス・クルー)という強力な縦のラインを擁しており、守備的なタスクもかなり重くなる。菅原は伊東や堂安に比べると、サイドバック型の選手ではあるが、守備的な役割を果たしながらも、攻撃で推進力を発揮することができれば、世界向けのオプションとして強みを持つこともできる。
伊東と菅原、どちらがスタメンでも途中交代はありそうだ。タイプの異なる望月ヘンリー海輝(FC町田ゼルビア)に、どんなチャンスが巡ってくるかも注目したい。左サイドはメキシコ戦で途中投入された前田大然(セルティック)をファーストチョイスとして挙げたが、右で菅原や望月がスタメン起用されるなら、伊東が左に回ってくる選択肢もある。シャドーは様々な選択肢があるなかで、鈴木唯人(フライブルク)と南野を予想したが、佐野航大(NECナイメヘン)がここで抜擢される可能性も指摘しておきたい。
前線はメキシコ戦で終盤に投入された町野の線もあるが、小川航基(NECナイメヘン)が起用されれば、得点部分での期待は大きくなる。「正直なところ、メキシコ戦で出番がなかったことはめちゃくちゃ悔しかった」と語る小川が、ストライカーらしい仕事で日本を勝利に導くことができるか。メキシコ戦で先発した上田に小川、町野という3人の本格派FWによるポジション争いは本大会に向けても目が離せないポイントであり、森保監督のチョイスはもちろん、結果というところにも注目したい。