【ランキングTOP25】ファーガソン、ペップ、ヴェンゲル･･･21世紀のプレミアリーグで最も優れた監督

クラブが危機に陥った際に限られたリソースで結果を出す専門家として、現代の頼れる監督と評価されているのがショーン・ダイシだ。バーンリーを昇格へと導いた後、ダイチは見事6シーズンに渡ってチームをプレミアリーグに留め続けた。降格の危機に瀕することはほぼなく、それどころか2017-18シーズンには7位で終え欧州コンペティションへと出場を果たした。現在、エヴァートンで火消し役を買って出ており、深刻な財政状況と2ポイントの減点に直面しながらも、2シーズン連続で降格を回避している。

プレミアリーグでの試合数が多い監督トップ10の一人であるスティーブ・ブルースは、イングランドの最高峰で輝かしいキャリアを築いてきた。その期間の長さとリーグへの貢献度からこのリストに名を連ねている。マンチェスター・ユナイテッドのディフェンダーでもあったブルースは、ニューカッスルで84試合、ハル・シティで76試合、サンダーランドで89試合、ウィガン・アスレティックで62試合、バーミンガム・シティで165試合と、合計476試合を指揮してきた。その中でさまざまな成功を収めてきたが、ブルースの監督業への情熱はまだ計り知れない。

レスター・シティを復活させ、2000年には8位に導いた後、セルティックで成功したマーティン・オニールは、2006年にアストン・ヴィラへと戻ってきた。カリスマ的な北アイルランド人監督はヴィラをUEFAカップの常連へと変え、チャンピオンズリーグには惜しくも届かなかったが、ギャレス・バリーやガブリエル・アグボンラホールらから最大限の力を引き出した。ヴィラでのプレミアリーグにおける1試合平均勝ち点『1.55』は現監督のウナイ・エメリに次ぐクラブ記録だ。

長年に渡って最も有望なイングランド人監督の一人と見なされているのがエディ・ハウだ。ボーンマスでその名を上げたハウは2015年に初めてトップリーグ昇格を果たした。わずかな予算で5年間クラブをプレミアリーグに残留させ、2017年には9位という見事な成績を収めた。現在ではニューカッスルを指揮しており、並外れた財力を持つサウジアラビアの新オーナーたちと共にチームの運命を一変させた。わずか2シーズン足らずで残留争いからチャンピオンズリーグへとクラブを導き、クラブはトップ6に挑む常連になりそうな勢いだ。

そのプレースタイルは人気とは言えないが、サム・アラダイスはプレミアリーグの火消し役として評価が高い。ブラックバーンやサンダーランド、クリスタル・パレスといった降格の危機にあるクラブで手腕を発揮している。しかし、監督としてのキャリアのスタートは全く異なるものだった。"ビッグ・サム" はボルトン・ワンダラーズでトップリーグへ進出すると、2004-05シーズンにはクラブ最高の6位に導き、"ジェイジェイ"オコチャ、イバン・カンポ、ステリオス・ギアンナコプーロスといった、飛び抜けた才能を持たないものの記憶に残る選手たちの力を合わせてUEFAカップ出場権をつかんだ。近年の最高順位は2018年のエヴァートンで記録した8位だ。

ウナイ・エメリは、アーセナルで不運に見舞われた後、プレミアリーグでの未完の仕事に取り組んでいる。アーセン・ヴェンゲルの後を継ぐという困難な役割を果たす中、2019年11月にわずか1年あまりで解任された。これはエメリにもっと時間が必要だったと痛感させられる出来事だった。2022年にアストン・ヴィラで監督に就任しプレミアリーグに戻ってきたエメリは、その実力を証明した。降格の危機にあったチームを欧州コンペティション出場圏まで押し上げ、2023-24シーズンにはトップ4に割って入り42年ぶりのチャンピオンズリーグ出場権を獲得するなど、歴史的な成功を遂げた。印象的な選手補強と、独特で活力あふれるプレースタイルを貫き、クラブは上を見る意志を明らかにしている。

故ボビー・ロブソンは、21世紀にプレミアリーグを指揮したのはニューカッスルでのわずか４年のみだが、それだけでも名誉市民の称号を得るには十分な時間だった。クラブをプレミアリーグの下位から安定してトップ5へと押し上げることに成功。2年連続でチャンピオンズリーグへの出場を果たし、2002-03シーズンには3位に導いた。偉大な監督の一人として、特に2000年代初頭の輝かしい時期の思い出としてタインサイドで愛され続ける存在だ。2005年3月にニューカッスル市より名誉市民権を授与され、セント・ジェームズ・パークにはロブソンの像が建てられている。

ブレンダン・ロジャーズがリヴァプールの指揮を執っていたのはずいぶん前のことのように感じられるが、クラブの成功の土台を築いていたことは確かだ。チェルシーで経験を積み、スウォンジーで攻撃的なプレースタイルで注目を浴びたロジャーズは、2013-14シーズンにルイス・スアレスやダニエル・スターリッジなどを擁するリヴァプールにプレミアリーグ制覇を久々にもたらす寸前のところまでこぎつけた。わずか2ポイント差でタイトルを逃したが、そのチームはプレミアリーグ史に残るエンターテイメント性を誇った。ロジャーズはその後、レスター・シティで成功を収め、FAカップを制覇。2020年、2021年には5位でシーズンを終え欧州コンペティションへの出場を果たした。

プレミアリーグで指揮した試合数の上位5位に入る641試合を指揮したハリー・レドナップは、多くの経験を積んできた。21世紀における彼の最大の成果はポーツマスとトッテナムで成し遂げられた。2005年にポーツマスを降格から救い、トップリーグに定着させた。2008年、ポーツマスでFAカップ優勝した後スパーズの監督に就任し、平凡なチームをわずか2シーズン足らずでチャンピオンズリーグ出場に導いた。ガレス・ベイルを中心に魅力的なスタイルを打ち出しながら、準々決勝進出を達成した。

プレミアリーグ歴代最年長監督として知られるロイ・ホジソンは、実際にはイングランドのトップリーグにおいて遅咲きの存在だ。60歳でフラムの監督に就任するまでは、さまざまな地で指導者経験を積んできた。奇跡的にチームを降格から救い就任初年度の苦難を乗り越えると、2年目にはクラブ史上最高の成績でヨーロッパリーグ出場を果たした。その後、リヴァプールを指揮し不運に見舞われるも、その後ウェストブロムの降格危機を立て直し、イングランド代表監督に選出された。少年時代から応援するクラブであるクリスタル・パレスでは2度にわたってプレミアリーグ残留を果たし、2018-19シーズンには同クラブの最多勝ち点記録に並ぶなど、「ヒーロー」と称えられる存在であり続けている。

故ジェラール・ウリエは、リヴァプールにおいて影響力を大いに発揮した人物だ。2000年代初頭にクラブに規律をもたらし、徐々にその成績を向上させることで、近代化に成功した。スティーブン・ジェラード、ジェイミー・キャラガー、マイケル・オーウェンといったアカデミー出身の選手を重要なメンバーとして育てた上で、長期的な成功を支える選手たちを獲得した。心臓の病と闘いつつも、2001-02シーズンにはリヴァプールを当時の最高順位であるプレミアリーグ2位に導き、カップ戦でも多くの成功を収めた。

デイビッド・モイーズのプレミアリーグでのキャリアは、まさに波乱万丈といえる。マンチェスター・ユナイテッドで残念な結果に終わったが、自身の評価がそれで決まることはなかった。モイーズはエヴァートンを11年間でトップ8常連チームへと育て上げている。限られた予算の中でティム・ケーヒルやスティーブン・ピーナールといった選手を賢く獲得し長期のビジョンを打ち立てると、2004-05シーズンには4位の成績を残した。ユナイテッドやサンダーランドでの苦戦はあったが、ウェストハムでの2度の指揮によって再び評価を取り戻した。2017-18シーズンと2019-20シーズンにプレミアリーグ残留を果たし、翌シーズンにはチーム歴代最高勝ち点を記録した。彼の指揮下でウェストハムは欧州の舞台でも活躍し、カンファレンスリーグのタイトルも手にした。現在、モイーズはプレミアリーグで697試合を指揮しており、歴代第3位に位置している。

ミケル・アルテタは、その将来性からこのリストの中でもさらなる高みを目指せる人物だ。彼の指導のもと、アーセナルは久しぶりに真のタイトル候補として復活し、今やその最初のタイトルを手に入れることが現実的な目標だ。ガナーズはこれまで辛抱強くなければならなかったが、ここ5年間で、アルテタはチームを8位から2位へと着実に成長させ、若くて挑戦的なチームを築き上げた。インテンシティの高いフットボールを展開し、マンチェスター・シティの牙城を崩す存在として期待されている。

新たにアメリカ代表監督に就任したマウリシオ・ポチェッティーノは、トッテナムで特に人気の高い人物だ。彼の就任後クラブの運命は大きく変わったが、残念ながらトロフィーを獲得するには至らなかった。2度目の監督業としてサウサンプトンを指揮すると2013-14シーズンにクラブを8位へ導いた。当時のクラブ歴代最高勝ち点を記録したことが評価され、スパーズの監督に就任。攻撃的なスタイルとアカデミー出身の選手育成で評判を高め、クラブは年々成長して2016年にはタイトルを争い、翌シーズンには2位を獲得。2019年に退任するまでチャンピオンズリーグの常連となった。さらに、2023-24シーズンにはチェルシーの指揮を執り、悪夢のような昨シーズンから見違えるような強さで6位に導いた。

ラファエル・ベニテスは、ジェラール・ウリエが築いた基礎を土台にリヴァプールを再建した指導者だ。特にヨーロッパの舞台で成果を上げ、2005年にはチャンピオンズリーグを制覇した。ベニテスの指揮下で、リヴァプールはマンチェスター・ユナイテッド、チェルシー、アーセナルと競り合う存在となった。リーグタイトルは逃したが、常にトップ4の一角を確保した。そして、2008-09シーズンにはスティーブン・ジェラードとフェルナンド・トーレスの全盛期に、マンチェスター・ユナイテッドにわずか4ポイント差で優勝に迫った。他にもチェルシー、ニューカッスル、エヴァートンで多くの成果を収め、プレミアリーグで指揮した試合数でトップ10に入った。

プレミアリーグの復活王といえば、クラウディオ・ラニエリだ。2004年、新オーナーのロマン・アブラモビッチによってチェルシーからあっさり解雇されたが、その前にはフランク・ランパードを獲得し、ジョン・テリーを育てながらチームを2位に導いていた。このイタリア人監督が再びイングランドに姿を見せるのは2015年、レスターの監督としてのことだった。前任のギリシャ代表監督時代の惨めな結果から、名声は地に落ちていた。レスターでは残留が目的とされていたが、ジェイミー・ヴァーディやリヤド・マフレズらの活躍で奇跡のリーグ優勝を果たした。クラブは最終的にアーセナルを10ポイント差で引き離してシーズンを終えた。その次のシーズンはそれほどの成功を収めることはできず、その後フラムやワトフォード監督時代の活躍も特に目立ったものではなかったが、それは些細なことである。

マヌエル・ペジェグリーニは、プレミアリーグ優勝監督の中で唯一の非ヨーロッパ人だ。2013-14シーズン、ブレンダン・ロジャーズが率いるリヴァプールとの熾烈な競争に勝ち、忘れがたいあのスティーヴン・ジェラードのスリップにも助けられて、ペジェグリーニの下で戦うマンチェスター・シティが栄冠を手にした。ペジェグリーニ指揮下のシティは攻撃的な陣形を敷く魅力的なプレーが特徴で、リーグで100ゴール以上を最速で達成し優勝を成し遂げた。2016年にジョゼップ・グアルディオラに監督の座を譲り、2018年にはウェストハムでイングランドに戻ることになるが、同様の成功を再現することはできず降格圏に沈んだため解任された。

行く先々で（ほぼ）優勝を勝ち取るアントニオ・コンテは、少なくともロンドンの一部では常に人気だ。2016-17シーズン、チェルシーでのスタートは芳しくなかったが、戦術を変更し、後に広く模倣される3バックに戻した。この布陣で、マルコス・アロンソとビクター・モーゼスはウイングバックとして輝き、エデン・アザールの機知、セスク・ファブレガスのビジョン、ジエゴ・コスタの得点力が中央で機能した。ブルーズはシーズン序盤の不調を克服し、結局トッテナムに7ポイント差をつけ、プレミアリーグ史上最多のシーズン30勝という記録を樹立して優勝する理想的な展開になった。残念ながら2年目の不振でチェルシーを離れることになった。その後2021年にトッテナム・ホットスパーの指揮を執ってチャンピオンズリーグ復帰を果たすも、次第に事態は悪化した。

ロベルト・マンチーニは、マンチェスター・シティ史上おそらく最も記念すべき瞬間を演出した監督として記憶に残るだろう。セルヒオ・アグエロの劇的なゴールでQPRを破った2011-12シーズンの優勝決定の瞬間を演出した監督だからだ。それまでのシティでの時間は徐々に前進していたが、就任初年度に5位、続いて3位という成績だった。だが2012年に全てが覆った。最もドラマチックな形でシティに初めてのプレミアリーグ優勝をもたらしたのだから。その一瞬でマンチーニの名声は永遠のものとなった。

カルロ・アンチェロッティをチェルシーが手放さなければ、どんな未来が待っていただろう。伝説的なイタリア人戦術家は、2009-10年にブルーズをリーグ優勝へと導いた。ディディエ・ドログバとフランク・ランパードが本領を発揮しながら、チームとしてプレミアリーグ初のシーズン100ゴール（合計103得点）を記録した。2年目には不安定な成績で2位に甘んじ、アンチェロッティはアブラモビッチの厳しい判断により解雇された。その時点での彼の戦績は109試合で67勝20分22敗とプレミアリーグ史上屈指の高い勝率を誇っていた。

リヴァプールをイングランドとヨーロッパの頂点へと導いたユルゲン・クロップは、クラブが2015年に選んだ最適な人材だった。ゆっくりとしたプロセスだったが、クロップ率いるレッズはついにマンチェスター・シティの対抗馬となり、2010年代後半には両クラブと監督の間にライバル関係が生まれた。クロップのハイテンポなゲーゲンプレス戦術により、リヴァプールは2019-20シーズン、30年待ち望まれた悲願のトップリーグ優勝を果たした。この年は新型コロナウイルスの影響を受け、キャプテンのジョーダン・ヘンダーソンが無観客のアンフィールドでトロフィーを掲げた。それがクロップの唯一のリーグタイトルとなり、2024年には驚きの退任を迎えたが、彼のクラブへの深い理解とファンとの強い結びつき、さらにカップ戦で獲得した数々のトロフィーは、彼をリヴァプール史上最高の指導者のひとりとして人々の記憶に残すだろう。

「スペシャル・ワン」の異名を持つジョゼ・モウリーニョは、チェルシーをプレミアリーグ優勝争いの常連に押し上げた人物だ。彼の指揮したブルーズは非常に強力で、就任初年度と翌シーズンでリーグタイトルを連覇し、50年ぶりの優勝を遂げた。これにより、アブラモヴィッチの資金による成功が一過性のものではないことを証明したと言える。その後、いくつかの問題に直面するが、モウリーニョは2007年の退任から6年後に復帰し、2014-15シーズンに再びチェルシーをリーグ優勝に導いた。その際にはセスク・ファブレガスやエデン・アザールが大きく貢献した。これは彼が監督として達成した直近のリーグタイトルであり、マンチェスター・ユナイテッドやトッテナムでの業績とは比較にならないほど印象的だった。しかし、スタンフォード・ブリッジでは今でも英雄として迎えられる。

アーセナルはヴェンゲル政権の後半に苦しんだが、プレミアリーグ史上屈指の名監督としての評価を受け続けている。彼のスタイリッシュで魅力的なサッカーと健康的なライフスタイルへの意識は、イングランドにおけるサッカーのアプローチを根本的に変革したと言える。2000年代初頭に彼が率いたガナーズは、まさに最高のサッカーを体現していた。フランス人監督の最大の功績は2003-04のシーズンで、アーセナルの「インヴィンシブルズ」は一度も負けずにリーグ優勝を果たした。この偉業は二度と達成されないかもしれない。ヴェンゲルは2002年にもリーグタイトルを獲得し、マンチェスター・ユナイテッドの支配を打ち破った。彼の技術哲学はクラブの一部となり、以来アーセナルの基礎を築いたといえる。彼が指揮したプレミアリーグの試合数は828と、これを上回る記録を持つ監督は今後も出てこないだろう。

現代サッカーの革命家であるペップ・グアルディオラは、2008年のアブダビ資本による買収後、マンチェスター・シティをサッカー界の頂点に君臨させた監督だ。彼が指導したシティは、シェイク・マンスールのほぼ無尽蔵な財力を背景に、セルヒオ・アグエロやダビド・シルバ、アーリング・ハーランドといった選手を積極的に獲得していった。その一方で115件もの財務違反の疑いがかかっているものの、グアルディオラはヴェンゲルやファーガソンのような伝説の監督に続きプレミアリーグで新たな政権を築いた。グアルディオラの築くプレースタイルは非常に支配的かつ攻撃的で、イングランドで指揮を執った8年間で6度のリーグタイトルを獲得し、直近4年連続で優勝を達成している。マンチェスター・シティは圧倒的な強さを誇っており、グアルディオラが率いる限り彼らを止めるのは至難の業だ。

おそらくサッカー史上最も名高い監督であるサー・アレックス・ファーガソンは、プレミアリーグにおける現代最高の監督として名を馳せている。マンチェスター・ユナイテッドの伝説的指揮官であるファーガソンは、今世紀以降に8度のリーグタイトルを獲得している。アーセナル、チェルシー、マンチェスター・シティの台頭に適応し続け、ユナイテッドが常に優勝争いに加われるよう様々な策を講じた。彼の競争心や演技力、特にヴェンゲルとのライバル関係は非常に熾烈で、異なるサッカー哲学の衝突が象徴的な試合をいくつも生んだ。このスコットランド人監督のチームは、多くの場合、特に在任期間の後半において個々の力を超えるパフォーマンスを見せた。彼は間違いなくユナイテッド史上最大の指導者として歴史に名を刻むだろう。その遺産は深く、彼が2013年に最後のリーグタイトルを確保して退任して以来、オールド・トラッフォードでは彼に匹敵する成功を収めた者はいない。ファーガソンはプレミアリーグ急成長の立役者の一人だ。