2022-23シーズンのプレミアリーグ予想展望。◎本命、○対抗、▲3番手、△連下、☆注目のクラブは?

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昨季にマンチェスター・シティとリヴァプールが熾烈なデッドヒートを演じた中、3位以下のチェルシー、トッテナム、アーセナル、マンチェスター・ユナイテッドも逆転を狙う白熱のシーズンが期待される。今回はイングランドサッカーに精通する田島大氏が、◎本命、○対抗、▲3番手、△連下(TOP4候補)、☆注目のクラブを選出し、新シーズンのプレミアリーグを予想展望する。

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    ◎本命:マンチェスター・シティ(昨季優勝)

    優勝候補の本命は、史上5クラブ目となる3連覇を狙うマンチェスター・シティだろう。開幕前のコミュニティシールドでリヴァプールに1-3で敗れたとはいえ、チャンスの数は変わらなかったし、むしろシティの方が多かったとも言える。新戦力のFWアーリング・ハーランドが本来の決定力を発揮するようになれば、得点力は問題ないだろう。少し時間がかかるようなら気がかりだが、幸い序盤戦は対戦カードに恵まれている。開幕戦は、昨季の対戦で引き分けるのがやっとだった敵地でのウェストハム戦だが、そこを乗り切れば連勝スタートが見えてくる。彼らの今季最初の“ビッグ6”対決となる9月10日の第7節トッテナム戦(H)までは全勝をキープしたい。

    ハーランドの活躍も必須になるが、シティを本命に挙げる最大の理由は守備の安定にある。コミュニティシールドでは3失点を喫したものの、本番までには微調整してくるはずだ。ハーランドも積極的に前線からプレスをかけているし、何よりDFルベン・ディアスを中心とした最終ラインの前方にMFロドリが陣取る守備組織は盤石だ。

    昨シーズンのプレミアリーグでも最少失点(26)を誇った。失点数ではリヴァプールも同数だったが、「xGA(失点期待値)」を見るとリヴァプールの「32.7」に対してシティはわずか「25.2」。GKのファインセーブに頼ることなくチーム組織で守れていた証拠だ。実際に被シュート数は断トツでリーグ最少だった。この堅守を維持すれば、ハダースフィールド、アーセナル、リヴァプール、マンチェスター・ユナイテッド(2回)に続いて史上5クラブ目の3連覇が見えてくる。

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    〇対抗:リヴァプール(昨季2位)

    今シーズンも“二強”の構図が崩れることは考えにくい。シティとリヴァプールによる熾烈なデッドヒートが予想できる。リヴァプールはFWサディオ・マネ(現バイエルン)や日本代表のFW南野拓実(現モナコ)が退団したとはいえ、彼らの穴を十分に補えるだけのタレントを補強した。

    ベンフィカから加入したウルグアイ代表FWダルウィン・ヌニェスは、身長187㎝の恵まれた体躯を活かしたプレーで攻撃の新たな選択肢となる。そして“スーパーサブ”として肝心な時に活躍してくれたFWディヴォック・オリギ(現ミラン)の代役だって任せることができる。さらにウィングの位置では、フラムから加入した19歳のFWファビオ・カルヴァーリョが即戦力として期待できる。

    DFラインには、昨季スコットランドリーグで“強さ・巧さ・献身性”を発揮して記者協会の若手年間最優秀選手に選ばれた右SBカルヴィン・ラムゼイ(19歳)を加えており、選手層がさらに増した。今の彼らは「死角なし」と断言できる。本気で“夢の4冠”を追いかけた昨シーズンのように、今季も全ての大会でタイトルを狙えるだろう。

    それでも、あえてシティとの差を挙げるのなら“怪物”の存在だ。シティにはMFケヴィン・デ・ブライネとFWハーランドという、敵の守備を無力化する化け物がいる。加えてフィル・フォーデンという怪物候補生までいるので、やはりシティは本命か…。

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    ▲3番手:アーセナル(昨季5位)

    戦力や実績を考えると、本来ならばトッテナムが3番手にくるはずだが、どうしてもアーセナルが気になる。彼らに期待したくなる最大の理由は、今オフにシティから加入したFWガブリエウ・ジェズスの“総合力”である。

    プレシーズンでは5試合に出場して7ゴールの大爆発。ボックス内では、周りの選手が止まっているように見えるほど、活発に動いてこぼれ球に反応していた。無論、シーズン中はそんなに甘くないはずだ。実際に、シティ時代の彼のシーズン最多得点は2019-20シーズンの14ゴールなのだ。だから彼に得点王の活躍を求めるのは虫が良すぎるわけで、彼に求めたいのはゴール数ではなく“総合力”なのだ。

    とりわけ彼の動き出しはチームを活性化している。ポジションを気にせずに縦横無尽に動くことで、MFマルティン・ウーデゴールやFWブカヨ・サカといった選手の創造性を上手く引き出している。さらに守備力の強化にもつながった。ミケル・アルテタ監督が「ハイプレス時のインテンシティ」を絶賛したように、ジェズスのボールチェイスのおかげで理想的なプレッシングに近づいている。皮算用に終わるかもしれないが、“覚醒前夜”のアーセナルに注目したい。

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    △連下:トッテナム(昨季4位)

    あまりにも順調すぎると思いませんか? 主力の残留、監督が望む補強、平穏なシーズンオフ…今夏の彼らはトラブルとは無縁だ。開幕前から好調のFWハリー・ケインは必ずゴールを約束してくれるし、昨季の得点王である韓国代表FWソン・フンミンも健在だ。そこにブラジル代表FWリシャーリソンまで加わったのだから、攻撃力はリーグ随一である。

    守備に関しても、昨シーズンの途中にアントニオ・コンテ監督が就任してからは、1試合の平均失点が「1.6」から「0.86」に半減している。だから今シーズンは62年ぶりのリーグ優勝だって期待したくなるのだが、そうなると余計に「Spursy(スパージー=期待を裏切る・勝負弱さといった意味を持つ現地の造語)」という言葉が脳裏にちらつく。そんな気持ちで開幕を迎えるファンも少なくないはず?

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    △連下:チェルシー(昨季3位)

    あまりにも未知数のマンチェスター・ユナイテッドよりは、大幅な入れ替えを強いられたとはいえ“新生チェルシー”の方が信頼できる。アントニオ・リュディガーやアンドレアス・クリステンセンといったセンターバックの流出は痛かったが、CBカリドゥ・クリバリの加入は頼もしい。FWラヒーム・スターリングの獲得で攻撃の選択肢も増えるが、昨季のチーム最多得点がMFメイソン・マウントのリーグ戦11ゴールだったため、明確な得点源の不在が気になる。

    トーマス・トゥヘル監督も今オフは「疲れた」「(アーセナルに)負けるべくして負けた」など愚痴が目立つ。オーナーが交代して新たな船出を切るチェルシーは、監督を喜ばせるためにも、移籍市場が閉まる9月1日までに良質な“買い物”を期待したい。

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    ☆注目:クリスタル・パレス(昨季12位)

    パトリック・ヴィエラにとって真価が問われる1年となる。昨夏、パレスの監督に就任した指揮官は、それまでロイ・ホジソンの下で残留を目指す“堅守速攻型”だったチームを積極的に仕掛ける攻撃チームへと変身させた。最終的に大満足の12位でフィニッシュし、得失点差は「+4」。トップリーグで得失点差が「プラス」で終わるのは31年ぶりのこと。プレミアリーグになってからは初めての快挙だった。FAカップでもベスト4に入り、ヴィエラもプレミアリーグの最優秀監督候補にも選出される充実ぶり。そんな実績を引っ提げての2年目を迎えるのだ。

    前線には個で打開できるFWウィルフレッド・ザハやFWオドソンヌ・エドゥアールが健在のほか、DFマーク・グエーイ、MFエベレチ・エゼ、MFマイケル・オリーセといった成長著しい才能も揃っている。さらに今夏のプレシーズンでは、チームを2つに分けて「海外ツアー」と「国内トレーニング」を並行して進める興味深い取り組みを行った。若手の成長にはつながったが、戦術の浸透には不安が残り、果たして吉と出るか凶と出るか…。今後のステップアップに注目が集まるヴィエラ監督の2年目を見守りたい。

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    【特集】プレミアリーグTOP6補強&戦力評価

    トッテナム編
    チェルシー編
    マンチェスター・シティ編

    アーセナル編
    マンチェスター・ユナイテッド編