■女子FAカップ決勝はウェンブリーに4万人
9日、10日にUEFA女子チャンピオンズリーグ(UWCL)はグループリーグ第5節を迎える。
近年、ヨーロッパの各クラブでは男子チームとともに女子チームを運営し、男子同様、世界中からトップレベルの女子選手を獲得している。以前の女子サッカーはアメリカが中心だったが、今はヨーロッパが「世界一の女子サッカー市場」となっている。
イングランドでは、2010年に女子サッカープロリーグ・FA女子スーパーリーグ(WSL)が開幕。代表がワールドカップや五輪で活躍したこともあり、認知と人気が徐々に上がってきている。5日にウェンブリースタジアムで開催された女子FAカップ決勝では、4万人の観客を動員した。つい100年前、「女性がサッカーをすること」自体が禁じられていたイングランドで、しっかりと女子サッカーは根付き始めている。
そんな欧州の状況も鑑み、GOAL Japanでは改めて女子サッカーの魅力を伝えていきたい。今後、UWCLの開催される週ごとに注目の一戦をピックアップ。観る前に知っておきたい見どころを紹介する。欧州男子サッカーで目の肥えたサッカーファンにこそ見てもらいたいのが現代の「モダンな女子サッカー」だ。「女子はちょっと…」といまだ食わず嫌いな方であっても、”世界最高峰”だと入りやすいかもしれない。男子を見ているからこそ分かる、新たな発見があるからだ。
今週UWCLのピックアップ試合 アーセナルvsバルセロナ 日本時間12月10日4:00キックオフ
■欧州王者を迎え撃つアーセナルの戦略家
(C)Getty Imagesアウェイに乗り込むバルセロナは、欧州チャンピオンであり、現在女子サッカー界最高のクラブチームだ。迎えるアーセナルは、男子同様、チームとしての歴史を長く持ち、世界中からエリートを集めて再びの欧州の頂点を目指している。両チームにはフリードリナ・ロルフォやキム・リトルなど、世界中のスター選手たちがおり、スリリングな戦いが期待できる。
10月にスペインで行われた1stレグでは、バルセロナが4-1で圧倒した。しかし、アーセナルにも勝機はある。2021年ロンドンの地へ来たスウェーデン人のヘッドコーチ、ヨナス・エイデバルがそのカギを握る。23歳の若さでコーチングキャリアをスタートし、戦略家として定評がある。1stレグから多くのことを学び、準備してきているに違いない。そして、アーセナルは現在、WSLで無敗のトップとして君臨している。選手に目を向けると、WSLの歴代最高得点者であるフィフィアネ・ミデマー(オランダ)、そして、岩渕真奈が所属し、欧州王者を苦しめる才能も十分に揃っている。
■アーセナル対バルセロナについて知っておくべき5つのこと
(C)Getty Images次に、この試合を見る前に知っておくべき5つのポイントを紹介。
1. バルサの3冠達成の立役者、アレクシア・プテラス
昨シーズンバルサの欧州制覇に貢献し、スペイン人女性として初めてバロンドールを受賞。スペイン人選手としては、1960年のルイス・スアレス・ミラモンテス以来の受賞となった。
2. 女子CL史上初、エミレーツ・スタジアムでの開催
この事実がイングランドでの注目の大きさを物語っている。アーセナル男子チームの本拠地であるこのスタジアムで、UWCLの試合が行われるのは初めてのこと。ファンも選手も楽しみな一戦なのだ。
3. アーセナルのトロフィー数
15個のリーグタイトルと14個のFAカップトロフィーを獲得しているアーセナル。イングランド女子サッカーの歴史上、最も成功した女子チームだと言える。2007年にはUWCLを含むシーズン4冠を達成した唯一のイングランドのチームでもある。
4. バルセロナは今季、たった失点4
バルセロナは今シーズン、全ての大会を通して計4失点しかしていない。また、バルセロナは今シーズン、リーグ戦とUWCL合わせた16試合を全勝している。
5. グループステージ唯一のCL王者対決
UWCLのグループステージでは、元欧州王者同士の唯一の一戦。アーセナルは、現・UWCLがUEFA ウーマンズカップであった時代の2007年にトロフィーを獲得した。一方のバルサは今年5月に行われた20-21シーズンの決勝でチェルシーを破り、王者として君臨している。
この第5節アーセナル対バルセロナの試合は、2021年12月10日早朝4時キックオフ。CLといえばどうしても男子に目がいきがちだが、女子も熱い。戦術や選手のクオリティなど急速に進化する女子サッカーの今は、ぜひ見ておくべき一戦だ。もちろん、日本でも視聴可能で、DAZN(有料)または、DAZNが開設する YouTubeチャンネル「DAZN UEFA Women's Champions League」で無料視聴できる。

