来年開催のワールドカップについて、専門家が気象条件について警鐘を鳴らしている。
史上初めてアメリカ、カナダ、メキシコの三カ国共催で行われるワールドカップ2026年大会。日本代表をはじめ続々と本大会出場チームが決定しているが、現地での気象条件について懸念する声が高まっている。
現在アメリカではクラブワールドカップが行われているが、6月24日にはニューヨークの気温が39度まで上昇するなど、国全体が記録的な熱波に襲われている。一部の選手たちはこうした過酷な環境に苦しんでいることを訴えており、健康面でのリスクを心配する声は上がり続けている。そしてポーツマス大学のマイク・ティプトン教授はイギリス『BBC』の取材で、せめて午前中に試合時間を変更すべきと語った。
「私であれば、屋根付きの空調が完備されたスタジアムで、キックオフ時間を可能な限り涼しい時間帯に変更する。だが現実的には、比較的涼しい時間帯に変更することしかできないだろう。熱生理学的観点、そして健康面とパフォーマンスの両面の理由から、私はできる限り早い時間に試合を始めるべきだと思う。ロジスティクス上の制約があることは理解しているけどね」
「健康面のリスクは選手だけでなく、役員や観客にも及んでいる。彼らの多くは選手たちよりもはるかに体力面で劣っているだろう。あらゆる合理的な科学的データが『中止』を示している状況で試合を続けるのであれば、主催者は相当の責任を負うことになる。おそらく、試合自体も根本から変わってしまうだろう」
「FIFAは改めて、このような試合をどこで、いつ、どのように開催すべきかを考えるべきだ。試合を前後半ではなく、クォーター制にすることも決して不可能ではないはずだ」
また、FIFPRO(国際プロサッカー選手会)の幹部であるアレクサンダー・ビーレフェルト氏も「商業的利益よりも健康と安全が優先されるべきだと明確に考えている」とコメント。FIFPROは、32度を超えた場合は試合を延期すべきだと訴えている。
なお『BBC』は、来年のワールドカップのキックオフ時間が視聴者や放送局、広告主、スポンサーの利益などを考慮し、現地時間の正午、15時、18時、21時に設定されると伝えている。


