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飛び級招集のU-20日本代表・髙橋仁胡。「相手が大きくても怖くない」バルセロナ所属の17歳が見せた強度

U-20キルギス戦には、17歳の髙橋仁胡が先発した。バルセロナのカンテラ(育成組織)に所属する髙橋は、昨年5月のU-19日本代表フランス遠征、11月のU-18日本代表スペイン遠征にも招集。アルゼンチン人の父と日本人の母を持つスペイン育ちの多重国籍選手だ。【取材・文=川端暁彦】

■年上相手にデュエルで応戦

「最初、ごめんね。緊張しとった」

 DF髙橋仁胡は初出場・初先発となったU-20キルギス代表戦を終えた直後、冨樫剛一監督にそんな言葉をかけた。

 実際、いきなり痛恨のミスからピンチを招くなど、前半のプレーは明らかに本来の出来ではなかった。本人も苦笑交じりに「最初はあかんかった」と振り返る。

「最初は緊張があってナーバスだったし、スペースも見付けられていなかった。ただ、試合の時間が経ったときにうまくいけるようになって、セカンドハーフからは普段のプレーができるようになったと思う」

 実際、試合を追うごとにプレーのリズムを取り戻し、左サイドバックの位置から違いを作り出すシーンが増えていく。ボールを運び出すのはもちろん、ライン際だけでなくインサイドでも受けられる“らしさ”を発揮。70分には「あそこを見ながらプレーできるサイドバックはなかなかいない」と冨樫監督も舌を巻いたスルーパスで決定機を演出してみせた。

 抜け出してGKと1対1になったFW坂本一彩(ファジアーノ岡山)のシュートはゴールポストを叩いたが、直後に得たCKで髙橋はキッカーの仕事をきっちりこなす。ニアですらしたMF松木玖生(FC東京)が「あれはナイスボールだった」と絶賛し、蹴った髙橋が「玖生が良い入り方をしてくれて合わせてくれた」という形でキルギスを出し抜き、ファーで待っていた坂本のゴールへ繋げた。

 攻めだけでなく守備に回っても存在感を発揮。対面のウイングとは大きな体格差があったが、怯むことなくデュエルで応戦。「怖さはないよ。スペインで試合をするときも、大体の場合(対面の相手は)フィジカルの選手だから」と笑顔を浮かべたように、フィジカルコンタクトを全く怖がらずに戦う姿勢も見せ続けた。

「相手のほうが大きくても怖くないし、強く行かないといけないと思ってる。相手は19とか20歳くらいでこっちは17歳でもあるので体は違う。でも、自分が強く行ければ負けないと思っているから強く行くだけ」

 そう語った通りのプレーを見せただけでなく、「攻守の切り替えは一番速いかもしれない」(冨樫監督)という強度の高さも発揮。「(飛び級招集だが)十分にレギュラー争いできると思っているから呼んだ」という指揮官の期待を裏付けるプレーを披露した。

■日本代表として戦う覚悟

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 冨樫監督が髙橋を評価するのは、その技量だけではない。成長力と精神性にも一目を置く。

「昨年5月の初招集から半年くらい経って呼んでみたら、ビックリするくらい伸びていた。成長したい、学びたいという姿勢も凄くある」

 そして、日本代表の公式戦を前にナーバスになってしまったことにも、別の意味を見出す。

「日本代表のユニフォームを着て戦うことを重く感じてくれているからこその緊張だと思うし、それが仁胡の素晴らしいところ。覚悟が違うからこそだと思っている。彼にとって良いデビュー戦になったと思う」(冨樫監督)

「緊張感はいつもあると思うし、あったほうがいいとも思うけど、今日は緊張し過ぎていたと思う」

 そう笑顔で語った本人は「2回目は違うから。次は最初からうまくやれる」と強調し、早くも次の機会へ気持ちを切り替えていた。

【U-20アジアカップ 今後のスケジュール】
第3節
対戦カード:U-20サウジアラビア代表 vs U-20日本代表
日時:2023年3月9日(木)21:00キックオフ
放送:DAZN独占配信

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