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種子島から桜島へ。サッカー少年の選択を変えた元日本代表選手たちとの出会い

 種子島に生まれ育ったサッカー少年が、島を訪れた元日本代表選手たちに接することで、未来の目標に向けて一歩踏み出すことになった。都会と地方では様々な面で環境が異なるが、今回はサッカーを通じた『地方創生』の一つの取り組みを紹介する。

■元日本代表選手と一緒にプレーして

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 小谷幹太くん、13歳。兄の影響で保育園の年長からサッカーを始めた。ポジションは主に左サイド。憧れの選手は「三笘薫選手です」と即答する。

 生まれも育ちも種子島。種子島は鹿児島県・大隅諸島を構成する島の一つで、JAXAの種子島宇宙センターで有名だ。美しい海と自然豊かな離島で人口は約3万人、横浜市(約376万人)と同程度の広さを持つ。

 お父さんによると「生まれ育った中種子町の増田は、大関・若嶋津が育った場所」とのことで、小谷くんも相撲大会での受賞経験がある。島ならではのスポーツ、サーフィンでバランス感覚を磨きつつ、昨年まで地元のスポーツ少年団・中種子ジュニアFCに入り、小学校のグラウンドでサッカーを続けてきた。

 そんな少年に転機が訪れたのが昨年10月のこと。元日本代表・福西崇史氏がスポーティングディレクターを務め、鹿児島出身の城彰二氏、那須大亮氏ほか玉田圭司氏、佐藤寿人氏など元日本代表選手計16名が参加する『種子島BiG ViSiON』が開催されたのだ。サッカー教室をはじめ、地元社会人・高校生選手とのエキシビションマッチ、ゴルフや海岸清掃などが行われた。

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 都会ではJリーグクラブや元プロによるサッカー教室は比較的多いが、離島である種子島ではなかなか機会もない。「自分が地方出身ということもあり、島の子どもたちにもっと可能性やチャンスを与えたい」という気持ちからプロジェクトを立ち上げたと福西氏は意図を説明する。小谷くんは福西さんたちを知らなかったそうだが、実際にサッカーを一緒にプレーした衝撃は大きかったようで、その思い出を笑顔で語る。

「あまりにもうまくてもう驚きしかありませんでした。僕たちとゲームをしていた時に、福西さんたちがすごく楽しそうにサッカーをしていました。ああ、サッカーって楽しめばいいんだなとあらためて思いました。特に、佐藤寿人さんのプレーは遊び心があるのにうまかった。あと元日本代表選手からゴールを奪えたことがうれしかったです」

 島の社会人・高校生選手たちと元日本代表とのエキシビションマッチでは、「少年団のコーチが、中田浩二さんを削っていました。すごいなと思いました。僕は、そのコーチからも教えてもらっていたんです」

■種子島を出て、桜島へ引っ越し

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 小谷くんは小学校を卒業すると同時に、お母さんと二人で種子島から桜島に移ることになる。そもそものきっかけは、元日本代表の遠藤保仁(ジュビロ磐田)が関わるサッカースクール『遠藤塾』を母体とした『チェステレラ鹿児島FC』に練習参加に行ったこと。

「種子島の少年団のコーチがチェステレラのコーチとご縁があって、『練習参加に行ってみれば?』と勧められました。何回か練習に行ったのですが、コーチの教え方がとても分かりやすかったんです」

 その瞬間に「ここでサッカーをしたい」と思ったそうだが、決断を後押ししたのは昨年のサッカー教室だった。元日本代表選手たちとのプレーに接することで、もっとうまくなりたい、もっとサッカーを学びたいという気持ちが芽生えたようだ。「大きなきっかけになりました。世界は広いって感じました」。プロを経験した選手たちのプレーの質、福西さんと接しての会話は小学生の小谷くんにとって、視野を広げることにもなった。そして、家族も小谷くんの夢を後押しする。

 桜島に移って約半年が過ぎた。サッカー面での一番大きな違いは、「種子島と比べて試合数がとても多いところ」だという。種子島では対戦相手が少ないので、試合の機会も自ずと少なくなってしまうのだ。桜島も島ではあるが、鹿児島市街地からフェリーで15分の距離にあり環境は大きく異なる。「少年団ではあまりなかった細かい指導をチェステレラではもっと受けたいなと思っています。具体的には戦術面です」とサッカーへの探究心も高まっている。そして、「チェステレラは今3部リーグにいるんですけど、 1部リーグに上げたいです」という目標も定めている。

 さらに将来的な夢としては、「1日1日練習を大切にして、世界で活躍できるプロサッカー選手になることです」と、ハッキリと口にする。

「種子島は海がすごく綺麗でとても住みやすいところが好きです。桜島は広大な山からパワーをもらえること。どちらもとても好きです」

 島から島へ移ってサッカーを続ける少年。そのきっかけとなった『種子島BiG ViSiON』は今年も21日に開催される。小谷くんは「チェステレラの練習もあるので僕は行けないんですけど、お兄ちゃんがエキシビジョンマッチに出るので楽しみです」と語る。サッカー少年の夢を後押しする『種子島BiG ViSiON』。今年もまたいろんな少年少女に夢を与える機会となるに違いない。

【種子島BiG ViSiON概要】

◆2023年10月20日
地元小学生・地元サーファー・地元の方々と海岸清掃(ボランティア活動)。すき家様から参加者への牛丼の無償提供あり

◆2023年10月21日 中種子町立陸上競技場
9:00-12:00 サッカー・バレー教室 トークショー
12:00-14:15 エキシビジョンマッチ
14:30-15:30 音楽LIVE

◆出場選手(敬称略)
《サッカー》福西崇史 岡野雅行 中西永輔 平野孝 城彰二 久保竜彦 高木義成 中田浩二 播戸竜二 坪井慶介 加地亮 巻誠一郎 石川直宏 駒野友一 佐藤勇人
《トレーナー》木場克己
《バレー》迫田さおり 狩野舞子
《スペシャルゲスト》GAKU-MC HAN-KUN(湘南乃風)

★観戦自由!★
※小学生以下のお子様は、保護者同伴でのご来場をお願いいたします

【運営体制】

主催:株式会社Village AI
スポーティングディレクター:福西崇史
企画・制作:里洋平 里周平
プロデューサー:住田興一
後援:西之表市・西之表市教育委員会・中種子町・中種子町教育委員会・南種子町・南種子町教育委員会・・中種子町商工会・熊毛地区サッカー協会・中種子町サッカー連盟
協賛:味処井元・株式会社指宿やさいの王国・株式会社すき家・株式会社時任建設・コンフィアンス社会保険労務士事務所・小牧蒸留所・Tokyo Blanche Clinic・のぞみ薬局・フロンティア株式会社・三嶋与夢・ROYAL AGENT株式会社

【お問い合わせ】
株式会社VillageAI
https://www.villageai.jp/

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