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【独占:冨安健洋】CL復帰より「優勝を逃した」アーセナルの1年…悔しさと希望、アルテタへの心酔/インタビュー

■冨安健洋『GOAL』独占インタビュー

過去10年間、こんなにもワクワクするアーセナルはなかったのではないだろうか?

2022-23シーズン開幕から指揮官を含めた若き才能が輝くと、その輝きはシーズンを追うごとに増していき、4月まで9カ月間プレミアリーグの首位を守り続けた。2003-04シーズンのあの伝説的な無敗優勝以来、19年ぶりのタイトルを本気で信じたファンは世界中にいたはずだ。

しかし、最終的にはチャンピオンズリーグ(CL)まで制して歴史的なトレブル(三冠)を達成した王者マンチェスター・シティに力の差(直接対決で連敗)を見せつけられ、2位でフィニッシュ。7シーズンぶりの欧州最高峰の舞台へのチケットは手にしたが、眼の前にあったトロフィーには手が届かなかった。

そんな1年間を、アーセナルの選手たちはどう感じていたのだろうか? 加入3シーズン目を迎える冨安健洋は、CL復帰よりも「優勝を逃した感覚が大きい」と話す。淡々とした口調の中ににじませた悔しさ、そしてそれを上回る来季への意欲、ミケル・アルテタ監督への心酔、膝の負傷による長期離脱から「世界トップ」のファンとの関係まで、記憶に残るシーズンを振り返る。

インタビュアー=吉村美千代

構成・編集=河又シュート

■「アーセナルは優勝を争うクラブに戻るべき存在」

tomiyasu city(C)Getty Images

――アーセナルの2022-23シーズンを振り返ってください。19年ぶりのプレミアリーグ制覇には一歩届きませんでしたが、昨季の5位から躍進して、7シーズンぶりにチャンピオンズリーグ(CL)出場を確定させました。チームとして「CL出場権を獲得できた」のか、「優勝を逃してしまった」のか、どちらに感じていますか?

間違いなく「優勝を逃した」です。シーズン通して1位で試合することのほうが長かったですし……。そういった意味も含めて、間違いなく1位を逃したっていうほうが大きいです。正直に言うと、シーズン前の段階では「トップ4に戻る。CL出場権を獲る」という目標ではあったんですけど、実際にシーズンをこなしていくうちに1位でいる期間が長かったですし、最後のほうちょっと失速して……という形で2位に終わったので。そういう意味では間違いなく「優勝を逃した」っていう感覚ですね。

――昨季からの飛躍的な成長、チームとしての完成度が上がった要因は何だと思われますか?

戦術の浸透もそうですし、選手のクオリティ、獲得した選手たちがしっかりと結果を残したというところは大きいかなと思います。

――最終的にマンチェスター・シティに逆転されてしまいましたが、チームとしての差は何だと感じましたか?

1つ大きなものを挙げるとすれば、経験の差が出たのかなと思っています。彼らは毎年優勝を争うことに慣れていますし、選手や監督を含め、クラブとして"慣れ”があったなと。実際、最後のほうで直接対決した時も(※第33節:1-4)経験の差が出たかなと思っています。

僕らはまだ若いチームですし、本当にこれから。より優勝を狙えるクラブになっている実感がありますし、アーセナルはそういうクラブに戻るべき存在だと思います。来シーズンはタイトルを獲れるようにトライしたいと思います。

■「アルテタはすべてを持っている監督」

tomiyasu arteta(C)Getty Images

2022-23シーズン、アーセナルは昨季センターバックとしてレギュラーでプレーしたベン・ホワイトを右サイドバックへコンバート。同ポジションを務めていた冨安は、チーム状況や対戦相手に応じながら右サイドバックと左サイドバックを兼任することとなった。相手エースを抑える役割のほか、中盤まで動いてのサポートや試合を締めくくる交代選手として起用されることも多かった。

――昨季は右SBのほか、左SBでもプレーされました。アルテタ監督に求められていたものはどういったプレーでしたか?

昨シーズンは途中から入ることのほうが多く、特に逃げ切るタイミング、試合に勝っている状況、リードしている状況での投入というのが多くありました。まずはしっかりと試合を終わらせるというのが僕の役割だったと思います。

――アルテタ監督から指摘されることはどういったことでしょうか?

日々の練習の中で指摘されることはありましたけど、それは僕だけではなくて全員がそうです。どちらかと言うと、チーム全体に「もっとできる」と求める監督ではありますね。

――チームの結束力と戦術の浸透が今季の躍進に繋がったと仰っていましたが、そこにアルテタ監督が果たす役割はどんなものだと思いますか?モチベーションと戦術と2つの面があると思いますが……。

そういう意味ではアルテタ監督はすべてを持っている監督です。戦術だけの監督でもなく、モチベーターだけでもない。すべてを持っている監督だなと感じていて。間違いなく、戦術では世界的に見てもトップの監督だと思いますし、それプラス選手のマネジメントであったり、試合に向けて選手のメンタル的なものを含めて準備の仕方というところも、トップの監督と思います。

――右SBでは、ベン・ホワイト選手とスタメンを争う機会が多かったと思います。ポジション争いに打ち勝つため、どういった心がけをしていましたか?

本当に彼はいい選手です。実際一年目は僕が右SBで、彼がCBでした。隣でやっていて、認めている選手の一人です。それは彼だけじゃなくて、アーセナルでプレーしている選手は本当にクオリティが高いと思います。

でも逆にそこで、もちろん彼もそうですし、周りの選手のクオリティを認めることも必要ですが、「より自分に自信を持つ」ことも必要だと感じています。来シーズンはより自分にフォーカスする……というか、結局は自分がやるだけなので。そういうところを意識して勝負したいと思います。

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■Profile

冨安健洋(とみやす・たけひろ)

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1998年11月5日生まれ、24歳。福岡県福岡市出身。アビスパ福岡ユース→アビスパ福岡→シント=トロイデン→ボローニャ→アーセナル。プロデビューからセンターバックでプレーし、日本代表でも同ポジションで起用されることも多いが、シント=トロイデン時代に起用された右サイドバックで高く評価され、ボローニャではDFラインすべてでプレー。アーセナルでも左右両サイドバックとして活躍するなど、海外ではサイドバックの選手として評価されることが多い。プレミアリーグ42試合出場、セリエA64試合出場(8/7時点)。

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