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【徹底分析】久保建英の理想的なポジション、移籍先とは?西紙分析官が提唱する最適解

久保建英のラ・リーガ初挑戦は、大成功に終わったと言っていいだろう。

マジョルカという常に苦しい戦いを強いられるチームに所属しながら、4ゴール5アシストを記録。右サイドを基本ポジションとしながらその類い稀な才能を存分に発揮し、連日スペインメディアを驚かせ続けた。今ではラ・リーガ屈指の若手選手としての立ち位置をほしいままにしている。

だが、マジョルカで起用されていた右サイドは、果たして久保にとって最適なポジションと言えるのだろうか? 持ち得る長所を最大限に発揮できる場所、そして来季もレンタルが濃厚な中で理想的な移籍先はどこになるのだろうか?

以下に続く

今回は、スペイン大手紙『as』の試合分析担当ハビ・シジェス氏に19歳の日本代表MFのプレーを徹底的に分析してもらい、その最適解を探っていく。

文=ハビ・シジェス(Javi Silles)/スペイン紙『as』試合分析担当
翻訳=江間慎一郎

■エリートの世界におけるエリート

takefusakubo-atletico(C)Getty Images

先に閉幕した2019-20シーズンのラ・リーガで、久保建英は開幕当初に生まれたありとあらゆる期待に応えている。そのフットボール、フィジカル、メンタル的な成長に疑いの余地などない。久保の選手としての特徴に鑑みれば、マジョルカに適応できるかどうかは不透明だったものの、終わってみれば彼こそが攻撃の旗手だった。“フットボールをプレーする”という単純で、しかし至極難しいことを、この日本人は見事にやってのけてしまう。

マジョルカ島で、久保は自分がいかに有能であったのかを示した。彼が一線を画する選手である理由は、もはや極上のテクニックのためだけではない。それだけでなく、自身の性質に相反したチームにも適応する能力があるのだ。マジョルカを率いるビセンテ・モレノのスタイルは決して久保の特徴に合ったものでない。しかしながら、彼はそこに自分を当てはめることさえできた。

マジョルカの陣容レベル、モレノのスタイルでは、どんな選手であっても放ったらかしにする余裕などなく、守備で汗をかき続ける必要がある。久保は最初、そのことを受け入れるのに苦労を強いられていたが、最後には頭も体もそれに順応していた。現在の彼は攻守のバランスを取ることにも長けた選手となった。サイドバックの守備を助けるほか、プレスにおける位置取りも理想的。この長所はマジョルカ加入以前には持っていなかった。

彼の攻撃における才能は、すでに世界中の誰もが知るところだろう。アタッキングサードでボールを持つ彼には、世界でも限られた選手しか持ち得ないドリブル、プレービジョン、パス、ゆえに相手選手たちを引き寄せる力がある。そして、そうした力は自宅隔離が終わった後により鋭さを増したようだ。バルセロナ、レアル・マドリー、アトレティコ・デ・マドリー(45本のパスと6回のドリブル成功)の三強との対戦でも物怖じすることなくプレーする姿は、もうあらゆることへの準備が整っているように感じさせた。それは数字にだって表れている。久保の今季ラ・リーガにおける記録4ゴール5アシストは、所属していたチームと出場時間から考えれば、決してみすぼらしい数字にはなり得ない。加えて出場時間における平均被ファウル数は4位、ドリブル突破数は8位と、彼は初めて挑戦したエリートの世界において、選りすぐりのエリートたる数字を記録している。

■最適なポジション

Luka Modric Andres Iniesta Real Madrid Barcelona El Clásico LaLiga 23122017Getty

さて、マジョルカの使用するシステム(1-4-4-2、1-4-3-3、1-5-2-3…)で右サイドを定位置とした久保だが、理想的なポジションはどこなのだろうか。おそらく、彼はファルソ・エクストレモ・デレチョ(偽右ウィング)としての機能を確立すべきだ。真の理想はトップ下で間違いないものの、そのロマンあるポジションを現代フットボールで使用するチームはほとんど存在しない。よって最善なのは、右サイドを出発点として自由に動き回り、中央にも入り込んでプレーを創出することとなる。好例として挙げられるのは、先のマドリー戦(第31節:0-2)。彼はマドリーのDFとMFのライン間に位置したほか、あらゆる場所に顔を出してチームの攻撃の起点となった。守備の規律を最優先とするマジョルカでは右サイドに縛り付けられる時間も長く、もっと偽りのポジションだと打ち出せればいい。

久保がそうしたプロセスを踏むことを想定すると、ルカ・モドリッチやアンドレス・イニエスタのようにトップ下及びウィングからインサイドハーフまでポジションを下げるという選択肢もあるのかもしれない。そうした可能性も否定できないが、しかしインサイドハーフは彼の強みと矛盾する部分がある。ピッチの端から端まで走ることを義務付けれる同ポジションでは相手のペナルティーエリアに到達する機会が減り、その類い稀な攻撃のポテンシャルを十分に発揮できなくなってしまう。インサイドハーフは中央のスペースを管理し、背後に気を遣うほか、サイドバックのカバーもしなければならない。久保はゴールを記録するための決定的なエリアで違いを生み出せる選手であり、インサイドハーフとしてしまえば過剰な責任を背負うことになる。

だからこそ、久保はトップ下のポジションが存在するチーム以外では、右ウィングを偽っていくべきだ。彼は中央でプレーできるほか、サイドバックとボランチ(またはインサイドハーフ)の間でボールを受けるインテリジェンスも備え、逆サイドにボールがあるときに内に絞るか外に張るかという判断も素晴らしい。先のセビージャ戦(第36節:0-2)を顕著として、守備に奔走することになってしまうマジョルカより攻撃的なチームに行けば、もっと良さを見せられるだろう。

そして久保はポジションやシステム以上に、センスが似通った選手たちを周りに必要としている。例えばサイドバックは長距離を走り抜け、相手のマークを分担させられる選手が理想的。マジョルカでは終盤からポソがそうした役割を引き受け、彼が外のレーンを埋めることで、久保が内に入り込めるようになった。その一方、最前線ではアンテ・ブディミルのような典型的なセンターフォワードではなく、より機動性の高いストライカーがいた方が都合良い。センターバックとサイドバックの間を突けるようなタイプがいれば、久保はスルーパスやワン・ツーなど、より連係を取ることができるはずだ。そしてインサイドハーフに優れた技術を有し、ペナルティーエリアにも顔を出す選手が少なくとも1人いれば、この日本人をチームのフィニッシュワークで生かすことにおいて、この上ない環境が揃うことになる。

■理想の移籍先

2019-07-21 Kubo Takefusa Real MadridGetty Images

来季、久保がレアル・マドリーで居場所を手にする可能性は低い。インサイドハーフ及びウィングともに人材過多であり、EU圏外枠を占めなければならない彼は再びレンタルで修行に出ることになるはずだ。無論、今季ラ・リーガでいきなり活躍を見せたことで、レアル・マドリーの本拠地サンティアゴ・ベルナベウには彼を求めるオファーがひっきりなしに届いている。移籍先はクラブと久保の意思によって決定され、マドリー側は最後に物言うのは選手本人だとしている。

マドリーは久保がスペインで成長を続けることを望んでいるが、しかし国外にレンタルする可能性も現段階では完全に否定できない。国外のクラブで彼に興味を持っているのはアヤックス、ラツィオ、ミラン。ミランは3月までチーフ・フットボール・オフィサーを務めていたズボニミール・ボバンが久保に惚れ込み、獲得を実現するべく何度もスペイン首都を訪れていた。スペイン国内では、ラ・リーガ1部のほぼすべてと言える数のクラブが日本人の状況について問い合わせており、その中でレアル・ソシエダとベティスが優位に立っている。ラ・レアルは今季にその攻撃的フットボールが話題を呼び、ベティスもマヌエル・ペジェグリーニを招へいしたことで、久保の望みにかなうチームに生まれ変わるかもしれない。

マドリーが最も好ましいと考えている移籍先はやはり、マルティン・ウーデゴールのレンタル先であるなど、良好な関係を築いているラ・レアルだ。確かにサン・セバスティアンのチームは、久保の特徴に最も適しているように思えるが、結局は本人の決断次第。久保が正真正銘のマドリーの選手となることを目指すならば、踏み出す一歩を間違えることは許されない。

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