フライブルクの日本代表MF堂安律の去就が決まるのは、まだしばらく先になりそうだ。ドイツ誌『キッカー』のフライブルク番記者が、その新天地選びについて分析している。
来月27歳の誕生日を迎える堂安は、今季のブンデスリーガで10ゴール8アシストとキャリアハイの数字を記録した。しかし、『キッカー』のカルステン・シュレーター=ローレンツ記者は、右ウイングとしての影響力はその数字以上だったと強調。プレアシストも含めると25得点に関与しており、これはチーム全体の51%に相当する数値で、リーグトップの関与率だと伝えている。
記事ではさらに、2022年夏の加入以降に見せた守備面での成長にも注目。「本来は右ウイングでありながら、しばしば最終ラインまで下がって守備に参加し、4バックを5バックに広げ、相手の左サイドアタッカーやウイングバックに対して非常に効果的に対応するなどデュエルの強さでも存在感を示していた。そのため、度々クラブでも代表でも右ウイングバックとして起用されてきた」として、守備への貢献を高く評価している。
一方、攻撃面でも堂安の特長は際立っている。「得意の左足を生かし、右サイドから中央へ鋭くカットインするドリブルを武器とし、自らフィニッシュに持ち込んだり、柔らかいアーリークロスを供給したり。また、逆サイドでのポジショニングも巧みで、ファーサイドでチャンスに絡む場面も多く、身長は高くないながらもヘディングでゴールを決める場面も見られた」と、攻守両面での存在感を描写している。
そんな堂安だが、最終節のフランクフルト戦後には3年間在籍したフライブルクへの愛着を語っていたものの、記者によれば「明らかに退団の方向に傾いている」とのこと。クラブ側としては、理想的には約2000万ユーロの移籍金を得たい考えで、今夏の移籍市場での動向に注目が集まっている。
「例えば、アイントラハト・フランクフルトは引き続き堂安の獲得に強い関心を示している。トップスピードの面のみにやや課題があるものの、その魅力的な総合力は、イングランドを含む複数クラブから注目を集めている」
さらに堂安自身も、新天地選びには慎重な姿勢を崩していない。「2026年W杯を見据え、理想的には引き続きレギュラーとしてアピールを続けたいと考えており、短期的にも中期的にも最も良い展望を与えてくれるクラブを見極めることになる」という。そのうえで、本人の決断が下された後に、移籍先候補とフライブルクとの正式な交渉が始まる見通しだ。
なお記事では、「堂安が退団すれば、フライブルクには当然ながら大きな穴が残されることになる」とも言及。クラブはすでに、来季に向けてブレンビーから鈴木唯人、トロワからチリアック・イリエ、ヘルタ・ベルリンからデリー・シェルハントと3人の攻撃的選手を獲得しており、鈴木は主にトップ下やセカンドストライカー、イリエは右ウイング、シェルハントは左ウイングとしての起用が見込まれている。




