5日のラ・リーガ第30節、レアル・マドリーは本拠地サンティアゴ・ベルナベウでのバレンシア戦を1-2で落とした。
窒息しそうな過密日程が続くレアル・マドリー。次のミッドウィークにチャンピオンズリーグ(CL)準々決勝、ロンドンでのアーセナル戦を控える状況でベルナベウに迎えるのは、コルベラン監督就任後に一気に調子を上げて降格圏から脱出したバレンシアだ。
アンチェロッティ監督は、クルトワに続いてルニンも負傷したGKのポジションに19歳フラン・ゴンサレスを起用。そのほかのスタメンはDFルーカス・バスケス、チュアメニ、リュディガー、フラン・ガルシア、MFブラヒム、モドリッチ、バルベルデ、ベリンガム、FWエンバペ、ヴィニシウス。
立ち上がりからボールを保持して攻め込むマドリーは、13分に絶好機を迎えた。ペナルティーエリア内に侵入したエンバペがタレガにユニフォームを引っ張られて倒されPKの判定。だが、キッカーのヴィニシウスが枠の右を狙ったシュートは、GKママルダシュビリに弾かれている。ヴィニシウスはCLベスト16、アトレティコとの2ndレグに続くPK失敗となった。
そして、そのPKから3分後、逆にバレンシアが先制点を獲得。CKからディアカビが打点の高いヘディングシュートを決め切った。
ビハインドを負ったマドリーだが、バレンシアの5バックによる守りは堅く、なかなかこじ開けることができない。21分にはエンバペ、ルーカス・バスケスの連係からディアカビのオウンゴールを誘発したが、エンバペが直前にオフサイドポジションにいたとしてスコアに反映されなかった。
そしてこの前半には、異変も起こっている。ベルナベウがヴィニシウスに対してブーイングを浴びせ始めたのだ。ここ最近、低調なパフォーマンスが続く背番号7は、PKを失敗して以降、ドリブルを仕掛けてボールを奪われたり、シュートを外したりする度に一部観客から指笛を吹かれた。ラ・リーガここ10試合12得点のエンバペが積極果敢なドリブルからシュートを打つ度、喝采を受けるのとは好対照だった。ただベルナベウはヴィニシウスのほか、エンバペ以外のチーム全体のパフォーマンスにも不満を溜めており、前半終了のホイッスル直後には大量の指笛が吹かれている。
迎えた後半、マドリーは50分に同点弾を獲得。モドリッチの左CK、ニアサイドのベリンガムが頭で後方へボールを流し、そこに位置したヴィニシウスが右足アウトサイドのシュートでネットを揺らした。ヴィニシウスはすぐさま枠内のボールを拾ってダッシュでハーフウェーラインまで戻るなど、ブーイングが応えたのかストイックな姿勢を見せる。その後には、エンバペへの絶妙なスルーパスや献身的なプレッシングによってチームに貢献している。
しかしマドリーはなかなか逆転ゴールまで奪うことができない。エンバペ、ヴィニシウス、バルベルデと次々にゴールに襲い掛かりながらも、ママルダシュビリの好守にも阻まれて、焦りを募らせる展開が続いた。56分にブラヒムをロドリゴに代えていたアンチェロッティ監督は、76分には一気に3枚交代カードを切り、ヴィニシウス、モドリッチ、フラン・ガルシアを下げてエンドリッキ、カマヴィンガ、アラバをピッチに立たせる。後半に調子を上げながらも、温存の意図もあってかベンチへと向かうヴィニシウスには、一部観客がまだ指笛を吹いていた。
マドリーは78分、エンドリッキがヘディングシュートでゴールをうかがうも、これはディアカビの胸と腕の中間に当たって防がれ、PKにもならなかった。アンチェロッティ監督は85分にルーカス・バスケスをギュレルに代えて、さらに攻勢を強める。だが前のめりになり過ぎると、アディショナルタイムにバレンシアの追加点を許してしまった。ショートカウンターから途中出場のウーゴ・ドゥロにヘディングシュートを決められ、試合はそのまま1-2で終了のホイッスルが吹かれている。終了直後、ベルナベウにはこれまで以上の数の、耳をつんざく指笛が響き渡った。
ラ・リーガ2位マドリーは、同日にベティス戦に臨む首位バルセロナに勝ち点を6差に広げられる可能性をつくっている。なおバレンシアのウーゴ・ドゥロは、下部組織にも在籍したことのあるマドリー相手に通算5ゴールを記録。彼がマドリー戦でゴールを決めて、勝ち点3を獲得したのは、この試合が初めてとなる。




