25日のラ・リーガ第21節、レアル・マドリーは敵地ホセ・ソリージャでのバジャドリー戦を3-0で制した。
ラ・リーガ首位と最下位の対戦。レアル・マドリーはエンバペが「どん底だった」と告白したラ・リーガ第9節アスレティック・ビルバオ戦以降、同選手の覚醒とともに圧倒的な得点力を発揮し、12試合でじつに42得点(1試合平均3.5得点)を決めている。ベリンガム、ロドリゴ、エンバペ、ヴィニシウスのカルテットはその内28得点を記録しているが、それはバジャドリーが今季ラ・リーガで決めている得点数の2倍だ。
前節ラス・パルマス戦(4-1)に続いてヴィニシウスを出場停止で欠くアンチェロッティ監督は、GKクルトワ、DFラウール・アセンシオ、チュアメニ、リュディガー、フラン・ガルシア、MF後列セバージョス、バルベルデ、前列ブラヒム、ベリンガム、ロドリゴ、FWエンバペを先発で起用している。
前半、立ち上がりこそバジャドリーの攻勢を許し、クルトワの好セーブにも助けられた(ダビド・トーレスのヘディングシュートをセーブ)マドリーだが、徐々に主導権を握って相手陣地で一方的に試合を進めるように。バルベルデとポジションを入れ替えて左ボランチとなったセバージョスのゲームメイク、フラン・ガルシアのオーバーラップ、ロドリゴのドリブル突破と左サイドを起点にして、さらにエンバペとベリンガムも絡みながらバジャドリーの守備陣を切り崩そうと試みた。
コッカ監督が新たに率いるバジャドリーは、組織立った守備でマドリーの攻撃を防いでいたが、30分についに決壊。マドリーはロドリゴが左サイドから中央にドリブルで切れ込み、それからセバージョス、バルベルデとボールをつないで、バルベルデがロドリゴの空けたスペースに位置したエンバペに縦パス。エンバペはベリンガムとの素早いワン・ツーでボックス内左に侵入し、右足のシュートを枠内右に突き刺している。目まぐるしいパスワークと、エンバペの電撃的な速さとフィニッシュ力が際立つ、まさにゴラッソだった。
先制して試合を折り返したマドリーは後半、前に出ざるを得なくなったバジャドリーを相手にポゼッションとカウンターを織り交ぜて追加点を狙う。決めたのは、57分のことだった。バルベルデが中盤でボールを奪いカウンターを発動すると、セバージョスの鋭い縦パスからロドリゴが左サイドを突破。ボックス内中央に切り込んだロドリゴは、すぐ左を走るエンバペに横パスを送り、フランス人FWが再び右足インサイドを巧みに使ったシュートでネットを揺らしている。エンバペは走り込みの速度はもちろんのこと、トラップからシュートまでのモーションが非常に速く、それでいてシュート力の強さが際立っていた。まるで、一人だけ倍速で動いているようだ。
2点差としたアンチェロッティ監督は、直後にセバージョス、ラウール・アセンシオを下げてモドリッチ、アラバを投入。さらに73分にはロドリゴとの交代でギュレルもピッチに立たせた。
その後も主導権を握り続けるマドリーは89分、ボックス内でベリンガムがマリオ・マルティンに倒されてPKを獲得(マドリー下部組織出身のマリオ・マルティンは2枚目のイエローカードで退場)。このPKを蹴るのは……エンバペ。フランス人FWは枠内左にシュートを決め切り、マドリー加入後初のハットトリックを達成している。
エンバペは今季公式戦22得点目(ここ14試合では13得点!)。ラ・リーガでは15得点と、得点ランク首位を走るレヴァンドフスキにあと1点差まで迫っている。何よりも、その圧倒的にキレのある動きと、それでいて繊細なキック技術でもって、世界最高の一選手であることを改めて証明。またこの試合では、ロドリゴの空けたスペースをうまく使うなど、両者の相性の良さを感じさせている。
アンチェロッティ監督は92分にエンバペ、バルベルデを下げてロレンソ、エンドリッキを投入。試合はその直後に終了のホイッスルが吹かれた。ラ・リーガ4連勝の首位レアル・マドリーは、同日にビジャレアルと1-1で分けた2位アトレティコ・マドリーとの勝ち点差を4まで広げている。




