19日のラ・リーガ第20節、レアル・マドリーは本拠地サンティアゴ・ベルナベウでのラス・パルマス戦を4-1で制した。
スペイン・スーパーカップ決勝クラシコで2-5惨敗、5-2で勝ち抜けたとはいえコパのベスト16セルタ戦で延長戦までもつれ込む苦闘……調子が良いとは決して言えないマドリーだが、前日にアトレティコ・マドリーがレガネス戦を0-1で落としたことで、ラ・リーガ首位に浮上するチャンスを手にした。
絶対に勝ちたいこの一戦、ヴィニシウスを出場停止で欠くアンチェロッティ監督は、GKクルトワ、DFルーカス・バスケス、ラウール・アセンシオ、リュディガー、フラン・ガルシア、MF後列セバージョス、バルベルデ、前列ブラヒム、ベリンガム、ロドリゴを先発で起用している。
試合は前半開始早々いきなり動いた。ラス・パルマスが1分にマドリーの脆弱な守備を破っている。右サイドのサンドロがクロスを上げると、L・バスケスの背後から飛び出したファビオ・シルバがシュートを突き刺した。
今季ラ・リーガ20試合20失点と、1試合平均1失点以上というデータを早速守ってしまったマドリー。その後ボールを保持して攻勢を仕掛けたが、2分にブラヒムが押し込むだけでよかったシュートを枠の右に外し、7分にエンバペの放ったシュートがGKシレッセンにセーブされるなど、なかなかチャンスを点につなげられない。
しかしながら17分、ペナルティーエリア内左でロドリゴがサンドロに足を引っかけられて、これがマドリーのPK判定に。キッカーのエンバペが枠内右にシュートを沈め、スコアはタイに戻っている。
同点に追いついたマドリーは、その後もロドリゴが左サイドを切り崩し、中央（やや左寄り）のエンバペがフィニッシュに持ち込む形でチャンスを創出。とりわけキレを感じさせたのが、エンバペだ。背番号9は今季前半戦の不調が嘘だったかのように、どのスタンドから見ても迫力満点のプレーで観客を魅了。ミドルを打つだけでもオーラがあり、実際的にその強烈なシュートはゴールの予感を覚えさせた。
そして33分、そのエンバペの強烈ミドルが逆転弾を呼び寄せた。アタッキングサードで前を向いたフランス人FWが右足でボールを叩くと、シレッセンが横っ飛びで何とかセーブ。このこぼれ球をL・バスケスが拾い、ブラヒムのゴールをお膳立てした。
ついにスコアをひっくり返したマドリーは、36分に3点目を獲得。決めたのは、またもエンバペだ。左サイドのロドリゴが右足アウトサイドで横パスを送ると、ペナルティーエリア中央に位置した9番が、繊細さ際立つ右足のワンタッチシュートでネットを揺らした。エンバペは公式戦ここ3試合で4得点を記録しており、公式戦18得点目、今季ラ・リーガ12得点目（ハフィーニャを抜いて得点ランク2位。1位はレヴァンドフスキの16得点）。
エンバペはさらに42分、ペナルティーエリア内左に侵入したロドリゴの折り返しを押し込みハットトリックを達成……したかと思いきや、これはVARの結果直前のプレーでエンバペ自身のオフサイドが取られてノーゴール判定に。しかしながらベルナベウの観客は、ついにエンバペを期待通りの怪物的選手だと認め、「エンバペ！ エンバペ」のチャントをスタジアムに響かせていた。
迎えた後半、マドリーは57分に4点目を記録。ペナルティーエリア手前のエンバペのスルーパスからフラン・ガルシアが左サイドを突破し、その折り返しをロドリゴが押し込んだ。また63分にはベニートがL・バスケスの脇腹に蹴りを食らわせてしまい、一発レッドで退場に。マドリーは数的にも優位に立っている。
その後、セバージョスを起点とした攻撃でラス・パルマスを押し込むマドリーは、76分にセットプレーからベリンガムがシュートを決めた。が、これは直前にボールに触れたリュディガーがオフサイドポジションだったために取り消しに。アンチェロッティ監督はその直後に交代カードを切り、リュディガー、ブラヒムを下げてギュレル、そしてアラバをピッチに立たせた。靭帯断裂から1年1カ月戦列を離れ、ついに復活を果たしたオーストリア代表DFはスタンディングオベーションで迎えられている。
アンチェロッティ監督はさらに83分、セバージョスとロドリゴと交代でエンドリッキと下部組織のチェマを入れる。攻撃のオーガナイズのほか、ボール奪取でも存在感を放ったセバージョスは、ロドリゴを上回る大喝采を浴びていた。マドリーは終盤、バルベルデが再びミドル砲を炸裂させたものの、これは直前にグラウンダーのクロスを送ったL・バスケスのオフサイドを取られて、またも取り消しに……。結局、3点リードで試合終了のホイッスルを迎えている。ファン投票によるこの試合のMVPは、やはりエンバペだった。
ラ・リーガ3連勝のマドリーは勝ち点を46として、アトレティコに2ポイント差をつけて首位に浮上している。