レアル・マドリーの元フベニールA（U-19）監督で、現在はU-17スペイン代表で監督を務めるエルナン・ペレス氏が、マドリーのトップチームで大活躍を見せているFWゴンサロ・ガルシア（21）のポテンシャルに太鼓判を押している。
クラブワールドカップのグループステージ3戦で2ゴール1アシストを記録するなど、大きな存在感を発揮するゴンサロ。マドリーのフベニールAで同選手を指導したエルナン・ペレス氏は、その実力がフロックではないことを強調する。
スペイン『アス』とのインタビューにエルナン・ペレス氏は、ゴンサロについて最初に興味を引かれたことを問われて、次のように返答した。
「仕事に取り組む意欲、日々学んで、各練習でもっと向上したいという願望だ。その性格と野心、また人間的な素晴らしさによって、彼は遠くまで届き得る選手だと思えた。とても礼儀正しく、少し内気でもあったが、皆から好かれていたね」
エルナン・ペレス氏がゴンサロを率い始めた当初、同選手は9番ではなくウィングの選手だった。
「ウィングが本来のポジションだったが、あのシーズンからもっとゴールに近づくようになった。というのも、彼には点を取る才能があったんだ。彼は練習では伸ばせない才能とともに生まれたんだよ」
「サイドからもヘディングで多くのゴールを決めていたし、内に絞ってシュートを打つのも上手かった。そしてあのシーズンからセンターフォワードとプレーして、そのフィニッシュ能力を生かし始めたんだ。彼はチーム内得点王となり、その後アルベロアとラウールも同じポジションで使い続けている」
ゴンサロの長所として、フィニッシュ能力だけでなくプレービジョンも挙げている。
「彼はゲームというものをよく理解していた。とりわけ好ましかったのは、戦術面について興味を持っていたことだ。最高の選手になるために、様々なことを質問し、映像を見て、プレーコンセプトを学ぼうとしていたよ」
「ゴンサロのようなクオリティーを持つ選手は数多く見たが、しかし彼はプロフェッショナリズム、専心、野心、意欲という部分で違っていたんだ。多くの素晴らしい若者が道半ばで頓挫していった。それはそうした部分が欠けていたためで、彼はそのすべてを備えていたんだ」
ゴンサロは空中戦の強さも際立っている。
「彼の身長は182センチだが、しかしとても賢く、直感も素晴らしい。いつも、本当に集中しながらプレーしており、だから難しい状況を解決することができるんだよ。加えて、子供の頃からの強い好奇心によって、ゲームを巧みに読むことができる。もし技術的に素晴らしい選手でも、ゲームを理解していなければ高みに到達することは難しいんだ」
「空中戦に強いのは、すべてを少しずつ備えているからだろう。直感、集中力、相手に先んじる力、コーディネーション……ゲームを読む力は、ほかの選手より1秒先んじて動き出すことを可能とする。身長が高いわけではないが、その大腿四頭筋、ハムストリング、ふくらはぎの筋力はトップレベルだ。それは彼の努力と、負傷予防に気を遣っている賜物だ」
「今、ゴンサロはホセルと比較されることが多いが、しかし私の意見では彼はより進化した選手だ。“ホセル2.0”と言えるかもしれない。ゴンサロは1トップだけでなく、9番の背後やサイドでもプレーすることができる。シュートを打つのもうまいし、ヘディングも見事だ。完璧な選手だよ」
ゴンサロの“天井”がどこにあるかを問われたエルナン・ペレス氏は、こう返答した。
「とても高いよ。要求のレベルが高いほど、最高の監督に指導されるほど、さらなる成長を果たせるだろう。10〜12年にわたって、マドリーのストライカーを務められるはずだ」
「マドリーの要求の高さは知っているさ。だが私は、ゴンサロがハーランドにそこまで離されているとは思っていない。継続的にプレーでき、必要なだけの役割を与えられるならばね。信頼を寄せられなければ難しいが、そうなれば高みに到達できるはずだ」
バルセロナの下部組織の選手たちの方が、レアル・マドリーの下部選手たちよりもトップチームで活躍している現実がある。U-17スペイン代表でヤマルなども指導したエルナン・ペレス氏は、両クラブの下部選手たちの違いが、出番を与えられるどうかだとしている。
「私のセオリーで言えば、若手たちは出場時間を手にしなければならない。マドリーの選手たちにしても、一度退団する必要はないと思う。彼らのトップチームにも居場所はあるはずなんだ。バルセロナの若手は居場所を与えられて、その期待に応えている。出場機会を得るために、他クラブに移籍して下部カテゴリーに行かなくてもいいんだよ」
「ゴンサロについても同じことが言える。しかし、彼を起用する勇敢さを持たなくてはならない。彼はもし50試合で起用すれば、50ゴールを決めることができる選手だ」