26日のクラブワールドカップ・グループH第3節、レアル・マドリー対ザルツブルクは3-0でマドリーの勝利に終わった。
前節パチューカ戦（3-1）で、シャビ・アロンソ監督体制での初勝利を飾ったレアル・マドリー。グループ最終節では勝ち点4で並ぶザルツブルクと首位突破をかけて対戦する。
シャビ・アロンソ監督はマドリーを指揮して3戦目で、最も得意なシステムである3バックを初めて試合開始から使用。GKクルトワ、センターバックに右からハウセン、チュアメニ、リュディガー、ウィングバックにトレント（アレクサンダー＝アーノルド）、フラン・ガルシア、2ボランチにバルベルデ、ギュレル、トップ下にベリンガム、2トップにゴンサロ、ヴィニシウスと3-4-1-2の布陣を敷いている。
マドリーはシャビ・アロンソ監督体制3試合目で、指揮官の色が最も出たフットボールを展開。後方からボールをつなぎ、ギュレル、バルベルデがゲームをつくり、中央が塞がれればサイド、サイドが塞がれれば中央と守備が手薄な場所を突き、アタッキングサードでベリンガム、ヴィニシウス、ゴンサロが連係しながらフィニッシュワークを行なう。そして守備では、ボールを奪われればヴィニシウスからしっかりプレスをかけて、極めてコンパクトなブロックでそれを奪い返していった。
前半のマドリーは、まず上記のようなシステマチックなポゼッションフットボールを見せ、その後ザルツブルクの攻撃を受ける番に回ると、ピッチ中央で守備ブロックを敷いてカウンターからゴールを狙った。どちらの戦い方でも、その守備ブロックはコンパクトに保たれており、各ラインが間延びして攻守の安定が取れなかった姿は過去のものとなっていた。
そうして40分、マドリーがカウンターから先制点を獲得。ピッチ中央付近のベリンガムが前方にスルーパスを送り、ヴィニシウスが駆け出す。ゴール前で相手のセンターバック2枚を相手にした背番号7は、右足でボールを蹴り出してペナルティーアークに入り、すぐさま左足でグラウンダーのシュート。地を這うボールが枠内右に収まっている。
スコアを動かしたマドリーは、アディショナルタイム3分にも縦に速い展開からゴールを記録した。ギュレルの縦パスからヴィニシウスがペナルティーエリア内右に入り込むと、マークにつく相手選手を引きつけながらボールを後方へと送る。そこに飛び込んだバルベルデ（欧州5大リーグで唯一となる今季62試合目の出場！）が、左足のシュートでボールを枠内に押し込んだ。試合は2-0で折り返しを迎えている。
後半、マドリーはスタミナが保てないこともあってか、ややペースを落としてザルツブルクの反撃を受けることに。だがシュートまで持ち込まれても、クルトワがいつも通り好セーブを披露し、ベリンガムがゴールに入りそうなボールをギリギリでクリアする場面もあった。
シャビ・アロンソ監督は67分に交代カードを切り、ギュレル、ヴィニシウス、リュディガーを下げてモドリッチ、ロドリゴ、ハコボ・ラモンを投入。さらに74分にはバルベルデをセバージョス、82分には足がつっていたベリンガムをブラヒムに代えている。
終盤、危険な場面を許すこともなく、ザルツブルクにボールを持たれていたマドリーは、84分に勝負を決める3点目を奪った。ゴンサロが前線でボールを奪ってペナルティーエリア内に侵入すると、GKを眼前にしてループシュートを放ちネットを揺らしている。急性胃腸炎のエンバペに代わってスタメンを張るゴンサロは、グループステージの3試合で2得点1アシスト1起点と大暴れだ。3-0としたマドリーは失点を許すことなく終了のホイッスルを迎え、グループH首位突破を果たしている。
コンディション的にも90分を通じて同じインテンシティーでプレーを続けられなかったマドリーだったが、華麗なパスワークによる流動性ある攻撃と鋭いカウンターを状況に応じて効果的に使い分けていた（ポゼッションスタイルのプレーは慣れていけば大きな武器となりそうだ）。加えて、その二つの攻撃方法を成立させるためコンパクトな守備ブロックを常に保つよう心がけており、その点でもシャビ・アロンソ監督の哲学が浸透し始めていることをうかがわせた。強いマドリーが帰ってきた……そう考える人も少なくはなさそうだ。
なおマドリーは決勝トーナメント1回戦で、ユヴェントスと対戦する。