16日にラ・リーガ第9節、サンティアゴ・ベルナベウを舞台としたレアル・マドリー対バルセロナのクラシコは、3-1でマドリーの勝利に終わった。
ラ・リーガ1位で並んでいる状況で迎えることになった今季最初のクラシコ。スペイン伝統の一戦が久しぶりに大きな熱を帯びるのは、バルセロナが復活を果たして勢いを取り戻したからだが、しかしチャビ監督率いるチームはミッドウィークにチャンピオンズリーグ敗退濃厚となり、いきなり崖っぷちのような状況に立たされることになった。チャンピオンズで生き残る見込みがほとんどない今、ラ・リーガの優勝争いで大きく後退するクラシコの敗戦は何としてでも避けたいところだ。
前回のクラシコで、ベンゼマ不在によりモドリッチを偽9番として0-4の大敗を喫したアンチェロッティ監督は、今回は実験的なことをせずモドリッチ&クロースの久々の同時起用含めてほぼベストの布陣を組んでいる(右ウィングは今回バルベルデで、ロドリゴはベンチスタート)。対するチャビ監督はレギュラーメンバーのガビをベンチに置いて、フレンキー・デ・ヨングをスタメンとした。
試合は予想通り、チャビ・バルセロナがその哲学通りのポゼッションフットボールでゴールをうかがい、マドリーがピッチ中央からやや下がり目の位置にブロックを構築して速攻を狙う展開。その中で鋭く効果的な攻撃を見せたのは、手数で勝るバルセロナではなくマドリーだった。
マドリーが先制点を決めたのは13分のこと。自陣からの縦に早い展開。ブスケツの背後を取ったクロースのロングボールからヴィニシウスが抜け出すと、そのままペナルティーエリア内に入り込みシュートを放つ。これはT・シュテーゲンに弾かれたものの、こぼれ球を拾ったベンゼマが左足で枠内に押し込んだ。
ビハインドを負ったバルセロナは、さらにポゼッション率を上げてマドリー陣地で試合を進めるものの、放つシュートは決まる確率の低いものに終始。25分にはクロスから、ファーでフリーとなっていたレヴァンドフスキが倒れ込みながらシュートまで持ち込むも、このボールはクロスバーの上へと飛んでいる。
そうして36分、またもマドリーの速く、うまく、重い一撃が炸裂した。ヴィニシウスを起点とした速攻。左サイドのメンディがペナルティーエリア手前のバルベルデに横パスを送ると、ウルグアイの“アルコン(ファルコン)”はトラップの際にシュートを打ちやすい位置にボールを転がし、間髪入れずに右足を一閃。地を這うボールが枠の左に収まった。マドリーがリードを2点に広げて、前半を終えている。前半のシュート数はマドリー4本(枠内3本)、バルセロナ8本(枠内2本)だった。
後半も展開は変わらず、バルセロナがボールを持ち、マドリーが守って隙あらば速攻を仕掛ける。マドリーは52分、ヴィニシウスのサイドチェンジから、ベンゼマがまたも左足のシュートでネットを揺らしたが、これはオフサイドの判定に。マドリーは60分近くに長いパス回しを見せたが、そのときには喜びに浸る観客から「オーレ!」のコールが起こった。
チャビ監督は60分に後退カードを切り、ハフィーニャ、ブスケツ、バルデとの交代でフェラン・トーレス、ガビ、ジョルディ・アルバを入れた。が、3枚代えも打開策になることはなく、バルセロナは攻めあぐね続ける。チャビ監督は73分、デンベレも下げてアンス・ファティもピッチに立たせた。
マドリーは自陣に下がりバルセロナの攻撃を受け止め続ける。チュアメニのほかクロースの献身的な守備も光り、失点の危機を迎えることはほとんどなかった。アンチェロッティ監督は78分に1枚目の交代カードを切り、モドリッチをカマヴィンガに代える。対するチャビ監督は83分にペドリをケシエに代えて交代枠を使い切ったが、その直後に希望を灯す1点を決める。CKの流れからA・ファティがクロスを送り、これをF・トーレスが押し込んだ。マドリーにとっては、決められる勝負を決めなかった付けが回ってきた格好だ。
アンチェロッティ監督は85分、ヴィニシウスを下げてロドリゴを投入。だが1点を返したバルセロナは勢いづき、A・ファティが枠をわずかに外れる決定機を迎えるなど、ベルナベウに恐怖をもたらしていく。89分、イタリア人指揮官はベンゼマとカルバハルをアセンシオとリュディガーに代えた。
そして90分、勝負を決する出来事が起こる。ペナルティーエリア内でロドリゴがエリックに倒されると、VAR介入の結果マドリーのPK判定に。このPKをロドリゴ自身が冷静に決め切り、そのまま試合終了を迎えた。ラ・リーガ&チャンピオンズリーグ王者は、チャンピオンズ敗退濃厚となったチャビ・バルセロナの傷をさらに深いものとしている。
マドリーの面々は試合後、ベルナベウのピッチを一周しながら応援する観客に感謝の気持ちを伝えたが、観客からはお馴染みの「アシ・ガナ・エル・マドリー(マドリーはこう勝つ)!」のチャントを返されていた。彼らは勝ち点を25に積み重ね、バルセロナに3ポイント差をつけて単独首位に立っている。




