real madrid arsenalGetty Images

アーセナル、16季ぶりのCLベスト4入り!逆転突破の余地をまったく与えず王者レアル・マドリーを葬る

16日のチャンピオンズリーグ(CL)準々決勝2ndレグ、サンティアゴ・ベルナベウを舞台としたレアル・マドリー対アーセナルは2-1でアーセナルの勝利に終わった。2戦合計で5-1で上回ったアーセナルが準決勝進出を決めている。

アーセナル・スタジアムでの1stレグはアーセナルが3-0で勝利。スポーツデータサイト『Opta』のスーパーコンピューターによれば、このスコアから逆転できる確率は4%らしいが、もしかするとマドリーには当てはまらないかもしれない。

マドリーは過去6回、アウェーでの1stレグで3点差をつけられ、その内3回で逆転突破を果たした(逆転したのは1975-76シーズンのダービー・カウンター戦、84-85シーズンのアンデルレヒト戦、85-86シーズンのボルシアMG戦)。近年も数々の劇的勝利を収めてCL制覇を成し遂げているからこそ、マドリーとそのサポーターは信じることを止めない。試合当日のスペインのスポーツ紙『マルカ』も「成し遂げられるチームがあるならばレアル・マドリーだけだ」という、選手たちも口にしていた言葉を1面の見出しとして、希望を掻き立てている。

試合は「ここは夢の工場。自分の夢を生み出せ、レアル」という大横断幕が掲げられてからキックオフのホイッスル。圧倒的な応援の声に背中を押されるマドリーは、なるべく早い時間帯に逆転勝利のとっかかりをつかむべく、フルスロットルで攻勢を仕掛けようとする。しかし3分、ヴィニシウスのお膳立てからエンバペがネットを揺らしたものの、これは明らかなオフサイドでゴールとならず。またボールを落ち着かせながら攻撃を仕掛けようとするアーセナルにも手を焼いて、とりわけ左サイドバックを務めるアラバがサカへの対応に苦慮していた。

そして9分、マドリーの勢いを削ぐことに尽力していたアーセナルがPKを獲得した。CKの場面で、ライスがニアに向かって蹴ったボールはクルトワが直接キャッチ。だがラウール・アセンシオがミケル・メリーノをつかんで倒していたとして、オンフィールドレビューを行ったフランソワ・ルテクシエ主審がペナルティーマークを指示した。

ゴールとなればマドリーの敗退、アーセナルの準決勝進出が決まるPK。キッカーを務めるのはサカだ。背番号7が打った枠の左を狙って放った柔らかなシュートは……クルトワが横っ飛びでセーブ!マドリーは首の皮一枚で希望をつなげ、大熱狂のベルナベウは「シ・セ・プエデ(イエス・ウィー・キャン)!」を勢いよく、何度となく叫んでいる。

このクルトワのセーブでさらなる声援と勢いを手にしたマドリーだが、それもまたレフェリングをきっかけとして冷まされている。

24分、L・バスケスがペナルティーエリア内にクロスを送ると、エンバペがライスにつかまれ、倒されたとしてルテクシエ主審がPKを指示。だがフランス人審判とVARとのやり取り、さらにはオンフィールドレビューで合計5分を使った後、結局ライスがファウルを取るほどの勢いで倒していないと判断され、PK判定は取り消しに。この長い長い時間を使ったPK取り消しでベルナベウ、またマドリーの熱は下がることになり、アーセナルの自慢の堅守だけが目立ちながら前半は終了している(アディショナルタイムは7分も取られた)。

迎えた後半はマドリーの攻めあぐねる時間が続き、アーセナルがトドメを刺そうと徐々に攻撃の鋭さを研いでいく。アンチェロッティ監督は61分にルーカス・バスケス、アラバ、ロドリゴを下げてセバージョス、フラン・ガルシア、エンドリッキを投入。しかし流れは変わることなく、65分にアーセナルがベルナベウを沈黙させる先制点を決めた。ペナルティーエリア手前のミケル・メリーノのスルーパスからサカがDFラインを抜け出し、冷静なシュートで今度こそクルトワを破っている。

だがマドリーもまだあきらめない。失点から2分後、ハイプレスを仕掛けたヴィニシウスがペナルティーエリア内でサリバからボールを奪い、そのまま右足のシュートでゴール。3点差を維持した。ただ、何かと波に乗り切れないのがこの日のマドリーだ。74分にはライスとの接触プレーからエンバペが負傷してプレー続行不可能に。アンチェロッティ監督は同選手をブラヒム、またアセンシオをモドリッチに代えている。

試合終盤、モドリッチ、セバージョスとゲームメイクができる2選手がピッチに立つマドリーだったが、とにかくアーセナルの守備が堅く、枠内シュートもろくに打てないまま時間だけが経過していく。すると後半AT3分、アーセナルがダメ押しとなる追加点を記録。速攻からマルティネッリが独走し、そのままゴール前まで走り込みシュートを決め切った。このゴールでほぼ勝負を決めたアーセナルだったが、アルテタ監督は試合の終わりの終わりまで手を抜かず、残り1分で交代カードを使って時間を稼ぐ徹底ぶりを見せている。

結局、試合はそのまま終了のホイッスルを迎え、アーセナルがCL前大会王者マドリーに奇跡を起こす余地をまったく与えず、16シーズンぶりにベスト16進出を決めている。マドリーは今回、神通力が届かず。いや、もっと言えば、今季低調なパフォーマンスが続いている同チームはそれを大一番になっても引きずっていた格好だ。例えば、今回は普段守備をしないヴィニシウス&エンバペからハイプレスを仕掛けていたが、ほとんど付け焼き刃でアーセナルを動揺させることはできなかった(あのサリバのボールロストからの失点を除いて)。

対してアルテタ監督率いるアーセナルは、リーグ戦から見せている質の高い“普段着のフットボール”をこの大一番でも実践し、「奇跡を起こせ!」と息巻くベルナベウ、マドリーを相手に“普通に”勝利している。彼らの方が、しなやかで強かった。

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