4日のチャンピオンズリーグ(CL)決勝トーナメント1回戦1stレグ、サンティアゴ・ベルナベウを舞台としたレアル・マドリー対アトレティコ・マドリーは、2-1でレアル・マドリーが先勝した。
今季から新フォーマットで行われているCLでは、これまで準々決勝以降に限られていた同国対決がベスト16で実現。スペイン首都の両雄が早くも激突することになった。
CLでマドリーダービーが行われるのは、2016-17シーズン以来8年ぶりのことだ。同シーズンもマドリーが勝って優勝をさらったが、2013-14シーズン、2015-16シーズンの決勝ダービーでも敗れたアトレティコは、とにかくCLでのマドリー戦にめっぽう弱い。リーグ戦などではアトレティコに土をつけられることもあるマドリーは、通算15回優勝の欧州最高峰の舞台では、圧倒的強さを誇示し続けている。
ベリンガムを出場停止で欠くマドリーは、代わりにブラヒムを先発起用。ハムストリングに問題を抱えて直近3試合を欠場していたバルベルデは何とか間に合って、右サイドバックを任されている。全スタメンはGKクルトワ、DFバルベルデ、アセンシオ、リュディガー、メンディ、MFチュアメ二、カマヴィンガ、ロドリゴ、ブラヒム、ヴィニシウス、FWエンバペ。対するアトレティコは、前試合アスレティック・ビルバオ戦(1-0)では温存のためベンチスタートだったジョレンテ、スルロットらが予想通りスタメンに名を連ねている。
試合は「チャンピオンのお前が見たいぞ」の横断幕とともに、ビッグイヤーと「15」の数字が現れるなど、スタンド全体を使った大規模なモザイクがつくられてキックオフ。そしてスコアは開始早々の4分に動いた。先制点を決めたのは、マドリーだ。バルベルデのスルーパスからロドリゴがガランの裏を取ることに成功。右サイドからペナルティーエリア内にカットインした背番号11は、カバーリングすべきラングレの寄せも甘いことを受けて、利き足とは逆の左足でシュートを放ち、枠内左にボールを突き刺した。
自陣で守備ブロックをつくり、堅守速攻からゴールを狙うつもりだったアトレティコにとっては最悪の展開だったろう。実際リードを得たマドリーは、守備にそこまでリスクを冒さず、悠々とボールを持ちながら追加点を目指していった。だが32分、あの男がアトレティコを窮状から救う。今季、移籍金9000万ユーロでマンチェスター・シティから加わったJ・アルバレスである。左サイドでボールを受けたアルゼンチン代表FWは、マークにつくカマヴィンガがバランスを崩した隙にペナルティーエリアの左角に侵入。そこから対角線上を狙って右足を振り抜くと、勢いあるボールがクルトワの横っ飛びも空しく枠内右に収まっている。
1-1となってからは一進一退の攻防に。アトレティコは遅攻でも際にも良質なプレーを見せ、デ・ポールを中心としたパス回しでマドリーゴールに迫り、ベルナベウの観客を苛立たせている。試合は同点のまま折り返しを迎え、後半も同じような展開が続いたが、55分にマドリーが再び均衡を破った。ペナルティーエリア内左に侵入したブラヒムが、対面するヒメネスとのデュエルを制して、右足のシュートでネットを揺らした。今季アトレティコはとにかくペナルティーエリアでの守りが軽いとされるが、この一戦でそれを完全に露呈した格好だ。
2-1となった後に両指揮官は選手交代に動く。マドリーのアンチェロッティ監督はカマヴィンガをモドリッチに代え、アトレティコのシメオネ監督はジュリアーノ、リーノをモリーナ、ギャラガーに代えて攻守のバランスを整えた。
それから試合を優位に進めたのはマドリー。モドリッチが司令塔となって攻撃を指揮し、アトレティコのゴール近くでプレーし続けた。たまらないシメオネ監督は71分にFWのグリーズマンを下げてDFのル・ノルマンを投入し、4-4-2から5-4-1にシステムを変更。守備を強化した後、今度はバリオス、デ・ポールの2ボランチを下げてコレア、スルロットのストライカー2枚をピッチに立たせた。その狙いは「堅守によって最低でも1点ビハインドのまま試合を終えて2ndレグへ。そしてJ・アルバレス含めて3枚いるストライカーにロングボールを通してあわよくばゴールを狙う」といったものだろう。
終盤、マドリーはそんなアトレティコの狙いを読み取ったように、相手陣地から自陣にプレーエリアを変えて堅守速攻にシフトする。その後はアトレティコにチャンスはなく、マドリーが速攻中心にシュートを放っていったが決め切れず。結局、試合は2-1で終了のホイッスルを迎えた。勝利したマドリーはベスト8に近づき、アトレティコは欧州屈指の熱狂を誇るホームスタジアム、メトロポリターノで逆転を狙うことになる。2ndレグは12日に開催だ。




