13日に行われたラ・リーガ第31節アラベス対レアル・マドリー(0-1)で、マドリーDFラウール・アセンシオ(22)に対して再び「死ね」チャントが歌われている。
今季、DFラインの選手が不足するマドリーでブレイクを果たしたアセンシオだが、現在裁判が行われている未成年の性的動画の共有疑惑を理由として、オサスナやレアル・ソシエダ、ジローナなどのスタジアムで一部観客から「死ね」チャントを浴びせられてきた。アラベスの本拠地メンディソロサでも、同様の現象が起こっている。
メンディソロサの内部では、一部サポーターが作成したと推定される「レアル・マドリーは強姦者たちの守護者だ」「ヤツをここから追い出せ」といったプロパガンダ的メッセージが記された張り紙が壁に貼られていた。そして試合中には「アセンシオ・ムエレテ(アセンシオは死ね)!」というチャントが何度も歌われている。
ソト・グラード主審は後半33分、このチャントを重く見て一時試合を中断。アラベスの責任者と話し合い、スタジアム内のスピーカーから「アラベスはスポーツにおける暴力、人種差別、外国人嫌悪に関するあらゆる言動を拒絶、非難します。情熱と敬意をもって応援をしましょう」というアナウンスを流させている。その一方でアセンシオ本人は、再びその強靭な意志を示していた。スペイン『モビスタール・プルス』のテレビカメラが、同選手が中断中に口にした言葉を捉えていた。
「何でもないさ。(試合を)続けよう」
◼︎アセンシオの関与が疑われる未成年の性的動画撮影および共有
2023年に当時レアル・マドリーの下部組織に在籍していた3選手(いずれもすでにクラブを退団)が、女性2人(その内1人が未成年)との性行為を無断で撮影した罪に問われた。アセンシオは性行為や撮影に関与したわけではないものの、その動画を許諾なしで第三者に見せた疑いが持たれている。先にアセンシオの弁護士は、裁判が行われているラス・パルマスの裁判所に対して同選手を嫌疑の対象から外すように求めたが、これは却下された。
ただし先にスペイン『アス』とのインタビューに応じた被害者女性は、「選手の一人が私たちの助けになってくれた。彼は私たちにほかの選手たちのことを叱ると言ったの。彼らに同意なしで撮影したのは良くないと言い続けてくれたわ」と語っており、これがアセンシオのことだとみられている。しかし、たとえ被害女性側に立ち、助けになったとしても、性的動画を共有したかどうかとは別のことであり、そのため嫌疑がかけられたままのようだ。なお嫌疑にかけられているレアル・マドリーの元下部組織の選手3人とアセンシオは、児童ポルノ法違反で5年の懲役刑を科される可能性がある。
ちなみにアセンシオは、「死ね」というヘイトクライムになり得る言葉をアウェースタジアムで叫ばれ続けていることについて、先に次のように語っていた。
「僕は好きだ。モチベーションが上がるね。マドリー相手だとすべてのスタジアムがさらなる重圧をかけてくる」
「辛いかって? 僕はフットボールをプレーするためにスタジアムに赴くんだ。誰かの言葉に耳を貸すわけではなくてね。人々はスペクタクルを見るために金を払っているわけだし、楽しむこと、自分のチームを応援することだけに集中するべきじゃないかな」




