土曜日、パリ・サンジェルマンの新シーズン開幕戦は昇格組のトロワに2-1と勝利したが、チームには明らかにスター選手のパワーを欠いた状態でのスタートとなった。
キリアン・ムバッペは前半中頃にマウロ・イカルディの決勝ゴールをアシストし、その前にもアクラフ・ハキミが厳しい角度からデビューゴールとなる見事な先制点を決めた。だが、PSGの保有するスター選手たちの大半は、古参も最近加入した選手も不在であった。
セルヒオ・ラモスはケガで欠場し、ジャンルイジ・ドンナルンマ、マルキーニョス、マルコ・ヴェッラッティ、ネイマール、アンヘル・ディ・マリアは代表での戦いから戻ったばかりのため欠場していた。
一方、おそらくこの中で最大のビッグネームとなるリオネル・メッシは、まだ契約を締結していない。
■今夏の大型補強
Getty/Goalメッシとの契約は1年延長オプション付きの2年契約と予想されているが、メッシはまだサインに至っていない。この契約をPSGが成立させられれば、少なくとも紙面上では、フットボール史上最も破壊力のある攻撃陣を形成することになるだろう。
6度バロンドールを受賞したメッシは、史上最高の選手の一人と評価される。そのメッシが年俸史上トップ2の二人と手を組むことになるとは、なんとも素晴らしい見通しだ。
ネイマールも最近4年契約を結び、将来をPSGで過ごすことを決めたばかり。来夏までの契約となるムバッペの更新に向けた動きはないが、マウリシオ・ポチェッティーノ監督は、少なくとも1年間は、他に類を見ない攻撃陣を指揮下に持つことになる。
W杯優勝メンバーであるムバッペは、表向きはPSGの欧州コンペティションでの存在感を気にかけていたと伝えられる。クラブはそれに対して、1回の移籍ウィンドーでなし得ないくらいの契約を達成して要求に応えた。
ハキミ、ラモス、ドンナルンマ、ジョルジニオ・ワイナルドゥム…。このリストにメッシが加わるとなれば、ムバッペであっても不満を漏らすことは考えられないだろう。
■見られるのは今季限定?
Getty/Goalだが、まだ疑問は残る。ムバッペが契約を満了した時、有り余る資金力を持つ故郷のクラブに残ることを選ぶだろうか?
それとも、寝室の壁に全盛期のクリスティアーノ・ロナウドの写真が貼られていたという、少年時代からの夢であるレアル・マドリーに移籍するだろうか?
誰の目から見ても、ムバッペの慰留はメッシとの契約以上に優先度の高い課題だ。だが後者の方が達成は近いように見える。このフランス代表選手と共にプレーできることは、メッシにとっても移籍するメリットの一つとなるからだ。
何しろ、メッシは過去ムバッペと対戦時には常に苦しめられてきた。
若きムバッペは、メッシやロナウドが衰える頃の次世代スーパースター候補と考えられていた。2018年W杯でフランス代表のムバッペは2得点を挙げてアルゼンチンに勝利。さらに今年前半に行われたチャンピオンズリーグ(CL)では、ラウンド16で2戦合計4得点を奪い、バルサを粉砕している。
Gettyムバッペの視点からすると、PSGのCLに対する野心は疑いの余地もないだろう。だが、ムバッペ、メッシ、ネイマールの3人を攻撃陣に加えたスターティングメンバーの守備面でのバランスについては当然疑問の余地があり、今後も議論が続けられることになりそうだ。
とはいえ、最高級のFWを3人従えれば、PSGは今季最も注目を集める欧州クラブになるだろう。
ムバッペの電光石火のスピード、ネイマールの小悪魔的なトリック、メッシの総合的に秀でた才能。彼らはいずれも強靭なフィジカルを誇るわけではないが、魔法のような能力で補うことができるだろう。
ムバッペの将来が不確実な現状、もしかするとこの3人の共演は1年だけになってしまうかもしれない。だが、なんとも楽しいシーズンを約束してくれそうだ。


