RB大宮アルディージャが新たな船出を白星で飾った。
レッドブルが株式を取得したことで、昨年10月から正式にレッドブルグループの仲間入りを果たした大宮。開幕戦ではレッドブルのグローバルフットボール責任者であるユルゲン・クロップ氏も来場。ドルトムントやリヴァプールでも指揮を執った名将が見守る中、モンテディオ山形との初戦では終了間際のゴールで2-1と競り勝った。
劇的な試合展開にクロップ氏もトレードマークのガッツポーズを繰り出し、新体制での勝利を喜んだ。試合後、長澤徹監督も「開幕戦はどうしても硬くなるので、結果が大事。開幕から5試合白星がないと戦い方も変わってきますから」と認めた通り、初戦で最も重要な3ポイントをつかみ取った。
ただし、内容面では課題は多い。ボール保持に優れる山形に持たれる時間は長く、高い位置で奪って決定的な速攻という“RBらしさ”が見られたのは非常に限定的だった。長澤監督も「持っている力の中ではインターセプトやルーズボールへのアグレッシブさが見られたし、姿勢はよしという話はしました。ただ、まだマックスではない」とさらなるパワーアップを求めている。
公式戦初戦で先発した杉本健勇や小島幹敏にしても開幕戦ならではの難しさを指摘し、昨季からの変化に関しては「まだまだこれからですね」と口を揃える。スタイルは一朝一夕で身につくものではなく、シーズンを通して追ったときに初めて進歩が見られるかもしれない。とはいえボール支配率やパス支配率で山形を下回りながら、シュート数と枠内シュート数で相手を大きく上回り、その攻撃の鋭さの片鱗は見られているのも確かだ。
一方で、明らかな変化として挙げられるのがクラブへの注目度。J2昇格クラブの一戦でありながら、メディアが大挙訪れ、会見場は立ち見で溢れた。観客数でも、2016年以来となる1万3000人超えを記録し、RB大宮アルディージャは今最も注目されているJ2クラブと言っていい。
長澤監督は「注目されているが勘違いせず一步ずつ」と冷静だが、この注目度がどちらに働いていくかはまだわからない。小島にしてもミックスゾーンでメディアの多さをちらっと見て「(注目度が高いので)気負わずにやろうと(思います)」と話した。
新体制でスタートを切ったばかりのRB大宮アルディージャ。今後、プレースタイルに明確な変化が見られるのは楽しみなところで、クロップ氏も含め多くの熱い視線が注がれることは間違いない。
