u24-japan(C)Getty Images

U-24日本代表、現実的となった東京五輪金メダル。パーフェクトだったマネジメントとは…

これを“理想的”と言わずして何と言う。そんなフランス戦だった。

2試合を終えて勝点6。けが人が出るなどチーム状況は決して万全とは言えなかったが、難敵メキシコを倒すなど、日本は最高のスタートを切っていた。

惜しむらくは、連勝したにもかかわらずグループリーグ突破を決められなかったこと。他のチームの勝敗によるものなので仕方ないが、3戦目で負けると逆転での敗退の可能性がある状況は、より森保一監督のマネジメントを難しくさせていた。

迎えたフランス戦。金メダルへの道を見据えれば休ませたい選手は数人いたが、指揮官は3枚の変更に抑えて試合に挑む決断をした。この時点で、チームにとっての最高のプランは、先に複数得点を奪い、少しずつ選手交代を駆使して疲労を取り除いていくのがベストな道筋となった。

果たして、このプランは物の見事に遂行されることになる。

■選手全員が持ち味を発揮

20210729 Takehiro TomiyasuGetty Images

まず初先発となった3人の選手が躍動した。ケガで出遅れていた上田綺世と冨安健洋は攻守に自身のプレーを披露。前者がストライカーとしての能力を前面に発揮すれば、後者は安定感ある対応で相手のエースを完封して見せた。そして、旗手怜央は不慣れな左サイドハーフの位置でもゴールへのひたむきな姿勢を見せ、2つのゴールに関与してチームの勝利に貢献している。

「もしかしたら3人入れ替えるとこれまでの流れがうまく継続できず、我々が思っていない内容や結果になるかもしれなかった。その中で、新しく入った3人が、誰が入っても変わらないこと、結果を残せることを見せてくれたと思う」とは森保監督の言葉。新たにピッチに立った選手が、何もできずに終わるのではなく、自分たちの特徴をしっかりとチームに落とし込んだのはポジティブな材料である。

加えて、前半に2つのゴールを奪えたことで疲労を考慮した選手交代を可能にした。ハーフタイムには3戦連発中の久保建英を交代し、遠藤航や田中碧といったフル出場を続けていた選手も途中交代で休ませることに成功している。累積警告により次戦が出場停止となる酒井宏樹に代えて、橋岡大樹を試運転させたことも次につながる一手を打てた。

u24-japan-miyoshi(C)Getty Images

また、代わって出場した選手たちが結果に絡んだことも大きい。後半のスタートからピッチに立った三好康児がチームの3点目を挙げれば、最終盤には相馬勇紀のパスから前田大然がゴールを奪取。これらのゴールがすべて途中出場の選手によって生まれたと考えれば、彼らが良いイメージを持って決勝トーナメントに臨めるのは明らかだ。

「連戦が続いているので、早くゲームを決められてこうやって交代できたのは大きいし、途中で出た選手が結果を残したこともチームにとってプラスだと思う。決勝トーナメントでは、これまで多く出ていた選手だけでなく、途中から出ていた選手の力も間違いなく必要になってくる。気を抜かずに次に向けていい準備をしていきたい」(遠藤航)

金メダルを見据える日本からすれば、先発起用から途中交代まですべてがプランニング通りに進んだ。完璧はないかもしれないが、フランス戦でパーフェクトに近いマネジメントができたことで、決勝トーナメントでの戦いにさらなる期待を抱かせている。

広告

ENJOYED THIS STORY?

Add GOAL.com as a preferred source on Google to see more of our reporting

0