2020_2_16_okazaki3(C)MutsuFOTOGRAFIA

ウエスカと「私たちを熱くさせる男」岡崎慎司の夢は続く。番記者が綴る日本人FWの献身

9月12日、財政難で選手登録が認められなかった岡崎慎司が、ウエスカでの入団発表に臨んだ。わずか1シーズンでラ・リーガ1部復帰を果たすというウエスカの目標を、自分の夢と重ねて。この入団発表では、ウエスカの本拠地アルコラスに2000人もの人々が集まり、私たちメディアは岡崎がウエスカにとっての銀河系選手だと大々的に報じたのだった。

しかしながら、彼が本当に銀河系なのかどうか、確信があったわけではなかった。国外から期待値の高い選手がやって来て、失望を感じさせて去っていくことなど、ざらにある。少し前まで、日本人にとってスペインは鬼門であったという背景もあったからだ。

しかし岡崎という選手は、そのときから今季の終わりまで、岡崎という選手、そして人間だった。入団会見で話した「僕たちは1部昇格を目指します。自分たちならそうできるはずで、トライしていきます。チームのためにできる限り頑張りたいです」という、ひょっとすればありきたりの言葉も、彼はそのプレーによって真実味を帯びさせた。

以下に続く

なんとなれば、彼のピッチ上での働きに議論の余地など存在しなかったのだ。ウエスカにとって、岡崎は不可欠な存在だった。一時期レギュラーから外れた時期もあったが、それでもチーム最初のDFとして、また彼自身が目標としていたしっかり点も取るストライカーとして、ウエスカの1シーズンでのラ・リーガ1部復帰に貢献した。いや、導いた、と書き記しても、過言になることは決してない。

「まあ、必要なのは点を取るっていうことですね。実感しますよ。スペインでのし上がっていくのに必要な技術は、さらにあるなという。フォワードだったらなおさら、ゴール前でどうするのか、仕掛けるのかボールを受けるのかとか。前線でプレッシャーかけ続けたり、気を遣って下りていったりっていうのは、僕にとってはもう普通のことなので。それにプラスアルファとなるものがこのリーグでは必要になって、これが1部になるともっと激しくなると思うんです。ここで昇格を目指すというのはもちろんだし、ここでどれだけできるかっていうのが、来年にも繋がると思うし……、まあ楽しんでやっています」

これは岡崎が2月下旬に発した言葉だが、確かに彼はシーズンが進むにつれて、点取り屋としての力を発揮した。全42節のラ・リーガ2部で、前半戦は4得点にとどまったが、後半戦には1節を残して9得点と。ゴール前での駆け引きはどんどん巧みになり、またチームメートもいつ彼にボールを出せばいいのかを理解していった。

そして、そのゴールはほぼすべてがゴラッソと呼べるほどの迫力に満ちており、とりわけ利き足であるという頭でのシュート技術はずば抜けている。今後、どれだけの年月が経たとしても、ヘディングシュートという言葉を聞けば、彼のことを思い出すことになるのだろう。

■献身

2020_2_16_okazaki3(C)MutsuFOTOGRAFIA

岡崎の最新のゴラッソが生まれたのは、ラ・リーガ1部昇格の権利を獲得した第41節ヌマンシア戦。ウエスカは今季の中でも最上のパフォーマンスを見せて3-0の勝利を果たしている。

岡崎が決めたのはチーム3点目で、右サイドからのグラウンダーのクロスに対してニアサイドで反応し、角度のないところから右足のヒールシュートでネットを揺らした。その直前のペナルティーエリア内に入り込んでいく場面で、前方を走る相手DFにゴール中央に進んでいくと思わせ、いきなり方向を変えてマークを外した駆け引きは素晴らしかった。彼のゴラッソの生まれるプロセスに、どれだけの小さな努力や工夫を重ねているのかと、心を動かされてしまった。

この試合のアルコラスにも、もちろん観客はいなかったが、岡崎が全身全霊で決めるゴールは何度も彼らの熱狂を呼び起こしてきた。もし彼らがいたならば、新たな岡崎の作品にどれほどの喜びを感じていたのか、容易に想像がつく。そしてそれは実際的に、日本含め、テレビを通じて至る所で生まれていたはずだ。

ウエスカは自動昇格圏の2位と勝ち点5差でラ・リーガの中断期間を迎えたが、凄まじい勢いでその差を覆した。その勢いの中には、岡崎の献身とゴラッソが確かに息づいていた。岡崎はもう、憧れていたラ・リーガ1部の選手となる権利を勝ち取った。ウエスカはもう、岡崎という選手とともにラ・リーガ1部に挑む権利を勝ち取ったのだ。

「2部に来てでも、スペイン1部でやりたかった。その夢が叶うので。来シーズンはビッグチームもいっぱいいます。自分たち、ウエスカは初めての残留を果たせるように。自分のゴールでチームに貢献できるように頑張りたいと思います」

岡崎は入団会見と同じく「頑張りたい」と言った。それが口先だけではないことは、日本人だけでなく、私たちスペイン人だって、もう分かっている。夢は、これからも続いていく。その夢の中を岡崎は全速力で走り、私たちの胸を熱くさせるのだろう。

文=クリスティアン・セラーノ(Cristian Serrano)/スペイン紙『マルカ』ウエスカ番
翻訳・構成・加筆=江間慎一郎

▶ラ・リーガ観るならDAZNで。1ヶ月間無料トライアルを今すぐ始めよう

【関連記事】
DAZNを使うなら必ず知っておきたい9つのポイント
DAZN(ダゾーン)をテレビで見る方法7つを厳選!超簡単な視聴方法を紹介
DAZNの2020年用・最新取扱説明書→こちらへ  ┃ 料金体系→こちらへ  ※
【簡単!】DAZNの解約・退会・再加入(一時停止)の方法を解説  ※
DAZN番組表|直近のJリーグ放送・配信予定  ☆
DAZN番組表|直近の海外サッカー放送・配信予定  ☆
Jリーグの無料視聴方法|知っておくと得する4つのこと
「※」は提携サイト『 Sporting News 』の提供記事です
「☆」は提携サイト『 DAZN News 』の提供記事です

広告