Ronald Koeman Lionel Messi Barcelona PSG GFXGetty/Goal

メッシなきバルセロナはどうなる?新シーズン5つの予想布陣

先週のバルセロナはリオネル・メッシのニュースでもちきりだった。クラブの象徴は去ったが、それでも試合はやってくる。次の日曜日にリーグ開幕を控え、ロナルド・クーマンはカンプ・ノウで行われるレアル・ソシエダ戦のラインナップを考えなければならない。

長年、バルセロナの戦術といえば、ボールを10番に渡すことを前提に作られたものだった。この戦術は今となっては使うことができない。衝撃的な退団会見の後、メッシはパリ・サンジェルマンに移籍してしまったのだ。

結果として、クーマンは新しいチーム戦術を作り上げなくてはならなくなった。

メッシがいなくなるとバルセロナがバラバラになってしまう恐れがあるが、それに対抗できるかどうかは、組織だったフロントや、チームを通してのバランス、そして監督の新戦術を信じられるかどうかにかかっている。

クーマンは多数のオプションを考え、悩むことになるだろう。『Goal』では2021-22シーズンの開幕を前に、ショックを受けたバルセロナの新布陣を予想していく。

■ラポルタ会長のお気に入り:4-3-3

Barcelona 4-3-3 formation 2021-22Goal

現地報道によると、ジョアン・ラポルタ会長はクーマンの契約を今年も続ける条件として、攻撃サッカーのブランドである4-3-3のフォーメーションで戦うことを求めているという。

たしかに4-3-3はクラブが歴史的に好んで使ってきた陣形だ。ヨハン・クライフやペップ・グアルディオラが頻繁に採用してきたこのフォーメーションは、クーマンがその流れを止めるまで基本的に使われ続けてきた。

日曜日にレアル・ソシエダと相対するチームの陣容は、今後のシーズンとは大きく異なる顔ぶれになるかもしれない。というのも、メンフィス・デパイ、エリック・ガルシア、エメルソンといった新加入選手を当日までに登録できるかどうか不透明な状況だからだ。また、ケガの癒えていないセルヒオ・アグエロも欠場が濃厚だ。

さらに、マルク=アンドレ・テア・シュテーゲンも5月に手術したばかり。開幕戦では代わりにネトがゴールマウスを守るものと思われる。

守備陣はセルジーニョ・デスト、ロナルド・アラウホ、ジェラール・ピケ、ジョルディ・アルバが並ぶ。エリック・ガルシアはオリンピックから戻ってきたばかりで、クレマン・ラングレは昨シーズンから信頼を失っている。

MFの3人は鉄板だ。セルヒオ・ブスケツ、フレンキー・デ・ヨング、ペドリ。ペドリはスペイン代表として夏に行われた2つの大会で出色の出来を見せた。疲労は懸念されるが、今シーズンに懸ける意欲は非常に高い。

前線には新加入選手が加わりそうだ。バルサBから昇格したユスフ・デミルは右サイドを担う。メンフィス・デパイがプレーできないのであれば、マルティン・ブライスバイトをアントワーヌ・グリーズマンの左に配置する形になりそうだ。

オランダ人アタッカーの出場にゴーサインが出れば、デパイとグリーズマン、デミルの3人が流動的にポジションを替えながら攻撃を牽引する。

プレシーズンではデミルが抜きん出ていたが、アンス・ファティ、アグエロ、ウスマン・デンベレらが復帰すれば序列が変わる可能性もある。特にアンス・ファティは膝のケガが長引いて昨シーズンのほとんどを棒に振ったが、今シーズンはバルセロナから大きな期待を寄せられている。

■クーマンが目指した陣形:3-5-2

Barcelona 3-5-2 formation 2021-22Goal

バルセロナがCLのラウンド16でPSGに敗れて以来、クーマン監督はチーム強化のアプローチを変更。守備面の強化を求めた一方で、攻撃面ではメッシの能力を信頼し、グリーズマンと二人で打開してくれることを望んでいた。

メッシがいなくなった今、デパイがその穴を埋め、アイデアとバイタリティを与える必要がある。クラブとしてはグリーズマン一人にメッシ不在のプレッシャーを感じさせないようにしたいはずだ。

このフォーメーションがこれまでうまく行っていたのは、デストとアルバがすべてを投げ打って攻撃に集中することを許されたからだ。彼らにとっても守備のタスクに集中するより、積極的な攻撃参加の方が合っていたのだ。

オスカル・ミンゲサはクーマンに招集された際に印象的な活躍を披露。新加入のエリック・ガルシアとともに右センターバックの新たな候補となりそうだ。

このシステムは他の陣形と比較して中盤にバランスをもたらすことができる。ベテランのブスケツをしっかりサポートでき、デ・ヨングをより前でプレーさせられるからだ。その結果昨シーズンのデ・ヨングのゴール数は過去最高に達した。

4-3-3がうまく行かなかったとき、幸いなことにクーマンはこのフォーメーションに戻って来ることができる。

今夏のクーマンはギリギリのところで契約を切られずに済んだが、それはクラブの財政状況が壊滅状態に陥ったことが大きな理由だ。今年こそは主要大会のトロフィーを掲げなくてはならないと本人も認めている。結果を出すことを念頭に置いてプレースタイルを決めることになるだろう。

■当初のプラン:4-2-3-1

Barcelona 4-2-3-1 formation 2021-22Goal

クーマンがバルセロナの監督に就任したとき、4-2-3-1を採用。だが、チーム以上に大きな存在であるメッシの不調により、凡庸なパフォーマンスに終始し、結果を残すことはできていなかった。騒動でモチベーションを落としたメッシの影響は大きく、ジョゼップ・マリア・バルトメウ会長によってクラブに残留させられることになった悲しみから回復したのは、クリスマス明けのことだった。

クーマンはおそらくもう一度この布陣にトライしたいと思っているだろう。今やこのシステムより優先すべき選手はいないのだから。

一番のメリットは、ペドリにより自由で創造的な役割を与えられることだ。ペドリはEURO2020のスペイン代表で同様の役割を演じ、素晴らしい結果を残している。昨シーズン、ペドリの創造性と才能は守備的タスクによって潰されてしまっていた。年々カバーエリアが狭まっているブスケツの隣でプレーしなくてはならなかったからだ。

4-2-3-1を採用すれば、かつて記録的な大金でチームに加わったコウチーニョに理想的な10番のポジションを与えることもできる。このブラジル人は新シーズンをクーマン政権下で過ごすことになりそうだが、クラブが彼をメンバー登録するのであれば、起用しないよりはチャンスを与えてみる方がよいだろう。

コウチーニョがボックスの外のスペースで試合を動かすのが好みであったことを考えれば、メッシの存在によって輝きを失っていたとも言い換えられる。この役割は、今は離脱中だが、両ワイドでプレーできるウスマン・デンベレにも適したものだ。

■大穴:3-4-3

Barcelona 3-4-4 formation GFXGoal

バルセロナはもう一度欧州チャンピオンに返り咲きたいと思っているが、昨年トーマス・トゥヘルのチェルシーがCLを制覇した際のフォーメーションが3-4-3だった。ストライカーの後ろに創造性あふれる選手を2人配置する形を採っていた。

マンチェスター・シティと戦ったCL決勝では、ティモ・ヴェルナーの後ろにメイソン・マウントとカイ・ハヴェルツが控えていた。ヨーロッパのエリートクラブと足並みを揃えたいのであれば、バルセロナにはこの形を真似るだけの人材が揃っている。

中盤を2人でカバーするのはブスケツには難しすぎるかもしれないが、ペドリとデ・ヨングの2人にはこのタスクをこなすだけの万能性と走力がある。

そして、アルバとデストは大きな自由を与えられることになる。攻撃面では、グリーズマンとコウチーニョが最前線のデパイかアグエロを支える形になりそうだ。

■ワイルドカード:ダイヤモンド型4-4-2

Barcelona 4-4-2 formation 2021-22Goal

バルセロナの誇るべき下部組織、“ラ・マシア”が特に優れた才能を輩出しているポジションこそ中盤だ。

ガビとニコ・ゴンサレスは素晴らしい人材としてリキ・プッチの後を追っている。クーマンは4人目のMFを配置して、このエリアに最大限の力を注ぐかもしれない。

ブスケツ、ペドリ、デ・ヨングが中盤を構成し、コウチーニョは自身の好む10番の役割を担うだろう。グリーズマンかデミルもFWのすぐ後ろを担うことができる。FWにはデパイ、グリーズマン、アグエロが選択肢に入る。一方、アルバとデストは両ワイドの負担を一手に担うことになる。

この陣形では、クラブの誇る若手たちが中盤で注目を受けるオプションを多数用意できる。ストライカーにラストパスを次々と供給することができ、中盤でのボール支配率も上げることもできるだろう。

広告

ENJOYED THIS STORY?

Add GOAL.com as a preferred source on Google to see more of our reporting

0