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パリ・サンジェルマン(パリSG)はネイマールをバルセロナから2億2,200万ユーロ(約290億円)という史上最高額の移籍金で獲得したかと思えば、次はキリアン・ムバッペを初年度はレンタル移籍という契約ながら、1億8,000万ユーロ(約235億円)でモナコから獲得した。現在パリSGにはエース、エディンソン・カバーニも在籍し、サッカー界最高のフォワード陣がズラリと並ぶ。今後サッカー界を席巻するであろう“NME”トリオが結成された。
しかしそれに対する違約金の総額はとてつもない。ネイマール、ムバッペ、カバーニの違約金は総額4億6,500万ユーロ(約609億円)にもなり、この“NME”トリオの一人当たりの違約金の平均額は、およそ1億5,000万ユーロ(約195億円)にものぼる。だが、この3人はその高額な支出に価するだけの結果を出すことが期待できる選手たちなのだ。
ネイマールが移籍したことで、バルセロナでリオネル・メッシ、ルイス・スアレスと共に構成していた有名な“MSN”トリオは解消されたが、新しい“NME”トリオは”MSN”にも肩を並べるほどになるだろう。ネイマールのようなスーパースターの存在が、ムバッペにモナコを離れる決断をさせたのも確かなことだ。
Getty Images■ネイマールの経験はCLでも
チャンピオンズリーグで初の栄冠獲得を果たすため、フォワードに巨大な武器を揃えたことは、パリの街に大きな興奮をもたらした。今シーズン、パリSGにおいて傑出したパフォーマンスを発揮しているMFのアドリアン・ラビオも、『ル・パリジャン』紙のインタビューにおいて、興奮気味にこう語っている。
「キリアン(・ムバッペ)の移籍が決まってなかったとしても、すでにチームには素晴らしい選手たちが揃っていたんだ。そこにキリアンが加わったのだから、今パリSGの攻撃陣は世界最高峰だね」
パリSGには多くのブラジル人選手が所属しているが、それがネイマールのチームへの適応に役立ち、彼はすでにフランスでの生活にも馴染んでいる様子だ。そしてネイマールもそんな周囲の信頼に応えるかのように、これまでに出場したリーグ3試合ですでに3ゴール、3アシストを記録しているのだ。ここまでネイマールは、チームがポゼッション時にはボールを引き取り、同時に存在感溢れるハードワークをこなしている。もちろんこれからまだまだ大きなチャレンジが待ち受けているが、彼がチャンピオンズリーグでも同様の仕事をしてくれることは、ここまでの活躍ぶりが十二分に証明している。
リオネル・メッシが不発な中、今年3月にパリSGを6-1で打ちのめしたあの試合でバルサを引っ張ったのはネイマールであり、彼の活躍は史上最大とも言える逆転劇に大きく貢献した。試合終了後に流した涙も忘れられない。さらにネイマールは過去10年のチャンピオンズリーグにおいて、メッシとクリスティアーノ・ロナウド以外で唯一得点王に輝いた選手なのだ。彼が現在世界トップ3の選手の一人であるということに何の疑いもないだろう。ネイマールの力は、パリSGのチャンピオンズリーグ優勝に大いに役立つに違いない。
Getty Images■ムバッペは「次代の世界最高選手」
一方、ムバッペはまだそこまでの地位には当然のことながらたどり着いてはいないが、世界中からの期待され、ネイマールに追いつくのも時間の問題だろう。ユヴェントスのレジェンドであるジャンルイジ・ブッフォンも、彼のことを「次代のクリスティアーノ・ロナウドあるいはメッシだ」と高く評価している。
ムバッペは昨シーズンの猛烈な暴れっぷりにより、サッカー界の明日を担うストライカーとしての地位を築いたのだった。レオナルド・ジャルディム監督率いるモナコがチャンピオンズリーグで準決勝進出という快進撃の中で6試合で6ゴールを決め、他の追随を許さない活躍を見せた。
多くの評論家たちは彼の成長を考えて「もう1年モナコに残るべきだった」という議論をしているが、彼の勇敢さはまさに今のネイマールやカバー二との効果的な融合を支えるものとなる。
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Getty Image■キャリア最高期にいるカバーニら残留組の能力も十分
ウルグアイ人のカバーニは昨シーズンの攻撃陣から唯一残ったメンバーで、昨シーズンはセンターフォワードとしての役割を全うし、フランスで3シーズン目にして自身のキャリアの最高期を迎えたようだ。チャンピオンズリーグ8試合での8ゴールを含む、シーズン合計50試合で49ゴールという結果は、彼のゴールを嗅ぎ分ける本能は唯一無二であることを証明している。
パリSGの前線には信じられないような得点本能を持った3人が並ぶことになるが、ネイマールとムバッペに関しては他の選手にゴールをお膳立てする能力も持ち合わせている。見落とされがちな側面ではあるが、ネイマールは昨シーズン、彼が記録したゴール数の20を凌ぐ27のアシストを記録しており、ムバッペも14アシストを記録している。2人ともストライカータイプの選手でありながら、コンビンーションの重要性を十分に理解し、チームのためにプレーができる選手なのだ。
さらにパリSGは選手層も非常に厚く、他のチームにとってはそれが脅威となりうるだろう。移籍市場が閉まった段階で、アンヘル・ディ・マリア、ユリアン・ドラクスラー、ルーカス・モウラが残留を果たし、控え選手のオプションも素晴らしい顔ぶれだ。監督であるウナイ・エメリは、常に最高の状態で”NME”トリオを使うことができる。
パリSGの目標は明確だ。国内タイトルを奪還することと、ヨーロッパでの戦いにフォーカスすること。顔ぶれだけを見れば、それらの栄冠はすでに手の中にあるも同然だろう。しかし信じられないような前線のトリオが構成された中でタイトルを逃すことがあれば、すなわちそれは大きな失敗であることを意味するのだ。彼らはチームで大きなプレッシャーとも戦っていかなければならない。
文=ロビン・ベアナー/Robin Bairner


