1日に引退を発表した元なでしこジャパン(サッカー女子日本代表)岩渕真奈の現役引退記者会見が8日、都内で行われた。
会見冒頭から目を潤ませ、今までの感謝と引退に至った経緯を語った岩渕。そんな会見の途中、澤穂希さんがサプライズで登場した。大きな花束を渡されると、その気持ちは涙と笑顔になって溢れ出た。
澤さんは「一緒の時代に一緒にサッカーができて本当に幸せでした。家族同様に過ごして、 2011年のワールドカップで優勝したこと、2012年のロンドン五輪準優勝。輝かしい現役生活に、私も一緒にできたことを誇りに思います」と大きな決断をした後輩をねぎらった。
二人の一番の思い出を問われた澤さんは、「多分一緒だよね」と即答。「2015年のカナダW杯のときはベンチから見ることも多かったんですけど、いつも隣に座って、『 自分が出たらこういうプレーを心がけたいね』とか試合の状況を見ながら、2人でいろんな話をしていました」という。
さらに澤さんは、「私、結構、"第六感”(のようなもの)があって、あ、この人は…点を取る日だなっていうのが分かるんです。本当にずっと当てていたんですよ。だから『澤さん、自分取れますか?』って聞かれても『今日は無理』って答えていました。でもオーストラリア戦で『 今日なんかブッチ。出たら取る』。そういうのがあって、そうしたら本当に取ったんです」
このゴールは、15年W杯カナダ大会準々決勝の決勝点のこと。岩渕はスコアレスで迎えた72分に投入されると、87分に見事ゴールを決め、なでしこジャパンは決勝に駒を進めた。
印象に残った思い出について岩渕も答える。
「サッカー以外の能力も持ってるんです本当に。それが、パワーにもなったし、 澤さんが言ってくれているから本当に頑張れました」
「本当に楽しかったし、澤さんがさっき『同じ時間を共にできて幸せ』と言ってくれたんですけど、 それ以上に自分が澤さんと時間を共にできたことが 何より幸せでありがたいことだったと、ものすごく思います」
「オーストラリア戦で、本当に澤さんの言う通りになったことのインパクトが強すぎますが…。やはり2011年の優勝もですね。つい最近まで背負っていた責任感に比べたら、『自分何しに行ってたんだろう』と思う大会なんですけど、 それでも優勝の価値を年々感じるようにもなってきました」
岩渕が2007年に14歳で2種登録されたなでしこリーグの日テレ・ベレーザには澤さんがいた。10年、なでしこジャパンに初選出された時にも澤さんはいた。今回の引退に関しても相談したという。
「昨シーズン中に電話して、 その電話先に宮間(あや)さんもいたんですけど、2人に自分の思っていることを話して、号泣するっていう…。何から何まで話して、支えてもらっている本当に大きい存在です」
日本の女子サッカーの一時代を築いてきた二人。ただ、これで終わりではない。澤さんは言う。
「誰からも愛される存在のブッチだから、サッカーだけじゃなくて、いろんなところで活躍してほしいと思います。今後も一緒に仕事だったり、サッカーだったり、子どもたちに何かすることも一緒にやりたいなと思います。とにかく、ブッチが 毎日楽しく輝いていてくれるのが、私はすごく嬉しいので。もう自由に楽しんでほしいなと思います」
