なでしこジャパンは10月26日からウズベキスタンで開催される女子オリンピックサッカートーナメントパリ2024アジア2次予選に向けて17日から国内合宿を行っている。負傷のため不参加となった藤野あおば(日テレ・東京ヴェルディベレーザ)に代わって追加招集された中嶋淑乃(サンフレッチェ広島レジーナ)は、持ち味であるスピードやドリブルを活かして積極的に取り組んでいる。
■WEリーグの“三笘”と称されることも
©WE LEAGUE左サイドからドリブルで切れ込み、たまらず飛び出したGKとの1対1を素早く制してシュートをゴールに叩き込む。そんなシーンが彼女の代名詞だ。WEリーグの“三笘薫”と称されることも。「角度のないところから切れ込んでのシュートは意識するようにしています」と中嶋も自信をのぞかせる。
先日のアジア競技大会に女子日本代表に選出。10月6日の北朝鮮との決勝戦では、立ち上がりからハードな攻防が繰り広げられるなかで、開始10分にタイミングよく裏へ抜け出して強烈なダイレクトシュートを放って先制点を決めた。チームを勢いづけて4-1で勝利。金メダル獲得に貢献した。
続く10月14日に行われたWEリーグカップ決勝でも躍動。3年前のクラブ創設時から所属するサンフレッチェ広島レジーナに初タイトルをもたらした。
華やかな活躍を見せている中嶋だが、エリート街道を進んできたわけではない。地元の熊本県の東海大学付属熊本星翔高等学校を卒業後、なでしこリーグ2部のオルカ鴨川FCに入団。2年目からレギュラーに定着すると着実に力をつけて、2020年にはなでしこリーグ2部の得点王に。翌シーズンから、チームメイトの近賀ゆかりとともに、サンフレッチェ広島レジーナに移籍。日本最高峰のプロリーグWEリーグで自身の持つプレーに磨きをかけて、才能を開花させた。
2022年7月のEAFF E-1 サッカー選手権 2022 決勝大会以来となる、なでしこジャパン復帰に「だんだんコミュニケーションが取れるようになってきた。プレーの質が高く、雰囲気が独特ですごくいい経験ができている」という。
今回の合宿では左サイドだけでなく、右サイドや中央の位置に入って練習をしている。「いろんなポジションを経験して、できることが増えている感じです」と笑顔を作った。
なでしこジャパンは、10月26日からインド、ウズベキスタン、ベトナムと中2日の戦いに挑む。いずれもFIFAランクは日本より下のチームだが、決して気を抜くことはできない。引いて守りを固める相手に苦慮する場面も出てくるだろう。そんな時にこそ、彼女の切れ味鋭いドリブル突破で勝利を手繰り寄せるシチュエーションを期待してならない。(取材・文=砂坂美紀)


