今夏、オーストラリア・ニュージーランドで行われた女子ワールドカップ(W杯)2023をベスト8で終えたなでしこジャパン。グループステージでは大会優勝を飾ったスペインに対し4-0で勝利を収めるなど、結果以上に世界へインパクトを残した。
W杯後初となる今回のアルゼンチンとの国際親善試合は、10月にウズベキスタンでセントラル開催されるパリ五輪アジア2次予選に向けた貴重な実戦の機会となる。主将の熊谷紗希(ローマ)はじめ、女子W杯でインパクトを残した宮澤ひなた(マンチェスター・ユナイテッド)、長谷川唯(マンチェスター・シティ)といった海外組も招集し、アルゼンチン戦へと臨む。
前日会見で池田太監督は、この強化試合を2次予選に向けた「大事な一戦」とあらためて位置付けた。会見中、「やれることを増やしていく」と何度も繰り返したように、この試合での課題は戦術の幅を増やすことにある。
W杯で用いた5バックに可変する3-4-3で固い守備を敷きながら縦には速いカウンターを狙ったシステムに加え、アジアを戦い抜くためのより攻撃的な4-3-3も採用する見込みだ。
4-3-3では「中盤に1人枚数が増えることから、自分たちのビルドアップの際、ボールを収めるポイントが増えることもメリットの一つ」と熊谷も指摘する。池田監督は、「W杯を戦ってみて、いろんな相手に対策された時に、こちらもまたそれに対して対応できる力というのが必要だと感じた」と、システム変更の意図を明らかにしている。
熊谷は、ベスト8で敗北を喫したスウェーデン戦を振り返り、「スウェーデン戦の前半ハマらなかった中で、これ(別のシステム)を持っていれば、90分の中自分たちで(流れを)変えることができたのかなと思う」と話す。相手に守られた際の武器として、戦い方のバリエーションが必要との考えを示した。
パリ五輪の出場枠は2つ。10月の2次予選、来年2月の最終予選を勝ち抜くことが必須となる。前回大会である2021年の東京五輪はホスト国として予選が免除されていたが、16年リオ五輪最終予選は3位に終わり、五輪出場権を逃した。
「アジアの予選が1番厳しい」と若手選手たちに常々伝えているという熊谷。パリ五輪出場のためにも、大事な一戦となるアルゼンチン戦は、23日12時、北九州スタジアムでキックオフを迎える。
取材・文=伊藤千梅
