元アルゼンチン代表FWで、現在は解説者として活躍するホルヘ・バルダーノ氏が、レアル・マドリーFWキリアン・エンバペとFWヴィニシウス・ジュニオールの連係の問題について語っている。
今季エンバペが加入したマドリーだが、いまだ同選手とヴィニシウスの連係は確立されていない様子だ。
一向に解決されないその問題について、レアル・マドリーで選手、監督、スポーツディレクターを務めたバルダーノ氏が私見を述べている。スペイン『モビスタール・プルス』の番組に出演したフットボール界のレジェンドは、そもそも両選手が連係を得意とする選手ではないことを説いている。
「彼らはチームプレーとではなく、相手ゴールと最高の関係を築く選手たちだ。分かり合えていないと非難されているが、まず選手としての特徴を見なくてはならない。2人とも素晴らしいスピードの持ち主で、いつだってゴールを意識している」
バルダーノ氏にとってみれば、エンバペとヴィニシウスは互いに気を遣い過ぎだという。
「私からすれば、彼らは過剰なまでにお互いを探している。パスではなくシュートが求められている場面でさえね。必要以上に探し過ぎだよ」
「例えば、ベリンガムのような選手には継続的な連係を求めることができる。ベリンガムとならば壁パスなど様々な連係プレーを実現できるが、それは彼にとってはごく自然なことだからだ。そう、その選手の自然なプレーから遠ざけるようなことはしてはいけないんだよ」
「同様に、ヴィニシウスとエンバペは十分に走っていないと言われているが、彼らのような選手に持久力のいる努力を求めるのは不可能だ。私はロマーリオを指導したことがあるほか、マドリーでロナウド・ナザリオと一緒になったこともある。彼らをピッチの逆に向けて走らせることは、拷問にしかならなかった。彼らには無理だった……無理だったんだよ」
「ボールをポゼッションするプレーに関しても、ロマーリオとロナウドは理解することができなかった。しかし練習でゴールを置けば、彼らは世界最高の選手になれたんだ。つまり本当にすべきことは、その選手を獲得した理由となる能力を生かし切ることにほかならない」
エンバペとヴィニシウスはピッチ外でとても仲が良さそうに見える。が、バルダーノ氏はピッチ内の相性とは無関係であることを断言している。
「彼らがピッチ外でどれだけ仲が良いのかは知らないが、ロッカールーム内でそうあるべきとは義務付けられていない。非常に難しい関係だった選手たちがピッチ上で理解し合えていた、というケースも私は目撃してきた。それはフットボール的に調和できるかどうかなんだ」


