最高と最低な姿
マンチェスター・ユナイテッドがもし今季のプレミアリーグでトップ4フィニッシュを目指すのであれば、1つだけ忘れてはならないことがある。それは、全く簡単ではないということだ。
広くネガティブな話題を振り撒いた後のリーズ戦、マンチェスター・Uは再び彼らの「最高」と「最低」な姿を見せた。見事な内容で前半を終えた後、後半開始早々の狂った59秒間で2点のリードをドブに捨て、またしても勝ち点を落とすかに思われた。
だが、ラルフ・ラングニックは今なら前へ進んでいることを示すことができるだろう。確かに狂気的な瞬間はあったものの、今回はそこからポジティブな反応を見せることができた。リーズの殺伐とした熱狂的な雰囲気、ここ数日イギリスを襲う悪天候の中で、彼らはここ数週間に欠けていたもの、パーソナリティを発揮することができたのだ。
途中出場したフレッジとアンソニー・エランガのゴールによって勝利を決めたことで、ラングニックの采配は称えられるべきだろう。だがそのドイツ人指揮官を最も喜ばせたのは、チームが見せた闘志と熱意だった。
「これが重要な勝利だと理解している。ウェスト・ハム戦と同じようにね。勝利したことだけではなく、追いつかれた後のリアクションが重要だった。あれがチームが出せる最高の答えだ」
「成熟度や団結力に関しても完ぺきだったね。『ロッカールームが混乱している』という報道に対しても、最高の返事ができた。今日のような試合は、チームとして、そのメンタリティで勝つしかない。3ポイントは別として、それが私にとって最も重要なことだったんだ」
19年ぶりにエラン・ロードへ詰めかけた約3000人のファンとともに、チーム全員が祝杯を上げた。この勝利はマンチェスター・Uが4位を維持することを意味し、また団結が疑われているこの時期に、それを示すものでもあった。チャンピオンズリーグのアトレティコ・マドリー戦、そして3月のビッグチーム相手の連戦(マンチェスター・シティ、トッテナム、アトレティコ、リヴァプール)を前に大きな自信を与えることだろう。
輝き始めたサンチョ
そして今、その自信に最も満ち溢れているのがジェイドン・サンチョだ。大きすぎる期待と低調な序盤戦の反動で酷評され続けていたイングランド代表ウインガーだが、この活躍で疑問視する声を一掃した。
ドリブル数、敵陣タッチ数、ファイナルサードパス本数はチームトップ。極めつけは2つのアシストだ。これで直近5試合で4ゴールに絡んでいることになる。ダビド・デ・ヘアのチーム月間最優秀選手賞連続受賞記録をストップさせることになるかも知れない。
伝統に満ち溢れた赤いシャツを着ての最高のパフォーマンスを宿敵の1つ相手に披露することは、サポーターに自分を理解してもらう最高の方法であることは間違いない。今の彼は、オーレ・グンナー・スールシャール時代の彼とは別人だ。
リーズ戦でマンチェスター・Uが見せた勝ち方、戦い方は、彼らの中に自信が芽生え始めていることを意味している。これでリーグ戦では7試合負けなし(4勝3分け)。熾烈を極めるトップ4フィニッシュ争いへ向け、そのメンタリティとクオリティをようやく披露し始めている。
取材・文=シャーロット・ダンカー(『GOAL』マンチェスター・ユナイテッド番記者)
