元ドイツ代表MFトニ・クロース氏が、現役引退の決断について今一度振り返っている。
クロース氏は2023-24シーズン、レアル・マドリーでキャリアハイとも言える活躍を披露し、ラ・リーガ、チャンピオンズリーグの二冠達成に貢献。だがその当時、まだ34歳だったにもかかわらず、シーズン終了後に現役を引退して皆を驚かせている。
スペイン『エル・パイス』とのインタビューに応じたクロース氏は、引退が熟考の末の決断であったことを強調した。
「何カ月もそのことについて考えていた。ある朝、ベッドから起き上がって、『引退すべきだ!』と自分に言い聞かせたわけじゃない。ずっとずっと、煮詰めてきた考えなんだ」
「その前のシーズンも引退を考えていたが、レアル・マドリーから執拗に求められたために契約を1年延長した。それでも自分の考えは変わらず、運良くも望んだような形で引退することができたね。あれ以上の形で引退することは難しかっただろう。僕はラ・リーガ、チャンピオンズを勝ち取って別れを告げたんだよ」
「最も高い場所に立ったまま止めた方がいい。そうすれば最高の気分で去ることができる。なぜならば、自分自身で決断を下せるからだ。チームにとって重要な存在ではなくなり、誰かからベンチへと追いやられるならば、その前に自ら止めてしまった方がいい。僕はそうなることを避けたかった。監督や家族や自分の体から、いつ引退するのかを問いかけられる前に、僕自身でそうしたかったんだよ。40歳まで耐え続けることは難しい。体がもう止めろと言う前に、止めるべきだったんだ」
レアル・マドリードは史上屈指のゲームメーカーであったクロース氏が空けた穴を、今なお埋めることができていない。
「中盤の真ん中に位置する選手は、現代フットボールでは根幹とも言える存在だ。それはロドリが負傷した後のマンチェスター・シティを見ればわかるだろう。良質なセンターハーフ、ボランチがいなくなると、その不在を痛感することになるんだよ。いるときには気づかないのにね」
「僕は引退してからレアル・マドリーのサポーターになった。ただ昨季は簡単なシーズンにはならず、人々は『なんでトニ・クロースがいないんだ!』と言っていた。僕が唯一望んでいたのは、事がうまく運んで、そういった意見が出なくなることだった」


