元リヴァプール指揮官ユルゲン・クロップ氏は、近年の過密日程について語っている。
ドルトムント時代にはブンデスリーガ連覇を達成、リヴァプールでは初のプレミアリーグ優勝やチャンピオンズリーグ制覇など、指揮官として数々の成功を成し遂げたクロップ氏。2023-24シーズンをもってリヴァプールの指揮官を退任すると、現在はレッドブルグループのグローバルサッカー部門責任者として活動している。
そんなクロップ氏は『The Athletic』のインタビューで、近年の加速する過密日程に言及。現在大きな物議を醸している2030年ワールドカップの64カ国開催案について、「その話は聞いたよ……考えたくもなかった。正直、見ただけで『ああ、私には関係ない』と思った」とため息混じりに否定的な考えを明かした。
なおクロップ氏は先日、32チームが参加した今夏の新生クラブワールドカップを「史上最悪のアイディア」と酷評したことが話題となった。大会を終えて印象は変わったかと問われると、「いや。今朝(優勝した)チェルシーがケガ人続出って読んだよ。いずれにせよケガ人は出ていたかもね」とし、以下のように続けている。
「私の専門は、選手にどれだけの期待と要求が寄せられるのかを熟知していること。トレーニングの強度についてもね。だが、今は常にそれ以上が求められている。私は観ていないが、素晴らしい大会だったことは間違いないし、チェルシーは心から喜んでいた。大金も入った」
「しかし、いつかはこのスポーツになくてはならない数少ない人たち、つまり選手たちのケアをしなければならない。夏休み期間中の新たな大会を廃止する以外に選択肢はないよ。世界最高の選手たちに、もう休みはない。人生の他のどんな状況でも、こんなことはありえないはずだ。最高のアーティストに毎晩演奏させて、倒れるまで演奏させて、最後に『集中力が切れたので、ごめんなさい』と言わせる状況を想像してみてくれよ……」
「(ワールドカップ64チーム案に)私が何を言っても、電子レンジに言っているようなものだ。効果はない。『お前はたくさん稼いでいるだろ!』と言われるだろう。それはわかる。クラブ幹部は『選手とコーチはいつもカネを欲しがる。だから我々もカネが必要だ』と言うだろう。だったら、なぜ全員がテーブルについて『年間8週間の休暇を選手たちに与えればいい』と伝えないんだ? 話し合いはできるのか? (条件を下げてほしいと言われたら)間違いなくそうしたよ」
「(選手たちは公の場で話すことを恐れている?)ひどい状況だ。勇気を持って声を上げた選手たちは翌日にケガしてしまった! 例えばロドリがそうだね。でも、声を上げなければ絶対に止められない。FIFAは選手たちのことなど忘れてしまう。誰も選手のことをなんて考えていない」
そして「不快で聞きたくないと言われようが、この問題について話さないわけにはいかないんだ。聞きたくないなら聞かなければいい」とし、今後も過密日程に対する反対を主張していくと語っている。
