20220923_Daichi_Kamada(C)Getty images

サッカー日本代表、攻撃面の懸念払しょくなるか…“W杯仕様”のチーム作りで活発化する認識共有/プレビュー&予想布陣

 日本代表は23日、キリンチャレンジカップ2022のアメリカ代表戦に臨む。カタール・ワールドカップ(W杯)に向けた強化が進む中で、そのパフォーマンスに注目が集まる。【取材・文=林遼平】

■6月活動後に三笘が吐露

20220923_Kaoru_Mitoma(C)Getty images

 カタールW杯前、最後の代表活動におけるテストマッチ2連戦だ。今年のW杯はこれまでの大会レギュレーションと異なり、大会前に調整する期間が決して多くない。その状況を踏まえても、最後の合宿でいかにW杯仕様のチームを構築していくかが求められている。新たなチャレンジをしていく中で、どういった課題を得て、どういった手応えを得るのか、W杯に向けて重要な2試合となる。

 19日に代表活動がスタートして以降、選手たちの口から出てくる言葉に共通して言えることがある。それはチーム全体で「共通認識」を作ろうとしていることだ。

 振り返れば6月、チュニジアに完敗を喫した試合後、チームの現状に対して三笘薫は、「チームとしてどう攻めていくかという決まりごとではないけど、そういうものをいろいろと持たないといけない」と自身の思いを口にした。枠内シュート0本に終わった試合の内容を見て、攻撃の共有がなされていないことに危機感を感じて意見を発したのだった。

 この言葉によってすべてが動いたとは言わない。もともと、W杯前のこのタイミングでチームをW杯仕様に変えていこうと考えていた可能性は大いにあるからだ。ただ、これが一つのきっかけとなり、選手たちにも確かな変化が起きている。

「すごく良いディスカッションが日々、ミーティングや練習の中で繰り広げられている。初戦のドイツ戦に向けても、どういうふうにプレスに出るのか、出るのか出ないのか、ブロックを作って持たせるのか。若い選手たちからも意見が出ているし、そういうディスカッションができているのはすごく良いこと。今までの代表でなかなかここまで意見を言い合える関係性はなかったんじゃないかと思う。より繊細に詰められていると思います」(長友佑都)

■布陣は4-2-3-1が濃厚

20220923_Japan_Form(C)GOAL

 この合宿のミーティングからすでにチームはW杯の対戦相手を分析しつつ、目の前のアメリカ戦に向けて準備を進めている。決してアメリカが仮想ドイツということはないにせよ、ボールを持たれる相手と対戦した時にどういった狙いを持っていくべきか、相手との噛み合わせの時にどこがウィークとなっていくのかを、今まで以上にトレーニング期間ですり合わせをすることで表現しようとしている。

 わかりやすい変化としては、アメリカ戦では最近の4-3-3システムではなく4-2-3-1の形を採用することが濃厚。この形にすることでどういった攻撃を仕込んできているのかは、アメリカ戦での楽しみな要素となる。

 クラブとは異なった役割を与えられる中で、トップ下に入る鎌田大地がどんなプレーに重きを置いているのか、前田大然の動きの質はどうかなどに注目してみると攻撃の新たな狙いが見えてくるはずだ。

 いずれにせよ、ここですべてをパーフェクトに運ぶ必要はない。良いところは次につなげ、うまくいかなかったところは課題とする。そういったものを出すためにいろいろなトライをする必要がある。

 そして、最も良いのは勝って課題を改善していくこと。W杯に向けて勢いをつけていくためにも、W杯出場国のアメリカを打ち破る姿を期待したい。

広告