「自分の存在価値とは何なのか?」長期離脱の中で、FC東京GK林彰洋が抱く思い

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🄫Hiroto Taniyama
【国内サッカー ニュース】J1・FC東京に所属するGK林彰洋が負傷離脱中の今の状況と来季への思いを語った。

FC東京のGK林彰洋は、昨年11月14日の練習中に負傷し「右膝前十字靭帯損傷、外側半月板損傷」と診断された。12月1日に都内の病院で手術を受け、全治約6~8カ月と発表されている。クラブは昨季リーグ戦を6位で終わるも、年明けて4日ルヴァンカップを制覇。11季ぶりのタイトルを獲得した。自身初ともいえる重いけがを負いリハビリに励む林はこの間、ピッチ外で何を考え、チームをどう見ていたのか。そして来季への思いとは?(聞き手=林遼平)

■気合で乗り越えられるものではない

――11月に負ったけがの回復状況を教えてください。

 術後は順調に進んでいると思います。正直ケガの名前だけは知っていましたが、詳しくは知りませんでした。どういうリハビリが必要なのかもそうですし、完治まで6カ月、8カ月…10カ月かかることもある。なぜそんなに時間がかかるのか。手術の詳細含めて全然把握していませんでした。

 今回、このケガの治療についてドクターと話をしました。この手術は 「気力と気合い」だけで乗り越えられるものではない。脛(すね)に穴を開けてハムストリング(太ももの裏側の筋肉)を入れるといった大々的なものなので、6カ月、8カ月かかるのは妥当だと思っています。

 いまのひざの状況は意外と経過が良くて、動きも(ドクターから)「こんなに動くの」と言われます。ここから次のステップを踏むにあたって、僕自身はこのままうまく行けるのではないかと思っていますが、やはり骨と靭帯がくっつくところはまだまだ。この状況で一回停滞させなければいけないというもどかしさがありますね。

――自分はできそうと思っているのになかなかできない。モヤモヤしてしまいそうです。

 今の時点でジョギングを始めて、復帰に向けてどんどんトレーニングを進めたい気持ちはあります。ただ、そこは最初にドクターと話した時から、自分の中で割り切らなければいけない部分だと分かっています。そう考えた上でリハビリに入っているので、普段の自分自身の感情よりは抑えられているのかなと思います。

 もちろん、目の前で(チームメイトが)練習している姿や、テレビ越しでも試合で選手たちが活躍している姿を見たりしていると、焦らないとはいえ、やはり気になってしまう、やりたくなってしまうのが正直なところです。

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――シーズン終盤にけがをしてしまいましたが、2020シーズン全体をどう捉えていますか?

 今までJリーグの世界で生きてきた中で、けがを含めてかなり考えさせられるシーズンでした。「難しい」とは言いたくないですが、自分はどういう思考のもとにサッカー界と関わっていったらいいのか? 自分の存在価値とは何なのか? やはりそういったことをすごく考えたシーズンでした。

 逆に言えば、プロサッカー選手として振る舞えなかった時の自分の貢献の仕方を、すごく模索したシーズンでもあったのだと思います。そういう意味では、まだまだ幅を広げることができると感じました。家から出られないという今までではあり得なかった状況になって、その中でどう自分がサッカーに接していけるのか? かなり考えました。

――林選手はSNSを有効活用しているように見えます。そこもより意識したところですか?

 今だからこそSNSにもっとフォーカスしてもいいのではと思いました。以前は「SNSより現場だろ」といった優先順位がありました。例えば、試合の結果が良くなかったとして、自分自身にも不甲斐ない結果だという自覚があると、SNSをないがしろにしてしまいがちです。見ている側も不満に思うことを考えると、気持ちとしては「更新しなくてもいいだろう」と思っているところがありました。

 ただ、実際にこういう状況になって、(ファン・サポーターと)距離感がすごく遠くなってしまった。その中で、いかに身近にサッカーがあることを伝えられるかという点では、SNSがすごく重要な役割を担っていると感じています。

――その思いを行動に移すことが大事ですよね。

 今までは、頭の中にあっても行動するところまで至らせてはいけないという考えもありました。現場でやる選手たちがそこ(SNS)を積極的にやるのはおこがましいというか…違うと思っていました。そういう意味では、このコロナを機にいろいろな部分が開けてきている人も多いのではないかと思います。

■改めて沸いてきた悔しさ

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――チームに話を移せば、シーズンの最後にルヴァンカップを制しました。林選手は出場できませんでしたが、優勝に関してはどんな思いを持っていますか?

 もちろん優勝したことは嬉しいです。それは、東京に加入して、引退までにタイトルを一個はチームにもたらしたいと思っていましたから。そういう意味ではいい結果を手にできたと思っています。

 ただ…正直、嬉しさはありましたが、本当のところは「優勝したけれど悔しさ8割」みたいな感じです。自分に対して試合に関われなかった悔しさ。運なのかどうかはわかりませんが、「ここぞという時」で引きを持って来られなかった。そこが悔しさ8割のところだと思っています。

 もちろん優勝はどんな形であれ嬉しいことです。しかし、素直に全力で喜ぶことができない気持ちも正直あった。これはあくまでも僕の中の思いですが、自分がピッチ内にいない状況で優勝セレモニーをしていて外野感はありましたし、改めて悔しさが湧いてきました。

 でも、だからこそ、活力になる部分もあった。ここで悔しさがなかったらそれこそ燃え尽きてしまっていると思うので。そう考えると、「まだまだ俺のメンタリティ」は捨てたもんじゃない早期完治への意欲もさらに前に向かっていくんだと思います。

――来季への思いも相当高まっている感じですね。

 来季、復帰できてどれくらいだろう…。6月、7月、長く見越せば8月になってしまうかもしれないです。

 現場の選手はその8カ月間、体を作ってやっているわけです。その時点で自分が「はい、ゼロからスタートです」ではいけない。自分が戻って来た時に、お客さん扱いになってしまわないようにしないといけない。その時点で新戦力が来た、8月から新戦力が加入したぐらいの、本当にそれぐらいの期待を持たせられるようなパフォーマンスを出せる準備をしたいと思っています。

 その部分では膝以外はしっかりと動かすことができるので、自分の立ち振る舞いや対応次第では今の間に伸ばせることもあるはずです。そこに向けて、良いモチベーションで良いコンディションを作っていければいいなと思っています。

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