番組には、Jリーグの原博実副理事長、Jリーグウォッチャーの平畠啓史さんに加え、JFA審判S級インストラクターの廣嶋禎数氏が登場。桑原学さんMCのもと、SNSで反応が多かったシーンをピックアップして議論を行った。
■どちらの判定もあり得る微妙な場面
SNS上でも議論が飛び交ったのは、名古屋vs横浜FCの79分。名古屋のチャンスシーンで、ガブリエル・シャビエルのクロスを受けたジョアン・シミッチが折り返すとホイッスルが鳴り、横浜FCの田代真一にハンドがあったとして名古屋にPKが与えられる。
しかし、これに横浜FCが猛抗議すると審判団が協議。結局、ハンドによるPKの判定は取り消されることとなった。
まず、この場面の映像を確認した平畠さんは「目の前で誰かがフリックして急にコースが変わってバーンと当たってしまったという状況とは、これは違うのかなと。ボールが来るまでの時間も距離も結構ありましたので、そういうことを考えてもハンドとなってもしょうがない」とPKを支持する。
一方で原副理事長は「難しいな!」とこぼしつつ、どちらの判定もあり得るとの見解を示した。
「ただ1つだけ言えるのは、手だけに当たっているというわけじゃなくて、当たったとしても体と手と同じくらいに当たっているように見える。ただ、ヒラちゃんが言うとおり距離は結構ある。ヘディングだし、そんな急激に来て対応できないという距離ではない。ボールのスピードもそこまで強くはない。ただ、手がこんなに(高く)上がっているわけじゃないから、おなかの脇で同時ぐらいに当たっているぐらいな感じだと『どっちとも取れるよね』というふうに見るしかない」
そして、廣嶋氏は「私の直感としては『ハンドになるな』というのが直感です」と述べつつも、実際に試合を裁いていたとしたら「ひょっとしたら、よう笛を吹かんかもしれん」と、考えが揺れるであろうことを明かしている。
「腕の位置が非常に体に彼は配慮して、まずはつけようとした。腕の位置で言うと、体にしっかりつけていた。まったく肩の高さでもないというので、そこでハンドにすることはできないと思ったんです。」
廣嶋氏は、ルール上ではハンドに該当しないと判断できることを説明しつつも、“意図的”に腕を残している可能性があると指摘した。
「ただ、原さんもおっしゃられたようにヘディングのボールなので時間はあった。あそこに来るというのもDFは分かるはずなんです。で、あそこに腕を残しておくということは、『これは当たる可能性も分かっていて残しているという意図があって残している』というふうに判断せざるを得ない」
■協議の末に判定が変更
(C)J.LEAGUE番組内で議論が続いたが、どちらもあり得るという域を出ない微妙なケースとなった今回のジャッジ。しかし、実際の結果は別として、協議の末に判定が変わったという点でも話題となった。
平畠さんは、「Twitterでも『正直、どちらとも取れるシーンだったのではないでしょうか。ただ、それであれば、最初の主審の判断を尊重したほうが両チームとも納得感があったのでは?』という。やっぱり納得感みたいなところは欲しい」とSNS上で寄せられた意見を紹介する。
このことについて、廣嶋氏は「私が副審であったとしたら、ここの判断には手出しをしません」と断言。主審は選手の腕にボールが当たるのを確認できていたため、そこにさらに情報を加える必要はないと主張した。
「手に当たったという事実を見ていなくて、副審だけが見ていたのであれば、その事実を主審に伝えないといけないと思う。あそこは手に当たったという事実があって、それをどう判断するかというのは分かれるところなので。であれば、そこは主審が決めるべきところだと私は考えている」
審判の研修会では「副審が何か持っている情報があれば、まずそれをちゃんと主審に伝えようということは、私自身も伝えていたし、伝えられていた」という。そのため、「副審が自分の感じていることを、とにかくまず伝えておこうという判断をされたのではないか」と副審の行動にも一定の理解を示している。
とはいえ、今シーズンのJ1リーグにはビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)が導入されていないため、副審の言葉が主審の判断を左右してしまう可能性があるようだ。
「VARがあれば映像で見るので、主審ももう一度映像を見返して、実際に見たものと映像との違いが見比べられて自分で判断できるんですが、(現在は)どうしても言葉上になるので副審が『あの手は絶対に不自然な手じゃない。意図性もない』というふうに強く進言してしまうと、主審の判断に迷いを生じさせてしまうかもしれない」
さらには、このPKが取り消された後、試合は横浜FC側のGKへのドロップボールで再開。これについても疑問視する声が上がっている。
しかし、廣嶋氏は「『ボールがペナルティエリア内にあってドロップボールにした際はすべてGKにドロップする』と、競技規則の変更でそういうふうになったので、ここはどうしようもない」と解説。ドロップ後に相手チームにボールを渡すマナーについて「私たち的にはそうしていただけると助かります」との心情を述べたが、ルール適応上はGKへのドロップボールで間違いないようだ。
今回のジャッジリプレイでは、このほかにもJ2リーグ第40節のモンテディオ山形vsファジアーノ岡山の67分に起きたDOGSOに関する事例、そしてAFCチャンピオンズリーグ(ACL)準々決勝のヴィッセル神戸vs水原三星の35分に介入したVARについて、議論されている。
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